運動しないで座りっぱなしでいるのはアンチエイジングにどんな影響がある?
座りっぱなしの弊害とは
アンチエイジングでは運動がとても重要なのですが、運動しないとどのような弊害があるのでしょうか?
運動しない人の場合、その多くは日中座りっぱなしという方が多いのではないでしょうか?
その座りっぱなしの生活には、健康への悪影響が研究によって明らかになってきています。
ある研究によると、座ったままで過ごすのは、糖尿病と心臓病のリスクが高まるという意味で、喫煙と変わらないとの報告があります。
そればかりか、股関節屈筋が硬くなり、腹まわりに脂肪がついて、太鼓腹になってしまうのですが、それは誰にでもわかることですよね。
ここでは少しだけ、なぜ太鼓腹になるのかをご説明しておきますね。
椅子に座っていると、腹筋がゆるみ、腰の筋肉に力が入り、脊柱彎曲症を起こしやすくなります。
その湾曲した腰が腹をまえに押しだし、股関節屈筋が硬くなっているせいで、腹をもとの位置に戻せないという状態を作り出してしまいます。
その結果、腹が突き出てしまうのです。
座りっぱなしの悪影響の数々
座りっぱなしによるスタイルの変化の問題はさておいて、長いあいだ座っていると、体によくないことが次々に起こってきます。
- 骨が弱くなる
- 心臓、膵臓、結腸が損傷する
- 筋肉が衰える
- ホルモンのバランスが崩れる(たった1日でも長時間座っていると、インスリン反応が低下する)
- 腰を痛める (椎間板が圧迫され、脊柱の柔軟性がなくなる)
- 脚の血行が悪くなる(脚の静脈瘤)
- 糖尿病のリスクが112%増加
- 心血管疾患のリスクが 147%増加
- がんのリスクが3%増加
- 原因 を問わない死亡率が30%増加
こんなにたくさんの弊害が、長時間座ったままでいると発生してしまいます。
悪いとはわかっていたけれど、こんなに悪影響が・・・
最初の骨がもろくなるというのは、特に老後には深刻なダメージにつながる可能性があります。
まず、言うまでもありませんが、骨減少症(骨が細くなる)と骨粗しょう症の発症率が上がります。
そういった病気でなかったとしても座りっぱなしだと、骨に十分な刺激が伝わらないことになります。
私たちの骨が丈夫になるには、適度な刺激が必要なのです。
大腿骨を例に考えてみると、大腿骨は、その両端を押す方向に力が加わると強くなろうとします。
ですから立ったり歩いたり、ジャンプしたりすれば、大腿骨に有効な刺激が加わります。
一方、椅子に座った姿勢では、大腿骨は地面と平行で、それは寝た姿勢と同じような状態になります。
それでは大腿骨はほとんど刺激されないので、骨がもろくなってしまうのです。
座りっぱなしのダメージは消えない?
そして驚くことに、毎日1時間の運動をしても、それで座りっぱなしによるダメージが相殺されるわけではないのです。
ですから、ジムに週3回通って身体を動かしているから、座りっぱなしで日中過ごしても大丈夫だろうという考えの方は危険です。
それとは逆に、コロンビア大学の研究調査によれば、ずっと座っていないで、短時間でも立ち上がって体を動かすだけで、死亡リスクを軽減できると発表しています。
しかも運動強度は関係ないということなので、立ち上がってその場で屈伸運動したり、足上げをしたり、フロア内を歩き回ったりなど非常に軽い運動だけでも、座りっぱなしの悪影響を減らすことができるそうです。
だから、長時間座ったままで過ごすのは極力避けるようにしましょう。
座って過ごす時間のうちの10分間を、中強度から高強度の運動にあてることができれば、ウエストがすっきりしてくることが実感できると言われますが、実際仕事などをしている場合には、そこまでは期待できません。
ですが、屈伸などの運動はこまめに行いましょう。
これを知った今から、椅子から立ちあがって、アンチエイジング計画を実行して、老化と早死にを予防しませんか?
運動で早死にを回避する
運動をすることで早死にを回避してアンチエイジングするということは、本当にできるのでしょうか?
身体的活動、つまり運動によって、男性では早死にのリスクが30%減り、女性では42~48%減るという研究結果があります。
そして、たくさんの研究で、よく動く女性はあまり動かない女性より長生きするという結果が出ています。
この研究の内容に、男性がなぜ含まれていないのかというと、単純に女性を対象とした研究だったからです。
このようにたくさんの研究によって、適度な運動で早死にを回避できるということが、研究の結果で明らかになっているのです。
そして、適度な運動だけが健康に良いというわけではなく、高強度の運動にもメリットがあります。
高強度の運動には休息の知識が必要ですが、しっかりと休息できれば健康にはとても良い効果があります。
様々な研究の結果から、適度な運動も激しい運動も体によいということが報告されています。
今から運動しても手遅れ?
それでは運動をしても手遅れということがあるのでしょうか?
たとえば65歳を過ぎてから、体を鍛えてももう遅いのでは、という考えの方もいらっしゃるかもしれませんね。
そんなことはないのでご安心ください。
65歳以降に運動をはじめた女性も、健康寿命が延びるという研究結果が出ています。
たとえ70歳でそれまで運動をしていなかったとしても、早死にを回避するのに遅すぎることはないのです。
太っているから運動しても無意味?
この考えも間違っています。
太っているから、運動しても無駄だという考えは捨ててください。
太っていても、運動すれば早死にのリスクを減らすことは十分に可能です。
いちばんいいのは痩せていて、体をよく動かすことなのですが、逆に最悪なのは太っていて、まったく運動しないということです。
もちろん、運動すれば痩せられて、余計な脂肪も次第に落ちていくことが期待できることは言うまでもありませんよね。
運動を始めるときは、最初はどうしてもいやなものです。
でも、そこで何も考えないで、さっと運動するようにしてください。
そうしないと、いつまでたっても運動することはありません。
運動を習慣化するためには、最初は本当にこれで十分なのかと心配になる程度で十分です。
しかし、それを継続して行うということが何よりも大切なことです。
継続して行うことで、運動を習慣化させるためには、これで本当に充分なのか?と心配になる程度のことを継続することから始めなければ、習慣化させることは難しいと思います。
運動の効果
運動の効果はとても一言では言い表せませんが、運動するメリットのひとつは、性質の悪い白色脂肪を改心させることができることです。
腹部と皮下組織に溜まった白色脂肪を、主に首や肩まわりにあるカロリー燃焼と熱発生をおこなう優等生の褐色脂肪に近づけられるのです。
その白色脂肪は糖尿病や心臓病のリスクを高めますが、運動すれば、白色脂肪が縮み、ベージュ色の脂肪(ふたつの脂肪が混ざったもの)に変えることが可能だそうです。
また、無数の遺伝子の発現も変えることができ、長生き遺伝子を活性化させる運動もあります。
ADRB2のような遺伝子は、運動による体重変化を制御しています。
この遺伝子を運動によって発現させれば、体重管理もより効果的に行うことができるわけです。
そして、週に3時間以上運動すれば、善玉コレステロール(HDL)の生産に関与する遺伝子APOA1が機能するようになります。
とはいえ、遺伝子構造にかかわらず、運動することは老化を防ぎ、心身ともに若々しくあるためのカギとなる遺伝子のスイッチを入れてくれます。
それでも運動しない?
これだけ運動の効果が明らかになっている現状ですが、運動している人は多くなっているのでしょうか?
アメリカのある調査では、アメリカ人の88%の人が運動をしていないと答えています。
理由は本当にたくさんありますが、やはり継続しないと結果が見えないため、すぐに結果を求める人には、運動を続けるモチベーションが続かないということがあります。
そんなときには、すぐに結果が表れるような運動をやってみるのが良いと思います。
例えば、体力がついて、ストレスが減り、爽快な気分になれるような運動です。
一人で行うのも良いのですが、最初は家族や仲間と一緒に行えると、成果が表れるのが早いでしょう。
その運動とはウォーキングやジョギングのような運動です。30分ほど早歩きをするだけで、それまで落ち込んでいたとしても、そんな気分はどこかに吹き飛んでしまうでしょう。
有酸素運動により分泌されるホルモンによって、気分が爽快になっていきます。
重要なことは継続することであり、継続は楽しいことでなければできません。
ですから、まずは気分が爽快になる、結果を簡単に出すことができる、有酸素運動を行うことで、運動を習慣化していきましょう。
ストレス解消にもつながる有酸素運動ですので、ストレス関連の問題も解決してくれ、それがさらにアンチエイジングにつながることも期待できますよ。
まとめ
運動をすることは、その習慣がない人にとっては、最初がつらいものです。
しかし、始めてしまえば、その嫌な気持ちもすぐになくなってしまいます。
脳からドーパミンやアドレナリン、セロトニンなどの快楽ホルモンが分泌されるので、気分は激烈に上がりますよ。
少しのストレスなど、吹き飛んでしまうように感じるほどです。