血糖スパイクはアンチエイジングの敵 食べ物や食べ方で防ごう
血糖スパイクに注意
アンチエイジングや美容には、血糖スパイクに注意する必要があります。
血糖スパイクという言葉は最近、非常に注目されていますので、ご存知の方も多いでしょう。
血糖スパイクとは、食後に血糖値が急激に上がる症状のことです。
健康診断を受けると、空腹時血糖が計測されていますので、血糖値は皆さんご存知だと思います。
健康診断では、前日から何も食べないで、水だけを飲んでくださいという指示をされるはずです。
そして、おなかがすいた状態で健康診断を受けるので、その状態の血糖が空腹時血糖になります。
この数値も健康にはとても重要になるわけですが、健康診断では通常、空腹時血糖しか測りませんから、これまでは血糖スパイクという存在そのものが、ほとんど知られていませんでした。
ちなみに血糖スパイクは「急激な血糖値上昇」というだけで、厳密な定義はないようなので、それが理由でさらに存在が知られなかったのかもしれません。
ただ今現在では、食後に血糖値が140を超えるようだと、血糖スパイクを疑うべきレベルだと考えられています。
血糖スパイクについては、空腹時血糖が低い人でも、高くなる人がいます。
空腹時血糖が高いと、糖尿病が疑われるわけですが、健康診断などで指摘されないため、あまり意識しない方も多いでしょうね。
しかし、血糖スパイクを注意しないと、老化を進める可能性があります。
アルデヒドの急増こそ糖化につながる
血糖スパイクの危険性について、同志社大学生命医科学部の米井嘉一教授は以下のように説明されています。
まず、血糖スパイクをきっかけに、いろいろなアルデヒドが連鎖反応的に大量に生まれる「アルデヒドスパーク」が起こります(アルデヒドスパークは米井嘉一教授の造語です)。
さらに大量に生まれたアルデヒドがタンパク質を変性させ、最終的にAGEsになって体の中の組織や細胞に溜まって蓄積していくのです。
これが「コゲ」となって体を老化させます。
最近は血糖スパイクがテレビ、雑誌、書籍などでも盛んに取り上げられ、体に悪い影響を与えていることは認知されてきました。
しかし、その原因まではわかっていませんでしたが、ようやく、「この血糖スパイクによってアルデヒドが急増(アルデヒドスパーク)している!」ということまで私の研究でつかむことができました。
つまり、アルデヒドによるタンパク質の糖化こそ、血糖スパイクの悪影響につながっていることがわかってきたのです。
細胞には遺伝子があるので、遺伝子もAGEsの蓄積で損傷して変化を起こします。
遺伝子の情報は親から子に譲り渡されますから、そこで再び問題を起こします。
また、AGEsが細胞のレセプター(受容体)にくっつくと、細胞内でいろいろなシグナルが 出て炎症性のサイトカインという物質(タンパク質)を出します。
本来、炎症は体内に侵入した 細菌やウィルスをやっつけるために発症する防御機構です。ところが、細菌やウィルスがいないにもかかわらず炎症性サイトカインが出てくると、組織障害が起き、アルツハイマー病も進行しやすくなります。
つまり、日常生活に支障をきたしてしまうのです。
血糖スパイクに注意しなければ、糖化によってアンチエイジングの効果は低くなるどころか、老化を加速させてしまう可能性があるのですが、そのメカニズムが米井嘉一教授の研究で明らかになってきています。
タンパク質のあるところには糖化の影響が生じやすい
糖化の問題点は、「タンパク質との反応」ということにもあります。
タンパク質を次の2つに分類することがあります。
- 構成タンパク質
- 機能性タンパク質
構成タンパク質は皮膚や骨を構成していますが、糖化は構成タンパク質の機能には影響しません。
一方、機能性タンパク質には、たとえばインスリンがあります。
インスリンは血糖を下げる働きのあるホルモンですが、糖化の影響を受けてしまいます。
インスリンが糖化によって「糖化インスリン」になると、インスリンとしての機能が失います。
インスリンは出ていてもインスリンの働きをしない状態になってしまうのです。
糖尿病患者の2割くらいが糖化インスリンに該当するとされていますが、糖尿病の専門医にもあまり知られていないようです。
生命の営みに不可欠な存在である「酵素」もタンパク質でできています。
体の中にはいろいろな酵素があって、さまざまな体の反応にとってとても重要な役割を果たします。
酵素が糖化して本来の機能が失われると、当然その悪影響が体に生じます。
たとえば、「DNA修復酵素」は、酸化により損傷を受けたDNAを修復する酵素です。
これが糖化すると、活性が失われてDNAが修復されにくくなり、がんが発症する確率が上がると考えられています。
また、細胞の中で最も重要で大量に存在する酵素「GAPDH」(グリセルアルデヒド3リン 酸脱水素酵素)も、糖化によって活性が低下することがわかっています。
GAPDHは、とてもたくさんの働きがあるので、一言では言い表せない酵素です。
以下のような作用があります。
とても重要な酵素だということだけ理解されれば十分だと思います。
GAPDHの活性が低下すると、グリセルアルデヒドという非常に毒性が強いアルデヒドが増加してしまいます。
このアルデヒドが手当たり次第に周囲のタンパク質と反応します。
まず最初に、血管壁の内側にある内皮細胞の傷害で、これにより動脈硬化が進みやすくなってしまいます。
GAPDHは腎臓に多いので、腎機能が低下するとGAPDH活性も著しく低下します。
腎不全患者では、このため、動脈硬化、皮膚色素沈着、骨粗しょう症などアルデヒドによる障害リスクが増えてしまいます。
腎臓というのは、アンチエイジングや美容にとても大切な、解毒を行う臓器の一つですが、その腎臓が糖化で機能を下げるとどうなるかは簡単にイメージできるのではないでしょうか?
血糖スパイクを防ぐ
血糖スパイクは、私たちの身体に本当にたくさんの悪影響を与えることが理解できたと思います。
アンチエイジングを行うためには、血糖スパイクを起こさないことが重要になってきます。
血糖値を急激に上げないようにするためには、食物繊維が効果的だと言われています。
食物繊維が多く含まれているのは、やはり野菜ですので、食事の時には野菜から食べ始めるのが、血糖スパイクを抑えるのには効果的ということです。
モデルの方の多くが行っているとされる、「ベジファースト(野菜が最初)」ということを実践するとよいですね。
サラダや煮物のような野菜をまず食べるという習慣をつけましょう。
サラダを食べる場合には、オイル&ビネガーのようなドレッシングをかけると、血糖を下げてくれる働きが期待できます。
油も酢も血糖の上昇を遅らせる効果があるからです。
血糖スパイクを防止するための食べる順番としては、
- 野菜
- 肉や魚のタンパク質
- ごはんなどの糖質
という順番が良いのですが、そこまでしなくても、野菜を一番最初に食べる、ということだけ考えれば十分な効果があるようです。
また、食後のウォーキングも、血糖スパイクを抑えるのに効果的です。
食後の運動は以前は消化に良くないと言われていましたが、ウォーキングのような運動は、最近ではよいと言われています。
また、甘いものを食べたいときには、コーヒーを一緒に飲むと血糖値の急上昇をある程度抑えることができると言われています。
甘いものを食べながら、甘いジュースを飲むというのは、血糖値スパイクにとっては最悪の状況となってしまいますので、飲みものの選択は重要ですね。
まとめ
血糖スパイクはアンチエイジングや美容には大敵ということが理解できたのではないかと思います。
しかし、血糖スパイクは急激に血糖値を上昇させないように、意識して生活すれば比較的簡単に防止できます。
血糖スパイクを抑える生活で、アンチエイジング、美容を実現させていきましょう。