睡眠でアンチエイジング メラトニンなどのホルモンが重要
メラトニンについて
人の身体は、24時間周期ではなく、24時間よりも少し長い時間の体内時計があります。
25時間と言われていたこともありますが、そんなに長くはなく、24.2時間というのが平均的な人の体内時計のようです。
この体内時計をリセットするのが、メラトニンと言われています。
このメラトニンというホルモンは、明るさによって制御されています。
昼間の明るい時間には、メラトニンは分泌されません。
夕方になり周りが暗くなり始めたころから、メラトニンが徐々に分泌されるようになり、夜になって眠ると最も多く分泌されるようになります。
逆に言うとメラトニンは暗さに影響されて分泌されるホルモンです。
ですから、部屋を明るくしたままで寝てしまうと、メラトニンの分泌は止まってしまいます。
これは、瞼から光を網膜で感じるために、メラトニンの分泌が止まってしまうのです。
大人の場合は、アイマスクをつければ、光を感じなくなってメラトニンが分泌されますが、子供、特に赤ちゃんは頭蓋骨が薄いので、光が頭蓋骨を通してメラトニンの分泌を止めてしまうことがあります。
お子さんが誕生したばかりの場合は、赤ちゃんの睡眠のためにも、夜は部屋を暗くしてあげることが大切です。
また、睡眠が重要なのはもちろん、赤ちゃんだけではありません。
最近の日本では、夜の10時、11時に幼児を連れ歩いている親をしばしば見かけることが増えてきています。
子どもは親の生活パターンに影響を受けます。
夜ふかしが日常的である家庭環境で育った子どもは、おのずと夜型の生活習慣を身に つけてしまいます。
その結果、睡眠不足が常態化し、睡眠障害も生じやすくなります。
脳や身体の急速な成長期にある子どもにとって、睡眠不足が引き起こすダメージは、大人以上に深刻だと考えなければなりません。
特に近年、睡眠不足と子どもの発達障害との関係性が話題になっています。
因果関係は まだはっきりしていませんが、発達障害が睡眠障害を引き起こす、また反対に、幼少期の睡眠障害が発達障害を顕在化させている可能性があるといわれています。
また、妊婦が不眠の問題を抱えていると、出生時の子どもが低体重児になりやすいとい う報告もあります。
子どもの睡眠障害、生体リズム障害の原因は、生まれてくる前、お母さんのおなかのなかにいる段階からはじまっていると考えておいたほうがいいかもしれません。
コルチゾルについて
コルチゾルというホルモンは副腎皮質から分泌されるホルモンで、朝から分泌量が徐々に上がってきて、夕方になると少しずつ下がってくるというパターンを繰り返しています。
これは体内時計によって、リズムが決められているからです。
コルチゾルの分泌が高い状態で眠るとどうなるのでしょうか?
コルチゾルの分泌が高いと、寝ている間に成長ホルモンが十分に分泌されません。
そして、ストレスがかかるとコルチゾルが分泌されます。(なぜならコルチゾルはストレスホルモンだからです)
そのため、夜間、寝る前に激しい運動をしたり、気持ちが高揚するような映画や本を読んだりすると、コルチゾルの分泌が上がってしまうため、眠りが浅くなり、結果として成長ホルモンの分泌が阻害されてしまいます。
成長ホルモンについて
成長ホルモンと聞くと、成長期の若いうちしか分泌されないと考えている方が多いようです。
しかし、成長ホルモンは生きている限り、分泌され続けるホルモンであることを理解することが重要です。
まず、成長ホルモンは、「人の成長に欠かせないもの」とされ、実際、細胞分裂やタンパク合成を活発化させ、背を伸ばし、筋肉をつくり、骨をつくります。
「背を伸ばし、筋肉をつくり、骨をつくり」と聞くと、10代の人に関係しているように思えるところがありますよね。
しかし、成長ホルモンは成長期だけでなく、中高年になっても若さや健康のた めに大切な役割をはたしているのです。
若さや健康のためには、細胞分裂やタンパク合成を活発化させ、筋肉をつくり、骨をつくるということが、とても重要です。
成長ホルモンは、睡眠、食事、運動によって出るのですが、この成長ホルモンが肝臓に作用し て「IGF-1」というセカンドメッセンジャー・ホルモンになります。
成長ホルモンは不規則で直接的に測ることがむずかしいため、アンチエイジング・ドックでは、より安定しているこのIGF-1で成長ホルモンの量を間接的に測ります。
成長ホルモンは、男女に限らず、年齢とともに減っていきます。
さまざまな理由がありますが、まずタンパク質の不足によって、成長ホルモンをつくる材料が不足することで成長ホルモンができないこともあります。
また、ごくまれにですが、炭水化物の摂りすぎで血糖値が上がると、成長ホルモンの分泌がピタッと止まることもあります。
そして、成長ホルモンの分泌は睡眠との関係が深いと考えられています。
睡眠不足、ストレス による睡眠の質の低下など、睡眠が原因となって成長ホルモンが減る場合があります。
また、睡眠中に血糖値が上がっていると、成長ホルモンの分泌が少なくなるともいわれていますので、寝る前に何かを食べるのはやめるべきでしょう。
睡眠時無呼吸症候群
中高年にとって最も危険なのは睡眠時無呼吸症候群です。
睡眠時無呼吸症候群というと、それが原因で車の運転中に眠くなって、事故を起こしてしまうといことで、マスコミなどでも騒がれましたね。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時の呼吸障害の一種で、眠っているときに、しばしば呼吸が止まり、その時に覚醒反応が起きてしまうものです。
そのため、明らかに睡眠の質が良くないのですが、本人には呼吸が止まっているという自覚がないことが多く、何度も覚醒しているという意識がないのです。
本人が日常的に感じているのは、主として昼間の眠気です。
成長ホルモンの分泌量の少ない人の中には、睡眠時無呼吸の人がかなり存在します。
睡眠時無呼吸症候群は女性より男性のほうが多く、太り気味で二重あごであるとか、表情筋や 咬筋といった噛む筋肉が衰えてくると、のどの気道が狭くなっていびきをようになります。
そうすると無呼吸になってくるケースがあります。
予防のためには表情筋や咬筋のトレーニングが有効です。
表情筋をきたえる方法として口閉じトレーニングがあります。
また、パタカラ、フェイシャルフィッ トネスPAOといった補助器具が売られていますので、それらを利用するのも一つの方法です。
咬筋をきたえるコツはよく噛んで食べることです。
白飯を少しずつ玄米に代え、よく噛む習慣 をつくるということもとても良いと思います。
まとめ
睡眠にはたくさんのホルモンがかかわっています。
睡眠の質を高めるためには、メラトニンの分泌がしっかりとできるようにし、深い睡眠をとることによって、成長ホルモンの分泌を促すということが重要です。
そのためには、まずは朝日を浴びて一日を始めるということが、とても需要です。
朝起きたら、まずはカーテンを開けて窓を開ける。
それで朝日を浴びるようにすることを習慣にするとよいです。
こうすることで、体内時計がリセットされ、メラトニンの分泌も止まり、日常活動をスムーズに行うことができるのです。
そして、夕方暗くなっていくにつれて、メラトニンが分泌され、眠気を誘発するようになってきます。
これによって、規則正しいリズムで睡眠をとれるようになるのです。
メラトニンの分泌を正常にするためには、まずは朝日を浴びることから始めましょう。
お金もかからず、眠りが深くなり、アンチエイジングや美容にも良いのですから、今日から始めることをお勧めします。