読書好きけんの雑記ブログ(ヘルシー志向強め)

日々思いついたことをシェアしたいと思っています。読書で得た知識も備忘録を兼ねて、わかりやすく感想をアップしようと考えています。

糖質制限のマイナス面は?

糖質制限食は、体に強い負担をかける

 

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糖質制限と言っても、どれほど糖質を制限するのかという点で、いろんな種類があります。

 

ところでそもそも、糖質制限というのは、私たちの身体の健康に有益なのでしょうか?

 

健康に良い糖質制限、悪い糖質制限など、段階的なものがあるのでしょうか?

 

糖質制限については、いまだに研究の途中というところなのですが、いくつかある研究を見てみたと思います。

 

まずは、糖質制限が健康に良いのかを検討する手がかりとして、最初に『アメリカ医師会ジャーナル』に報告されたボストン小児病院の研究を見てみましょう。


10~15%の減量に成功した若年の成人(BMIS以上の過体重および肥満に該当する者21名、18歳~40歳)を対象に、次の3タイプの食事を4週間ずつ無作為に摂り続 けてもらいました。

  •  低脂肪食

摂取エネルギーの比率で、炭水化物60%、脂質20%、たんぱく質20%

 

  • 低GI食

炭水化物40%、脂質40%、たんぱく質20%

 

炭水化物10%、脂質60%、たんぱく質30%

 

 

低GI食は、あまり制限をしない、いわばソフトな糖質制限食です。

 

糖質制限食はアトキンス・ダイエットに近い、かなりハードな糖質制限食と考えてよいでしょう。

 

これらの食事を摂ってもらったのち、開始時との基礎代謝量の比較を行いました。

 

基礎代謝量とは、ヒトの生命を維持するために必要とされる最低限のエネルギーのことです。

 

この基礎代謝量が、低脂肪食では1日平均205kcal減と大きく低下しました。

 

低GI食では1日平均166kcal減の低下です。

 

糖質制限食では1日平均97kcal減の低下にとどまりました。


基礎代謝が落ちるということは、何もしていないときに体が消費するエネルギー量が少なくなることを意味します。

 

つまり、基礎代謝が落ちてしまうと、1日の摂取エネルギーが同じでも太りやすくなるのです。


この点では低GI食、超糖質制限食に比べて、低脂肪食が太りやすく、3つの食事法のうちでは最もリバウンドが起こりやすいということが示唆されています。

 

これは、 以前に紹介したイスラエルの研究とも合致するデータです。

 

healthyounger.hatenablog.com


また、善玉コレステロールの値は、低脂肪食が平均40mg/dl、 低GI食が45mg/dl、 超糖質制限食が48mg/dlという結果を示しました。

 

中性脂肪値は、低脂肪食が107mg/dl、低GI食が87mg/dl、超糖質制限食が66mg/dl。

 

糖尿病の目安であるインスリンの効き具合を示すインスリン感受性も、低脂肪食が最も低くなっていました。


善玉コレステロールが上昇し、中性脂肪が低下し、インスリンの効きもよくなることが期待できるところから、この3つの食事法のうちでは、糖質制限食がメタボリックシンドロームの予防・改善にたいへん役立つ可能性を示しています

 

糖質制限の欠点

 

ただし、超糖質制限食はよい点ばかりではありません。

 

どんなものでも、行き過ぎると害があるものです。

 

この研究では、ストレスホルモンである尿中コルチゾールの排せつ量も調査対象としていました。

 

コルチゾールは、ストレスがかかると分泌されるホルモンで、ストレスホルモンに分類されます。

 

その分泌量は、超糖質制限食が最も高くなっていたのです。

 

つまり、糖質制限食で最もストレスがかかっているということになります。

さらに、体に炎症や傷がある場合に血清中に増えるたんぱく質CRP(C-反応性たんぱく質)の値が、超糖質制限食で高い傾向にありました。

 

これらの点から、糖質制限食が体に負担をかけていることが推測できます。

 

糖質を食べたいという欲求が、そうさせたのかもしれません。


このようなマイナス面も踏まえて、主任研究者であるエベリング博士は、マイルドな糖質制限食である低GI食が、一般の人にとっては続けやすい妥当な方法だろうと述 べています。

 

私はGI値ではなく、GL値を基に考えるべきだと考えていますが。

 

healthyounger.hatenablog.com


糖質制限食のように過度に炭水化物を減らすダイエットは、メタボリックシンドロームなどの予防・改善に役立つ可能性がある反面、マイナス面も合わせ持っているということです。


ケトアシドーシスは危険!


糖質制限食、あるいは低炭水化物食が抱える問題のうちで、最も気になるのは、それらの食事を続けたときに生じるケトアシドーシスの症状です。


ここで、ケトアシドーシスを簡単に見てみましょう


私たちの体には、エネルギーとして使用される糖質が足りなくなったとき、それを補ういくつかの機構があります。


1つは、肝臓に貯蓄されているグリコーゲンを分解して、不足したブドウ糖を供給する働きです。

 

それも尽きてしまうと、今度は食事として取り込んだアミノ酸、あるいは筋肉自体を分解してまでも足りないエネルギーを作り出す機構です。


また、脂肪も分解されてエネルギー源となります。

 

脂肪を分解してエネルギー量が産生されるとき、同時にケトン体という物質が作り出されます。

 

脳では、ブドウ糖が足りないとき、このケトン体をエネルギー源として使用します。


糖を新しく作り出す際に脂肪の代謝が進み、体内にケトン体が過剰に蓄積されると、 体は酸性に傾きます。

 

この身体が賛成に傾いた状態が「アシドーシス」です。

 

ケトアシドーシスは、ケト ン体によるアシドーシスのことです。


糖尿病が悪化し、血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンが極端に不足すると、糖尿病性ケトアシドーシスという病態に至り、糖尿病性昏睡(糖尿病の急性合併症、一時的に著しい高血圧によって昏睡状態となる)などの非常に危険な状態に陥ることがあります。

 

極端な糖質制限を続けていると、血中や尿中のケトン体の濃度が高くなり、甘酸っぱいような、独特の口臭がするようになります。


これは、体が酸性に傾いている証拠です。

 

糖質制限に批判的な立場の人たちからは、この状態が危険だという指摘がなされてきました。


糖質制限を支持する人たちは、この状態は決して糖尿病性ケトアシドーシスのような病的な状態ではないと考えているようです。

 

つまり、糖質制限からくるケトアシドーシスは、大した問題ではないとしているようです。

 

糖尿病の場合、特に1型糖尿病のように、インスリンがまったく機能しなくなっているときにこそ、ケトアシドーシスになる危険性が生じます。


インスリンが平常どおりに機能しているのならば、血中のケトン体濃度が高くなってもなんら問題ないというのが、糖質制限を支持する人たちの主張です。

 

しかしケトン体を使う状況というのは、飢餓状態になっているときにおこることです。

 

それは、人類が空腹でも食物を探すことができるようにするために備わった機能だといわれています。

 

つまり、緊急事態において、ケトン体は使われるということです。

 

緊急事態を長期間続けるということは、身体に負担がないわけがないと思いますがいかがでしょうか?

 

自家中毒ケトアシドーシス


ケトアシドーシスの問題では、子どもの自家中毒の症状を思い浮かべる人もいるかもしれません。


小さな子どもが1日中遊んで帰ってくると、疲れ果てて夕食も摂らず、お菓子をつまんだ程度で、そのまま寝てしまうことがあります。

 

翌朝起きると、子どもはグッタリして顔色も悪くなっており、何度も吐きます。


遊び疲れて食事も摂らずに寝てしまうと、本来、エネルギー源となるべきブドウ糖が体に入ってきません。

 

子どもの場合、肝臓が小さくて筋肉量も少ないため、体内に糖の貯蓄があまりありません。


前日から糖質の摂取が不足していたために、ケトアシドーシスの状態になってしまったと考えられます。

 

自家中毒はこのように単純に糖質の摂取不足から起こることもありますし、過労やストレスによっても起こります。


病院では、点滴でブドウ糖と水分の補給を行います。

 

すると、真っ青だった顔色がたちまちよくなり、ウソのように元気になります。

 

大人の場合には、肝臓や筋肉に糖がストックされていますから、子どもの場合のように簡単に糖質不足には陥りません。


しかし、いずれにしても過度な糖質制限を行っていると、体は恒常的に飢餓状態に置かれています。

 

先ほど紹介したボストン小児病院の研究でも、検査した指標によって体にストレスがかかっていることを示していました。

 

糖質制限食は、試しても長続きしないというデータもあります。


糖質制限食が短期間では効果があるものの、長期間にわたって続けられなかったり、 リバウンドしたりするという理由として、体へのストレスが影響しているのではないでしょうか。


また、糖質制限食では、糖質を減らすために高脂質、高たんぱく質の食事が続きます。

 

食事の傾向がかぎられ、単調になりがちなため、そうした食事に飽きてしまうのかもしれません。

 
糖質制限食(低炭水化物食) については、「効きそうだけれど、人によっては効かないかもしれないし、害になるかもしれない」というあいまいな結論しか出ていないのが現状です。

 

今の段階では、まだまだ研究結果が不足している状態です。


糖質制限食の長所を保証する論文はいくつか出されていますが、長期間続けた場合のさまざまなデメリットなど、結論の出ていない問題がたくさんあります。


実際に糖質制限食を行う場合には、現在指摘されているマイナス面をカバーするアプローチが必要になるでしょう。


そのアプローチは、糖質制限食を実際に行う人自身の体質や体調、生活ぶりによって違います。

 

また、ダイエットの目的によっても変わります。


半年ほどの期間で、ある程度体重を落としたいという目的であれば、糖質制限食はいくつもの臨床研究が示しているように効果は期待できます。

 

ダイエットの期間を区切ってやってみる価値はありそうです。

 

 

しかし、ストレスがかかるダイエット法ですので、長続きするものではないと、考えて実行するのが正しいアプローチだと、今の研究結果からは判断されます。

 

まとめ

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糖質制限については、まだまだ研究の途中の段階です。

 

短期間に行うダイエットとしては良いダイエットのようですが、長期的にみるとリバウンドの問題や、ストレスがかかるという観点からあまりお勧めできるダイエット法ではないようです。

 

研究の一つに、糖質制限は、タンパク質などほかの栄養素をたくさん摂ることによって、結果的に総カロリーが抑えられることによって、ダイエットの効果がもたらされるという結果も出ています。

 

つまり、総カロリーを抑えるダイエット法である可能性があるということになります。

 

ということは、糖質制限ダイエットが大好きな方は別ですが、糖質が好きでも我慢しなければならない糖質制限を、わざわざ行う必要はないということです。

 

自分に合ったダイエット法を探す方が良いという結論になりそうです。

 

そもそも、ストレスが強い超糖質制限アンチエイジングや美容には、マイナス要素が多すぎるようです。