ストレスが健康に良いと言ったら驚きますか?アンチエイジングのためどうストレスと付き合うか。
ストレスは味方?
ストレスは身体に悪い物だと思われていますね。
私自身もストレスは身体に悪い物だと思っていました。
ストレスというのは、人類が生き残るためには、絶対に必要なものだったということはご存知ですか?
こちらでも解説しているのですが、一例をあげると肉食動物にばったり出会った場合です。
目の前にライオンや熊が現れたらどうなるでしょうか?
豊かな想像力を働かせてみて、その状況を考えてみてください。
このような状況になった場合は、私たちの身体の中では脅威反応と呼ばれる反応が起こります。
目の前に肉食動物が現れたら、当然緊急事態ですから、私たちの身体は臨戦態勢になります。
生物学的に言うと、臨戦態勢に入って脅威反応が起こると血管は収縮します。
それは、万が一かみつかれたりしてケガをしても、出血を最小限に抑えるためです。
これは同時に脳への血流も減らすことになります、
そして、エネルギー源となるグルコースを血中で増加させるために、副腎からはコルチゾールが分泌されます。
脳と内臓をつなぐ迷走神経は、普段は落ち着いているので、安らかな気持ちを保つのを手伝ってくれるのですが、脅威反応が起こると活動が低下します。
緊急事態ですから、リラックスして安らかな気持ちでいるわけにはいきませんからね。
その結果、鼓動が早くなったり血圧が高くなって、緊急事態への対応ができるように準備するわけです。
脅威反応は、身体の状態と合わせて精神的なものにも働きます。
簡単に言えば、不安や恐怖を感じるということです。
不安や恐怖を感じなければ、肉食動物に平気で近づいてしまって、餌になってしまうだけですから、精神的な働きかけもストレスには必要というわけです。
ストレスはなぜ悪い?
では、ここで疑問がわいてきますよね。
ストレスは必要なものだということはわかったけれど、なぜそれが健康に悪影響を与えるのか?
当然の疑問ですが、それに対する答えは、ストレスが健康に悪影響を与えるのは、その状況が長く続いてしまうことにあるのです。
通常であれば、緊急事態(肉食動物に出会う)が終わって、安全が確保されれば、ストレス状態からは解放されるはずです。
リラックスして血管の収縮は収まり、元の状態に戻る。
ストレスを感じても、すぐに元に戻れるのであれば、ストレスは健康には悪影響を与えないものです。
しかし、現代社会では様々な状況でストレスを感じるようになっています。
学校の試験、営業のノルマ、仕事の締め切り、などストレスを感じる状況をすべて上げることは不可能であるほど多くあります。
現代社会のストレスって、長時間抱え込むような感じになっていませんか?
この長期間抱えるような状況が問題なのです。
そして、ストレスを強く感じてしまう人は、予測して恐怖や不安を感じてしまって、さらに長くストレスを感じる傾向にあります。
例えばスピーチを大勢の前で行わなければならない場合、何日も何週間も前から憂鬱になって、不安を感じたり恐怖を感じるような人です。
このような人は、ストレスを強く感じてしまい、健康への悪影響がある可能性があります。
ストレスの悪影響
ストレス状態が続くと様々な悪影響がありますが、一番の問題はやはり血管の収縮作用でしょう。
血管が収縮するため、当然血流が悪くなります。
理由があって血管が収縮しているのはご説明させていただいた通りですので、ストレスを感じた時に収縮するのは当たり前なので問題ないのですが、その状況が長く続くと、アンチエイジングや美容どころの話ではありません。
血管が収縮して血流が悪くなると、身体に十分な栄養をスムーズに運ぶことができないわけですから、様々なところで悪影響が出るはずです。
脳に血流が十分に運ばれなければ、記憶力の低下や仕事の成果が落ちてしまうことになるかもしれません。
そうなると、さらなるストレスを抱えて、さらにひどい病気になってしまうかもしれないのです。
解決策
こんなにストレスについて、恐ろしいことばかり言っていますが、何か解決策はないのか、というのが本当に知りたいところですよね。
実はストレスの悪影響を解決する方法はあります。
ある研究で、同じストレスをかけているにも関わらず、脅威反応を示してストレスを感じる人がいる一方で、脅威反応ではない反応を示して、ストレスの悪影響を受けていない人がいることが報告されています。
その反応はチャレンジ反応と言います。
チャレンジ反応を示す人は、ストレスを感じる状況に不安や緊張を感じるのですが、一方でなんと、興奮や闘志を感じているというのです。
そのような人は、「よし、相手になってやる。かかってこい!」というような意気込みを持っているのです。
このチャレンジ反応が起きると、体内にあるすべての力を、その状況解決のためにかき集めるような反応が起こるのです。
心拍数が増えて、血液にたくさんの酸素が取り込まれるようになります。
チャレンジ反応が起こると、ポジティブな反応によって、心臓や脳など、必要な場所にたくさんの血液が送られるようになるのです。
これは特筆すべき反応であるということはお分かりでしょうか?
先ほどの脅威反応とは全く逆の反応を起こしているのです。
そして、脅威反応の時と同じように、エネルギー源となるグルコースを血中で増加させるために、副腎からはコルチゾールが分泌されます。
そして、ストレスを起こした仕事などが終われば、脳はコルチゾールの分泌をすぐにストップするのです。
これら一連の反応は、なんと運動をした時の反応と似ているのです。
運動しているのと同じ状況なわけですから、健康に悪いはずがありません。
チャレンジ反応の効果
ストレスに対してチャレンジ反応ができる場合、身体にはたくさんの良い効果があると言われています。
脳や心臓にたくさんの血液が流れるわけですから、課題を素早くこなせる能力が高くなったり、脳の老化の進行が遅かったり、認知症の発症リスクも低くなる、というような効果があります。
実際に、運動選手の場合、チャレンジ反応をする人は好成績を収める傾向があると言われています。
チャレンジ反応と脅威反応
この2つの反応は、どれか一つだけの反応を起こす、という人はおそらく一人もいないはずです。
ですから、どちらの反応が強いか、ということが重要になってきます。
幸い研究によって、チャレンジ反応は培うことができると言われています。
あなたが今ストレスを感じて不安を感じているとすれば、それを有害なものととらえるのではなく、これは私にとってやりがいがあるものであり、有益なものだと考え直すのです。
これを何度も繰り返すことで、チャレンジ反応が強くなってきます。
「そんな簡単なことで?」と思われるかもしれませんが、チャレンジ反応のことを知った今なら、こんな簡単なことで十分です。
後は継続して、ストレスで緊張や不安を感じたら、それは良い物、有益なものと考え、チャレンジする価値のあるものと考え直すことです。
重要なことは、脅威反応をなくそうとしないことで、チャレンジ反応を強くすることです。
脅威反応は私たちの生存のために必要なものでしたよね。
ですから、それをゼロにすることは、もともと不可能です。
それよりも、ストレスを感じた時には、チャレンジ反応を強くすることを意識しましょう。
まとめ
ストレスは、身体に悪いものと一般的に考えられていますが、これで必ずしもそうではないことが分かったと思います。
ストレスとはいかに付き合うかで、健康への影響が180度変わってしまいます。
アンチエイジングや美容のためには、チャレンジ反応を強くする必要があります。
今日からチャレンジ反応を養っていきましょう。