視覚から入る自然の風景の効果がすごい。健康やアンチエイジングへの影響とは?
視覚からの情報について
私たちは、たくさんの情報を毎日得ていますが、そのほとんどはやはり視覚から得ているものです。
本を読んだり、インターネットを見たり、テレビを見たりすることで、たくさんの情報を得ることができますね。
さらに道を歩いていたり、電車に乗っていたり、車を運転していたりするときも、視覚からの情報で次の行動を決めているはずです。
もちろん聴覚や嗅覚、触覚、味覚などの情報も重要ですが、量的には圧倒的に視覚が多いでしょう。
その視覚についてですが、どんな情報を得るのかについては、意外と無頓着であったりします。
しかし、視覚から得る情報は、私たちの精神状態や健康に大きな影響を与えるものがあるのですよ。
しっかりと、自分でどんな情報を視覚から得るのかということと意識することで、健康状態をよくすることにつながり、さらにアンチエイジングや美容の効果が高くなります。
視覚でとらえる自然の緑の効果
最近、自然の緑を見ていますか?
都会に住んでいると、たくさんの緑を見るということは難しいかもしれませんね。
しかし、緑を見るということが、健康や精神にものすごく影響を与えているのです。
白衣の天使、ランプの貴婦人などと呼ばれたフローレンス・ナイチンゲールが記した、看護覚書では、このような記述があります。
病人の看護にあたってきたこれまでの経験から率直に申し上げると、新鮮な空気についで必要なのは日光です。
興味深いことに、ベッドに横たわる患者さんはほぼ間違いなく、顔を日光の方に向けています。まるで植物が日光に向かって伸びていくように。
患者さんの状況をつぶさに観察しているフローレンス・ナイチンゲールの感想ですので、真実に基づいたものになります。
実に興味深いですね。
そして、部屋の眺めと健康の関係については、1981年のミシガン州の刑務所に関するものがあります。
それによると、窓の外になだらかに起伏する農場や森の風景が見える監房の囚人は、殺風景な中庭に面した監房の囚人と比べて、医師の往診を受ける回数が少なかったということです。
自然が周りにあるということが、どれほど重要なことなのか、ここからもうかがい知ることができます。
緑が与える健康への効果
また、ロジャー・ウルリッヒという研究者が、胆のう摘出術を受けた患者の方々について調べた研究があります。
この研究は、胆のう摘出術を受けた患者の方々を6年間調査したものです。
研究の中で、窓から林などの緑が見える病室にいた患者は、そうでない患者に比べて以下のような良い効果があったそうです。
- 術後の入院日数が短い
- 鎮痛剤の投与を求める回数が少ない
- 看護日誌にも前向きな姿勢を評価される記述が多い
この結果は、1984年「サイエンス」誌に掲載され話題になりました。
そして、ここからわかることは、自然を見るということは、鎮痛効果があるかもしれないということです。
鎮痛剤の投与を求める回数が少ない、ということは傷の回復が早いという効果があると考えられるのはもちろんですが、合わせて鎮痛効果があるかもしれないということになりますから。
頭痛などの場合には、自然に触れている時間が減っていないかどうかを確認することも必要なのかもしれません。
また、回復が早いということは、新陳代謝が活発になっているということでもありますので、自然に触れることは、アンチエイジングにも効果が高いのかもしれませんね。
自然が見えないことと暴力性の関係
また、自然と暴力性との関係について、別の研究があります。
イリノイ大学のフランシス・クオとその同僚であるウィリアム・サリヴァンによる研究です。
この研究では145人の女性が対象となり、窓から木が見える部屋の住人と、そうでない住人との比較が行われました。
この研究の結果、アスファルトの風景しか見えない部屋の住人に、心理面での攻撃性、軽中程度の暴力性、あるいは重度の暴力性が見られたというのです。
また、緑が見えない部屋の住人は、やるべきことをずるずると先延ばしにしたり、人生の苦難を長く深刻なものとして認識する傾向がみられました。
この状況は、最近話題のマインドフルネスと真逆の状態ですね。
自然の木や緑を見ないことが、さまよう心を引き出してしまう可能性があるということを助長してしまうようです。
この2人は、警察の報告書も2年かけて調べています。
シカゴのアイダ・B・ウェルズ公営住宅に関する報告書です。
この住宅では、98件もの犯罪が起こっていたようで、日本では少しイメージしづらいかもしれませんが、結果はとても重要なものだと思います。
この住宅には、以下のような特徴のある中庭があります。
- 植栽がほとんどない、つまり緑がほとんど見えない中庭
- コンクリートと樹木が混在している中庭
- 緑が豊かに茂る中庭
研究の結果、中庭の緑の豊かさの度合いと、犯罪発生件数に明らかな相関関係があったというのです。
2の中庭が見える場合は、犯罪率が42%も低かったそうです。
そして3に監視しては、48%犯罪率が低く、さらに暴力がからむ犯罪に関しては56%も低かったということです。
小さな緑の効果
さらに、鉢植えのような小さな緑の効果についても研究報告があります。
鉢植えの植物がある部屋にいる人の方が、鉢植えのない部屋にいる人よりも、室内にいる人間に5ドルずつ配ってほしいと頼まれたときに、寛大に応じやすいというのです。
鉢植えののような、人工的に感じる、そして小さな自然の緑でも、私たちに影響を与えているというのは驚きではないですか?
この結果はとても重要です。
何か商談をまとめたいときには、緑が見える場所で行うのが良いかもしれませんね。
相手は気前よく、こちらの金額に応じてくれるかもしれません。
商談に使う場所については、事前によく調べて、観葉植物をたくさん飾っているお店や、窓から公園や山が良く見える場所をいくつか探しておくのが良いでしょう。
また、自分のオフィスで商談を行う場合には、一番自然が良く見える部屋を抑えておくと、商談がスムーズに進むかもしれませんね。
そして、増税ばかり考えている財務省には、少し鉢植えの植物が足りないのかもしれませんね。
まとめ
視覚から入る自然の緑や樹木の重要性は、きっと意識されていなかったと思います。
視力には緑が良いということは知っていても、これだけ私たちの精神や健康に大きな影響を与えているのです。
ですから、毎日の生活の中でも、努めて緑をみる、樹木を見るという意識がとても大切なのですね。
健康にとても好影響を与える自然の緑は、免疫力や回復力も高めてくれるというすごい効果があるのですから。
また、自然に触れるということが、私たちの集中力を高めてくれるという研究報告もあります。
その自然が本当に小さなものでも、例えば道路のわきに植えてある小さな木のようなものであっても、私たちにとても大きな影響を与えてくれます。
なぜなら、自然を見ると私たちの脳からは、覚醒しているけれどリラックスしている状態で出てくる脳波であるアルファ波が出てくるからです。
仕事でどうも集中できない、もっと勉強で成果を出したい、などの気持ちがある場合には、もっと自然に触れる時間を増やすべきかもしれません。
観葉植物はその意味で、とても良い効果をもたらしてくれると思います。