自然に触れることが健康やアンチエイジングによい科学的根拠がある?
自然を見ることがなぜ健康に良い?
自然の風景や、波などは特別に決まった形というものがないように感じますね。
形がないから、それを見る私たちは安らぎを感じるのでしょうか?
私たちは、自然に触れることでいろんな恩恵を受けることができます。
それだけで十分な気がしますが、やはり科学者はそれでは納得しないようです。
なぜ、自然を見ることが私たちにとって、精神的にも健康にとっても重要なのかを解明しようとする研究がたくさん行われています。
自然の中のフラクタルの存在
1975年にフランスの数学者、ブノワ・マンデルブロは、一見複雑で混沌としている膨大な配列の中から、単純な幾何学的ルールを見出しました。
フラクタルを簡単に説明すると、図形の部分と全体が似通っているもののことです。
フラクタルを詳しく説明するとなると、とてつもなく数学的なものですので、このぐらいの理解でとどめておく方が良いと思います。
良く例に挙げられるのが、ロマネスブロッコリーです。
フラクタルパターンは、自然の中のいたるところに見つけることができ、雲、海岸線、植物の葉、大海原の波、ナイル川の増大と減水、多数の銀河の集まりなど、例を挙げ始めるときりがないほどです。
身近な場所でも、フラクタルは見つけることができますよ。
例えば木を思い浮かべてみましょう。
大きな枝と、小さな枝には同じような形をしたものがあり、さらに小さなものにも同じような形をしたものがあります。
そして、葉の葉脈にも同じように相似形がありますよね。
小さな葉と大きな葉は、相似形になっている。
自然の中には、混沌の中に、こういったフラクタルがたくさん存在しています。
数学者にとっては、逆にフラクタルが自然の混沌を作り出している、と考えるべきなのかもしれませんが。
フラクタルの存在なんて、私たちにはどうでもよいことですが、数学者の中にはこのようなことに情熱を傾ける人がいるのですね。
私など到底理解できませんが。
フラクタルが健康に良い?
しかし、フラクタルの存在が、自然が私たちに与える好影響についての解明にとても役立っているようです。
リチャード・テイラーという科学者が、このフラクタルの影響について研究を発表しています。
彼のフラクタルの影響に関する研究は、NASAの宇宙ステーションでの作業の負担を軽減することから始まっているようです。
(しかし、彼はジャクソン・ポロックの絵画に、子供のころに魅了されたそうで、ジャクソン・ポロックの絵にはフラクタルが含まれていると言われていますので、フラクタルについての研究はずっと行っていたようです。)
宇宙では、自然を見ることが難しいですから、何か画像のようなもので、その効果を生み出すことができないか、と考えて研究が進んだようです。
その結果、フラクタル次元(D値)が1.3Dから1.5Dの画像を見ると、ストレスからの回復力が60%向上することが分かったそうです。
フラクタル次元とは、フラクタル幾何学において、より細かなスケールへと拡大するにつれあるフラクタルがどれだけ完全に空間を満たしているように見えるかを示す統計的な量のことですが、難しい説明は置いておいて、ここではフラクタルが中程度の細かさとでもとらえておけばよいと思います。
そして、そこからさらに研究が進み、この程度のフラクタル次元の画像を見ることで、前頭葉から、瞑想やマインドフルネスなどで有名な、あのアルファ波が出てくるということがわかりました。
アルファ波は、覚醒していてもリラックスしている状態で出てくる脳波です。
つまり自然を見ることで、瞑想しているような状態になっているかもしれないのです。
そして、彼は研究を進めて、人間の網膜の動きに着目しました。
視線測定器を使って研究を進めたところ、被験者の瞳孔が画像のどのあたりに向けられるのかがわかり、なんと瞳孔の動くパターンがフラクタルであったというのです。
また、彼は他の科学者とともに研究を進めて、次の結論を導き出しています。
先ほどのような中等度のフラクタル次元が、対象物を認識して、その名を述べるテストで最も早い反応を引き出すことができると。
この能力は、人間が自然の中で敵か味方かを瞬時に見分ける必要があったために、身についている能力であると考えられています。
現代社会の弊害
そして、現在の社会は、例えば都会の交差点などは、とても複雑なため脳は情報を素早く処理できないことがあります。
都会の交差点には、フラクタルは見つかりそうにありませんからね。
その結果、無意識に不快感を覚えてストレスを感じる可能性があります。
自然が健康に良い理由は?
自然には、フラクタルが存在しています。
そして、私たちの瞳孔の動きもフラクタルに動いています。
そして、視覚のフラクタルの動きと、視野に入る自然のフラクタル映像とが適合することによって、生理的な共鳴が起こり、ストレスが和らぐ可能性がある、ということです。
まとめ
研究者は、このような事実を解明しないと気が済まないのでしょうか。
この結果によって、必ずしも自然を見る必要はなく、フラクタルの絵画のようなものを見れば済むような気もします。
しかし、私は自然を見ることは、もっといろんな意味があるのであろうと思います。
それに、わざわざフラクタルの画像を用意するよりも、外に出て自然に触れることの方が手っ取り早く、散歩やジョギングをすれば運動不足解消にもなって、健康やアンチエイジングにも良いですからね。
仕事や勉強などで、どうしても自然に触れられないときには、フラクタル画像を見るのもよいかもしれませんが。
また、瞑想のような効果があると、先ほどの研究の中で出てきました。
どうしても、瞑想やマインドフルネスに抵抗があるという場合は、自然に時間があれば触れることを意識するとよいかもしれません。