アンチエイジングのための運動、その後のご褒美には要注意!
運動後のご褒美の危険性
運動はアンチエイジングや美容にはとても有益であるということは、きっとご理解いただいていると思います。
運動には本当に様々なメリットがありますので、ぜひとも毎日の生活の中に取り入れていっていただきたいです。
例えば、アンチエイジングや美容の観点から言うと、運動を行うことで、身体が酸化するのを防いでくれます。
運動自体に抗酸化作用があるために、抗酸化物質を食べたように、身体を酸化から防いでくれるため、アンチエイジングや美容にとても効果があるわけです。
そして、運動を行うことで、血行が良くなるため、代謝も上がり脂肪燃焼の効果も高くなり、健康促進のためにも運動は効果が本当に高いです。
血行が良いということは、アンチエイジングや美容に必要な栄養素をスムーズに身体の隅々にまで届けることができますし、老廃物の排出もまたスムーズに行うことができるようになります。
肌のターンオバーも血行が良くないと、効果的に行えませんので、運動を行うことで肌のアンチエイジングも期待できるということになります。
そして、様々な病気にも運動はとても有益である、という研究結果もたくさん報告されています。
運動をする人は、総じて長生きで、高血圧や心臓発作や心血管系の病気、うつ病や糖尿病、メタボリック・シンドロームにかかるリスクがとても低くなるという報告は、本当にたくさんありますから。
私個人の意見をお話しすると、運動は病気に対して効果があるのはもちろんなのですが、最も効果的なのは、これらの病気を予防するという、予防医学的な考え方で運動に取り組むのが、最も効果が高いように感じています。
運動が細胞にもたらす良い効果
運動はなぜ身体によいのか?
それは運動は細胞内部にとても良い効果をもたらすことが、あらゆる健康促進の効果につながっています。
細胞内部に良い効果というのはどういう意味なのでしょうか?
運動というのは、短期的にはストレス反応を引き起こします。
ストレス反応とは、仕事などでストレスを感じた時と同じような反応です。
運動によって、身体の分子が損傷を受けますし、その損傷した分子は炎症を引き起こす可能性がある状態になっています。
しかし、それが引き金になって、大きな回復反応が起きます。
運動を始めて間もなく、オートファジーという現象が起こります。
細胞が細胞内部の損傷した分子を食べてしまうのです。
これをパックマンのように表現する方もいらっしゃるようですね。
このオートファジーによって、炎症を防ぐことができるのです。
さらに、損傷した分子の数がオートファジーで処理できないほどに多くなってしまうとどうなるのでしょうか?
なんとその細胞は速やかに死滅してしまうのだそうです。
これを「アポトーシス」と言い、炎症や残骸を残すことがないように、細胞が自ら消滅してしまうのです。
じゃあ、運動をしたらどんどん細胞がなくなってしまうではないか?
そう考えてしまいますよね。
どうぞご安心ください。
最近のショウジョウバエの実験、またその他の実験から,アポトーシスを起こした細胞はまわりに積極的に増殖因子を放出して細胞の増殖を促すことが報告されています。
つまり、新しく細胞を作る作用が強くなるということになります。
運動を終えて身体が回復しようとしているときには、このようなことが行われ、細胞の残骸の掃除が続いており、これによって細胞は、運動をする前よりももっと健康に、もっと丈夫になるのです。
運動の後も、この過程は体内で続いています。
運動後のご褒美
さて、ここで問題になるのは運動後のご褒美です。
- これだけ頑張ったのだから、アイスやお菓子、ケーキを食べても大丈夫だろう。
- 高カロリーのとんかつ、てんぷらなどをたくさん食べても運動で相殺されるだろう。
- 運動後の一杯のビールのために頑張っている。
こんな風に考えていませんか?
その気持ち痛いほどわかりますよ。
運動した後に、自分の好きなお菓子や食べ物、アルコールを飲むときほど、至福の瞬間ってあまりないですからね。
中には、運動後にコーラを2リットル一気飲みするという強者もいますからね。
運動後に一杯どころか、何件も居酒屋をはしごして締めにはラーメンまで、ということもよく聞きます。
しかし、ここで十分に注意しなければいけないのは、運動後の体内では先ほど説明したような活動がフル稼働で行われているということです。
アンチエイジングや美容、健康促進の観点から考えなければならないのは、その活動をできる限りサポートするということです。
運動による疲労を素早く回復させ、筋肉を育てるには、失われたエネルギーを補給し、傷ついた筋肉を回復させるための栄養素を、しっかりと補給する必要があると言われています。
運動後にとても大切な栄養素は、糖質とたんぱく質です。
運動後20分以内に、糖質とたんぱく質を3:1の割合で摂ると、回復がぐっと進むという研究報告もあります。
これをエルゴジェニックというもので、研究報告としては十分とは言えないようなのですが、試してみたい方は試してみるのもよいのではないでしょうか?
運動後の管理や栄養に関しては、こちらも参考にしてみてください。
糖質補給は何でもよい?
じゃあ、糖質が必要なのであれば、お菓子やケーキはいいじゃないか、という意見が聞こえてきそうです。
確かに糖質がたくさん含まれていますが、それは白砂糖がたくさん含まれているからです。
白砂糖は炎症をさらに加速させるもので、まさに火に油を注ぐようなものです。
せっかく運動後の炎症を回復させてくれている身体に、炎症をさらに加速させようとするものです。
糖化
糖化とは、摂り過ぎて行き場を失った糖が、体内のたんぱく質と結びつく現象のことで、身体が焦げることと表現されることもあります。
この糖化によって、体内ではAGEという物質が生成されます。
このAGEは「老化物質」とも呼ばれており、身体のあちこちにダメージを与え、老化や様々な病気の原因となることがわかっています。
たくさんのスイーツを食べることは、この糖化にも結び付いていますので、運動することが逆に不健康へつながる可能性もあります。
糖化の大きな原因は血糖値の急上昇ですが、大量の砂糖のみのようなケーキやアイスなどは、しっかりと血糖値を急上昇させるものです。
運動後は身体が回復にフル稼働ですから、糖化を予防することまで手が回らない可能性も十分にありますので、スイーツなどを食べないようにする必要があるかもしれません。
活性酸素
運動後は活性酸素も発生していますので、できれば抗酸化作用のある食べ物や、オメガ3脂肪酸を含んだものを補給したいところです。
そうなると、ナッツや野菜、果物などが良いということになりますね。
イチゴやブルーベリー、レモンなどは、疲労回復などの面で最適です。
残念ながら、スイーツやジュース、アルコールなどには、これらの物資はほぼ皆無です。
まとめ
運動後のご褒美は、とてもおいしいものですから、食べたいという気持ちはすごくわかります。
しかし、アンチエイジングや美容、そして健康促進のために運動を行っているというのであれば、そのご褒美の内容をしっかりと管理する必要があります。
例えば運動後にスイーツを食べているのであれば、それをフルーツに切り替えるなど、置き換えによって、管理するというのが一番取り組みやすいのではないかと思います。
運動後のご褒美をこれから一生食べるな!と言われるとストレスを感じてしまうという場合は、すべてをやめてしまう必要はないと思います。
週に一回だけ、運動後に好きなものを食べる、いわゆるチートディのようなものを設定するのもよいですね。
せっかくの運動の効果を最大限にするためにも、運動後のご褒美には十分にご注意ください。