昼寝、パワーナップの効果。積極的に昼寝をしなければならない理由とは?
昼寝は好きですか?
昼寝というと、どんなイメージがあるでしょうか?
中にはさぼっているという印象を持つ人もいるかもしれません。
その考え方は少々古いので、昼寝の良い効果を知っている方もまた多いのかもしれませんね。
私にとって昼寝は、今でこそ好きになっているのですが、保育園での昼寝の時間が本当に苦痛だったことを思い出します。
子供のころは、眠くないのになぜ昼寝をしなければならないのかと、いつも不満に思っていました。
でも結局のところは、いつの間にか眠っていましたし、起きるときには起きなければならないことに不満を感じていました。
今となっては懐かしい記憶です。
昼寝の効果
忙しい社会人の場合は、昼寝ができるなんて羨ましい、と感じる人が多いのかもしれませんね。
昼寝をしている時間もないほどに忙しい、という人は本当に多いはずです。
しかし、昼寝は積極的にするべきだという研究結果がたくさん出ています。
イギリス元首相ウィンストン・チャーチル
ウィンストン・チャーチルについては、その名前を知らない人は少ないでしょう。
学校の教科書にも載っている有名人ですからね。
チャーチルは、昼寝を精神のバランスを維持するため、そしてエネルギーを補充して、元気を回復するために欠かせないものとみなしていたようです。
この習慣は第一次世界大戦中に、海軍大臣を務めていた時に身につけた習慣で、首相になった後もずっと続けていたそうです。
その昼寝の方法はかなり本格的で、パジャマに着替えて1時間から2時間ほど昼寝をしたそうです。
ダグラス・マッカーサー
また、同じく日本で有名な元陸軍元帥ダグラス・マッカーサーも昼寝を日課にしていたそうです。
村上春樹
日本人では、作家の村上春樹さんが昼寝を日課にしているそうです。
僕は実によく昼寝をする。だいたいは昼食のあとで眠気を感じ、ソファにごろりを横になって、そのままうとうとと眠る。30分くらいでぱっと目が覚める。目が覚めた時には身体のだるさが消えて、頭はとてもすっきりしている。
「走ることについて語るときに僕の語ること」(文藝春秋2007年)
創造的な仕事を長時間続ける人や、仕事に想像力と臨機応変さを求められる人は、自分自身の精神の状態や肉体の疲れなどに敏感で、昼寝の重要性にも気が付いていたのでしょう。
他にも昼寝を日課にしていたアメリカ大統領や、有名な作家の人たちはたくさん存在します。
ちょっとここで考えてみるとわかると思うのですが、彼らほど忙しい人たちはいないのではないかということです。
それにも関わらず、昼寝を必ずスケジュールに組み込んだということは、どれほど昼寝が重要かということを物語っているような気がしますね。
むしろ忙しいからこそ昼寝をしろ、ということなのかもしれません。
パワーナップ
この昼寝の研究は、いろんな研究機関で行われているのですが、信ぴょう性を上げるためにも、誰もが納得できそうな研究結果をご紹介したいと思います。
パワーナップと呼ばれるものについての研究の報告になります。
パワーナップとは、社会心理学者ジェームス・マース氏が提唱した昼間の短時間仮眠のことです。
なんのことはない、要は昼寝のことですね。
このパワーナップの科学的効果を研究で実証したのは、あの有名なNASAなのです。
1995年頃からNASA Napsという睡眠研究を行っていて、その実証実験では昼に26分間の仮眠で、認知能力が34%、注意力は54%も向上したという報告をしています。
なぜこのような良い結果が昼寝から得られるのでしょうか?
その理由は、ノンレム睡眠にあります。
ノンレム睡眠は、深さに応じて4つのステージがあると言われています。
カリフォルニア大学の神経科学者マシュー・ウォーカーの研究によると、入眠20分ほどで訪れる軽い睡眠レベルの「ステージ2」にある効果があることが報告されています。
それは脳内のキャッシュ・メモリがクリアされて、情報を整理・記憶したり、優先順位をつける脳のワーキングメモリが強化されることが明らかになったのです。
それによって得られるメリットは数多くありますが
- 疲れがすっきり取れる
- 判断力・理解力・集中力が上がる
- やる気がアップする
- 自由な発想が生まれやすくなる
- 作業効率が上がる
など、昼寝をしない理由が見つからないようなメリットがたくさんあります。
仕事のパフォーマンス向上に直結する習慣として、Google、Apple、Microsoft、NIKEなどの世界的企業かなり積極的に取り入れています。
これらの企業は、オフィスに仮眠スペースを設けたり、睡眠装置を置くなどして積極的に社員の昼寝を推奨しているのです。
うらやましい環境ですね。
理想的な昼寝の環境
昼寝を理想的にするためには、チャーチルのようにパジャマに着替えて横になれれば最高ですが、通常の生活をしていれば、そうはいかないのが現実ですよね。
ですが、オフィスのデスクに座った状態、または机にもたれかかって昼寝するということでも全く問題ありません。
光があるとどうしても昼寝がしづらいですから、アイマスクなどを使うとよいでしょう。
また、PCの画面からのブルーライトはどうしても睡眠を妨げますので、昼寝の時には電源を切るか、スリープモードにするなど、画面を暗くすることをお勧めします。
昼寝の時間
昼寝の時間は20~30分程度が良いと言われています。
それ以上長く眠ると、深い睡眠になってしまうため、目覚めが悪く身体がだるくなってしまう可能性があるからです。
目覚めをよくするために効果的だと言われるのは、昼寝の直前にコーヒーなどのカフェインが入っているものを飲んで昼寝をすることです。
カフェインの効果は摂取後20~30分で現れると言われているため、昼寝から起きるときにちょうど良いというわけです。
とはいえ、仕事や学校に行っているときには、昼休みは1時間程度ということが多いので、いつまでも寝ているということは逆に難しいかもしれませんね。
きっと誰かが起こしてくれるでしょう。
しかしそれを期待して、寝すぎてしまうと上司に起こされて、ひどく怒られるなんてこともあり得ますので、ちゃんと起きるようにしましょうね。
雑音
人は少々の雑音があるほうが眠りやすいと言われています。
シーンと静まり返っている環境では逆に眠りづらくなるということが多いようです。
理想的なのは、風の音や雨の音のような自然の音です。
周りの音がどうしても気になる場合は、耳栓などを使うのが良いかもしれませんね。
最近では、AirPods Proがかなり便利なので使っている人が多いようです。
それを使って、YouTubeなどで睡眠のための音楽などを聴きながら寝ると、とても良い昼寝ができるかもしれません。
寝ないといけないのか?
みんながが見ているし、会社で寝るなんてできない、という方もいらっしゃるかもしれません。
また、昼寝があまりできる体質ではないという方もいらっしゃるでしょう。
そんな方も安心してください。
パワーナップは、本当に寝るのが理想ですが、ただ目をつぶるだけでも同じような効果があると言われています。
ファーマン大学の研究によって、昼寝は必ずしも眠る必要はなく、15分程度目をつぶることでも、記憶力を著しく向上させるなどの良い効果があることが報告されています。
体質的に昼寝がどうしてもできない、という方もいらっしゃるでしょうから、この結果はとても重要ですね。
睡眠負債
ただし注意が必要になるのが、昼寝を20分程度行っても、逆に頭がぼーっとしたり、身体がだるくなる場合です。
その場合は、昼寝では全くカバーできないほどに睡眠不足である可能性があります。
その場合は、夜の睡眠がしっかりと取れているのかを確認する必要があります。
前日だけが睡眠不足になってしまって、昼寝でカバーしようというのは良いと思いますが、慢性的に睡眠不足で昼寝でそれをカバーしようとしても、カバーできないということがいろんな研究で報告されています。
昼寝ももちろん重要なのですが、もっと重要なのは夜の睡眠をしっかりととるということが前提であることは、しっかりと認識しておく必要がありますね。
まとめ
昼寝に関していくつかの研究報告を見ながら確認してみました。
いかがでしょうか、昼寝って積極的にしないと損ではないかと思いませんか?
寝られない環境にある場合は、昼休みに目を閉じるだけでもその効果が期待できるわけですから、できれば今日から取り入れていきたい習慣ですね。
また、どうしても昼寝ができない、できる環境ではないという場合は、こちらを参考にしてください。