鉄不足は貧血を引き起こすだけではない!精神的な面への影響も!
鉄不足が引き起こす不調
鉄はとても重要な栄養素であることはご存知だと思います。
特に女性は生理があるため、男性よりも鉄を失いやすいため、不足しやすい栄養素になっています。
鉄が不足することで起こる症状としては、やはり貧血があります。
鉄は赤血球の中のヘモグロビンの材料として使われているものですが、そのヘモグロビンによって体中に酸素が届けられ、二酸化炭素を体外に排出できるようになっています。
しかし、鉄が不足してしまうと、そのヘモグロビンが十分に作られなくなるわけですから、体中に十分に酸素を届けることができなくなってしまいます。
その結果、貧血となってしまって、ふらついたり、バタッと倒れてしまうわけです。
また、鉄が不足することによって起こる身体の不調としては、貧血はとても有名ですが、他にも次のようなものがあります。
これらの症状が起こるのは、身体で必要になるエネルギー生産が落ちるからです。
エネルギー生産がなぜ減るのか?
では、鉄が不足することと、エネルギー生産にはいったいどのような関係があるのでしょうか?
そのためにはまず、私たちの身体がどのようにエネルギーを生産しているのかを知る必要があります。
人間の身体は細胞でできているのですが、その細胞の中にはミトコンドリアという器官があります。
このミトコンドリアが、ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーを生産します。
私たちが、日ごろ身体を動かしたり、考えたり、仕事したりできるのは、このATPが生産されるからです。
ミトコンドリアは、呼吸によって取り入れた酸素、食事から取り入れた栄養などを栄養に変える、いわばエネルギー生産工場のようなものです。
そして、このATPを生産する過程で必要になる酵素の一つが鉄なのです。
そのため、鉄が不足してしまうと、十分なATPを作り出すことができなくなってしまいます。
体中に届けなければならないATPが作られなくなってしまうということは、身体の動きがストップしてしまうことを意味しますので、その結果、だるさ、冷え、頭が働かない、すべてが面倒くさい、などという状態になってしまいます。
女性に冷え性が多いのは、筋肉の量が男性よりも少ないということが理由の一つですが、さらに鉄を男性よりも失いやすいということも理由になっています。
最近やる気がない、何をするのも面倒くさい、なんとなくいつも疲れている、というような場合は、鉄が不足している可能性があります。
精神面への影響
鉄不足は、貧血やエネルギー不足からくる身体の不調の原因となることがわかりました。
しかし、影響はそれだけにとどまらない可能性があるようです。
鉄不足になっている人は、イライラやうつ病、情緒不安定などを感じることがあります。
厚生労働省が「平成26年患者調査」によると、気分障害(躁鬱を含む)の患者数が男性41万8000人であったのに対し、女性は約70万人と、圧倒的に女性の方が多いという報告になっています。
女性の方が多い理由としては、鉄不足が女性の方に多いことも原因になっていると考えられています。
鉄がうつ病や、パニック障害などの精神的な疾病に関係があるとされているのは、鉄がホルモン分泌にも深くかかわっているからです。
心を安定させる、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニン、やる気を促すときは「ノルアドレナリン」、快楽や多幸感を得るときには「ドーパミン」などの神経伝達物質は有名ですよね。
これらのホルモンは脳内などで分泌されるものですが、当然体内で生産できなければ分泌もされません。
これらのホルモンを作る役割を果たす酵素を助けているのが、実は鉄なのです。
これらのホルモンが正常に分泌されなければ、現代社会に生きている私たちはストレスにさらされている時間が長いのですが、それを正常に対処することができない可能性があります。
対処できないストレスを抱えたまま、さらに新たにストレスを抱えるというような状況に陥ってしまうと、精神的な病になってしまうことがあるわけです。
鉄不足は貧血になるだけ、と考えて軽く考えるべきではない、ということが分かったのではないでしょうか?
鉄を補うためには
鉄を補うためには、鉄を含んだ食材を食べることで補うことができます。
鉄を含んだ食材としては、以下のようなものがあります。
- 卵
- 肉
- 魚
- レバー
- 大根葉
- 小松菜
- ほうれん草
などです。
レバーは肉の一つじゃないのか、と思ったあなたは鋭いですね。
レバーは、鉄を豊富に含んでいるので、あえて別にお伝えしたかっただけです。
ちなみに、これを見てわかるというか、食材なので当たり前ですが、動物性のものと植物性のものがありますね。
鉄という観点に関していえば、吸収が良いのは動物性の食材です。
動物性食品に含まれているのは「ヘム鉄」と呼ばれる種類の鉄になります。
植物性食品に含まれているのは「非ヘム鉄」と呼ばれるものです。
非ヘム鉄は、ヘム鉄と比べると、吸収率が落ちるので、動物性食品の方が効果的に鉄を摂ることができるわけですね。
そのため、植物性の食材だけで鉄を補給することは難しい場合があります。
しかし、鉄はビタミンCがあると吸収率が高くなると言われていますので、野菜も取ったほうが吸収率は高くなるようです。
ヴィーガンやベジタリアンでなければ、動物性、植物性、どちらの食材もバランスよく摂ることが大切ということになりますね。
鉄は摂りすぎも注意
鉄が足りないからといって、大量に取ればよいかというと、そこもまた問題があります。
基本的に食事から摂ろうとするのであれば、鉄を過剰に摂りすぎるということは、ほぼありえないと言われています。
しかし、自分の判断だけで鉄をサプリメントなどから摂ろうとすると、危険な可能性がありますので、サプリメントなどを摂る場合は、勝手な判断で摂るのではなく、かかりつけ医などに相談しながら取り組む必要があります。
調子が悪いからという理由で、鉄をサプリメントなどから摂取すると、急性鉄中毒になる可能性があります。
よほどたくさんの鉄のサプリを摂らないとそうはならないようですが、急性鉄中毒になると重度の臓器障害や死につながる恐れがあると言われています。
これを聞くと鉄を摂ることに恐怖を感じるかもしれませんが、食事からの鉄の補給は問題ないので、食事の改善を基本として考えていけばよいでしょう。
まとめ
鉄分が不足すると、貧血以外にも様々な症状を引き起こすことが分かったと思いますので、その重要性もご理解いただけたのではないでしょうか?
鉄は特に女性は不足しやすい栄養素になりますので、常日頃から鉄分を多く含んだ食材を食べるようにする必要があります。
しかしながら、一番重要であり繰り返し強調しておきますが、鉄は食事を改善することで補うべき栄養素です。
安易にサプリメントなどに頼ることは、特に個人の判断で行うことは危険です。
鉄不足が気になるという場合、食事を改善しても良くなった気がしない、という場合には、病院で鉄不足かどうかを診察してもらうべきでしょう。
病院では血清フェリチンの濃度を測ることで、鉄の量を計ってくれるので、その診察を受けてからサプリメントなどを使う必要があるかは判断されるべきだと思います。
しかし、やはり健康促進、アンチエイジングは日ごろの食事が基本となりますね。