読書好きけんの雑記ブログ(ヘルシー志向強め)

日々思いついたことをシェアしたいと思っています。読書で得た知識も備忘録を兼ねて、わかりやすく感想をアップしようと考えています。

「新人OL、社長になって会社を立て直す」(佐藤義典著)の感想

続編の内容は?

 

「新人OL、社長になって会社を立て直す」は、以前感想を書かせていただいた「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」の続編になっています。

 

healthyounger.hatenablog.com

 

「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」では、経営不振に陥っているイタリアンレストランを再建する内容になっていました。

 

主人公である売多真子が、如何にイタリアンレストランを再建するか、というストーリーになっていて、誰が読んでもわかりやすい内容になっていました。

 

そして、要所要所でマーケティングの要素が解説されているため、その知識がどのように実践できるのか、ということも非常にわかりやすくなっています。

 

この「新人OL、社長になって会社を立て直す」は、その続編ということですので、どのようなストーリーになっているのか、とても楽しみでした。

 

ライバル出現

 

イタリアンレストランは、前作でつぶれることなくお客様を集めることに成功して、商売繁盛していたようです。

 

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しかし、うまくいくとわかれば、ライバルが出現するのはどんなビジネスでも同じことです。

 

イタリアンレストランの名前は、「そーれ・しちりあーの」ですが、このレストランの近くにイタリアンレストランが出店してきたということから、物語がスタートします。

 

ライバルが出現すれば、お客様はそちらに流れる人もいるわけで、売り上げにも影響が出てきてしまうものです。

 

そんなレストランの状況を改善しようと、主人公の売多真子が奮闘する内容です。

 

ライバルの出現にどのように手を打っていくのか、ということはどんなビジネスにも言えることなのですが、レストランには経営のすべてが詰まっているような場所ですので、すべてを考えることができます。

 

お客様を集めて、商品を売り、商品を開発するなど、小さなスペースに経営のすべてが詰まっているため流れがつかみやすく、経営にあまり関係がない読者であっても、比較的簡単に理解できるように工夫されています。

 

ライバルに勝つ強み

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ライバルが出現するということは、お客様がそちらに移ってしまう可能性があるわけですから、お客様を魅了するような強みが必要になりますよね。

 

しかし、強みというのは、どのように考えていけばよいのか、漠然としていてよくわからないものです。

 

そもそも強みの定義がはっきりとしていないところにも問題があります。

 

本書では強みについて次のように記載されています。

 

強み弱みは競合次第で変わるから、競合が定義できなきゃ強みもなにもわからない。

 (中略)

お客様によっても強みが変わる。

(40ページ)

 

つまり、強みというのは自分だけを基準に考えていては何もわからないということになりますね。

 

競合を考え、お客様を考える中で強みというものがわかってくる。

 

戦略理論

 

そこで、如何に戦略を考えていくか、ということが解説されていきます。

 

戦略理論をまとめると、基本的には次の5つになるとされています。

 

  1. 戦場・競合(Battlefield
  2. 独自資源(Asset)
  3. 強み(Strength)
  4. 顧客(Customer)
  5. メッセージ(Selling Message)

 

この5つの頭文字をとってBASiCS(ベーシックス)と呼ばれるそうです。

 

この5つを考えて戦略を立てなければうまくいくことはないということであり、強みはこの中の1つですので、強みだけを考えていても改善は難しいということになります。

 

例えば1の戦場・競合について本書では例が挙げられています。

 

マクドナルドのハンバーガーが買えない場合は、どのようなものが選ばれるか考えてみましょう。

 

無難に考えると、ロッテリアモスバーガーなどが選ばれるでしょうか。

 

しかし、中にはドトールを選ぶ人がいるかもしれませんし、吉野家を選ぶ人がいるかもしれません。

 

ドトールが選ばれると、競合はカフェになるかもしれませんし、吉野家が選ばれている場合は、安く食事ができる場所が競合になるかもしれません。

 

このように競合は誰かということは、同じような商品を売っているところだけではない可能性があり、質問すべきは「自社商品がなかったら、お客様はどうするのか、どこで買うのか?」ということを考えなければなりません。

 

競合をしっかりと定義することができなければ、いくら自社の強みはすごいんだ、と言っても全く役に立たない可能性があります。

 

その他の戦略についても、本書では詳しく解説されています。

 

強みについて

 

強みについては、前作である「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」でも出てきていました。

 

強みは大別すると3つに分かれます。

 

  1. 手軽軸(早い、安い、便利)
  2. 商品軸(高品質、新技術)
  3. 密着軸(顧客の個別ニーズに対応)

 

この中から、自社の強みを見つけ出し、お客様にお届けすることで、ライバルに差をつけることができるわけです。

 

全てを網羅した強みを探したい、と考えてしまいがちですが、おそらくそれは不可能です。

 

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コーヒーを考えても、ホテルのコーヒーは一杯1000円ぐらいすることがありますが、それはおそらくコーヒーの品質、味、そして空間を提供しているなど、様々な理由があり、それを必要とするお客様がいるからです。

 

逆にコンビニのコーヒーは100円程度ですが、それを求めるお客様と、ホテルのコーヒーを求めるお客様のニーズは全く違うはず。

 

ですから、強みは3つの軸のうち一つを選択して、そこから戦略を立てていく必要があるわけです。

 

全てのお客様のニーズを満たそうとすると、何も満たせないという悲しい結果になるかもしれません。

 

戦略サイクル

 

戦略を考えた後は、それが実際にうまくいくのかを当然評価する必要があります。

 

具体的には、戦略を考えたら「数字」に落とし込むことで、数字として成果を出せるようにすることです。

 

そのために、本書では戦略サイクルというものが必要になるとされています。

 

本書ではこう書かれています。

 

戦略 → 数字 → 実行 → 評価、という「戦略サイクル」を回すことが重要。それぞれの頭文字をとって「せ・す・じ・評価」のサイクルと呼ぶことにします。

(74ページ)

 

そして、こうも書かれています

 

この「せ・す・じ・評価」は「すべきこと(戦略)を考える → 定量的な数字を定期的に追う → 問題が起きたら原因を把握する → 打ち手を考えて実行する」という当たり前のサイクルなんです。

(77ページ)

 

数字で結果を追うということは、ビジネスならば当然のことですが、そのサイクルを具体的に考えていないと、改善というのは難しいのかもしれませんね。

 

なぜなら、数字でとらえていないと、どうしても漠然とした目標になってしまって、会社や集団が一丸となってその目標を達成しようとすることができないからです。

 

本書では

 

数字を共通言語にするんだ。人事評価や給与とも連動させれば組織が同じ方向に勝手に動き出す。

(93ページ)

 

当然どの数字を共通言語にするかで、その結果も変わってくるのですが、そのたびに戦略サイクルを回して、より最適なものに仕上げていく、という作業が必要になっていくのです。

 

まとめ

 

イタリアンレストラン「そーれ・しちりあーの」は、レストランですので大企業ではありません。

 

しかし、その限られた場所で行われることは、経営のすべてが詰まっていると考えてもよい場所です。

 

そこで奮闘する主人公売多真子の活躍は、読んでいる私も共感することができましたし、そこから経営のことを学べたのは本当にありがたいと考えています。

 

表紙は少女漫画のような絵になっていますが、中身はかなり濃いですよ。

 

ストーリーも面白いので、経営に興味がある方は一読をお勧めしたいですね。