「伝え方が9割」(佐々木圭一著)の感想
コミュニケーションが苦手?
誰かに何かを伝えるためには、コミュニケーションがとても重要ですよね。
それは当たり前のことですが、コミュニケーションは相手ありきのことですので、伝わらなければ意味がないです。
ちゃんと伝わるように話すことがとても重要になるのですが、その方法というのは才能のように考えてしまいます。
本当にそうなのでしょうか?
私もコミュニケーションがそれほど得意ではないので、伝え方が上手になる方法はないか、と考えて参考になる資料を探していると、本書を見つけました。
著者である佐々木圭一さんはコピーライターですが、最初はできないコピーライターで苦しんだそうです。
しかし、ある法則に気が付くことで、国内や海外のコピーライターの賞をとるまでになったというから驚きです。
佐々木さんは
「伝え方にはシンプルな技術がある」
「感動的なコトバは、つくることができる」
(7ページ)
と書かれていて、彼自身この法則を見つけたことで、人生を激変させたということです。
コピーライターと実際のコミュニケーションは違う?
しかし、コピーライターが作るのは文章だけれど、実際のコミュニケーションは話すことだから違うはず、と考えるかもしれませんね。
良いコピーがかけても、コミュニケーションはうまくないという方もいるはず、と思いますよね。
ただ、コミュニケーションが上手な方は、文章もうまいのが一般的です。
それはなぜかというと、紙の上に書く文章と実際の会話には違いがないと考えて作成するからです。
ですから、コピーライターとして実力がある人は、実際の会話でも上手に相手に伝えることができる人が多いのです。
伝え方が9割とは?
ところで本書のタイトルである「伝え方が9割」というのは、どういう意味なのか気になりませんか?
タイトルの最初が「伝え方」ですから、伝え方という方法があるということで、その方法が書かれているのが本書ということです。
如何に相手に伝えるか、ということが問題であって、そこには技術があるのであって才能ではないため、技術を磨けば誰でも伝えることが上手になるということです。
ちょっと希望が持てませんか?
伝え方が変われば、人生を変えることができる可能性が高くなるものです。
ですが、今まで0%だったものが、いくらかでもアリになれば、人生は明らかに変わります。
(23ページ)
当然相手に「Yes」と言ってもらえる回数が増えれば、人生が激変する可能性もそれに合わせて高くなりますよね。
そして、その技術は学べるのですから、ぜひとも学んでほしいというのが佐々木さんの主張です。
相手をイエスに変えるステップ
伝える技術として、相手に「イエス」と言わせるような方法が多数紹介されているのですが、最初に3つのステップが紹介されています。
私は、この3つのステップをまずはマスターすることが一番重要だと思っていますし、これができれば、かなり良い伝え方ができると思っています。
ステップ1は、
頭で思ったことをそのまま口にするのはやめることです。
(57ページ)
これはどういうことかというと、頭で思ったことをすぐに口に出すと、自分のことだけを考えてしまっていて、相手のことを考えていないことが多く、自分の希望、願望だけを伝えてしまうからやめるべき、ということです。
そしてステップ2は
お願いに相手がどう考えるか/普段相手は何を考えているか、相手の頭の中を想像します。
(58ページ)
自分の思ったことだけを話さない、というのは何のためかというと、相手が何を考えている、何を望んでいるか、ということを考える為です。
そして、ステップ3で、
相手のメリットと一致するお願いをつくる
(59ページ)
相手のメリットと、自分の希望や願望と一致するようなお願いを作るということになります。
ここまでの作業を行うことができれば、相手がその願望を受け入れてくれる可能性はかなり高くなりそうですよね。
本書では、デートに誘う場面が例として解説されていました。
デートをしたい場合は、どのようにお願いするでしょうか?
この3つのステップを知らない場合は、単純に「デートしてください」と話すだけではないでしょうか?
しかし、これではあなたが考えたことを、そのまま口に出しただけですので、相手に「イエス」と言ってもらえる可能性を高くすることはできませんよね。
そのため、お願いするときには、この3つのステップを考える必要があるわけです。
まずは、デートしてほしいという頭で思ったことをそのまま口にすることをやめます。
次に、相手がどう考えるか、普段何を考えているのか、ということを想像します。
例えば、その人がイタリアンが好きだったという場合を想定して、本書は話が進んでいくのですが、それが相手がどう考えるか、普段何を考えいてるのか、ということになります。
あなたの求めることをストレートに言うのではなく、「相手の好きなこと」からつくることにより、相手のメリットに変えるのです。
(64ページ)
デートの場合で言うと、デートしてください、とストレートに言うのではなく、「驚くほどおいしいパスタの店があるんだけれど、一緒に行かない?」という感じのお願いになるでしょうか。
もちろん本当の目的はデートしたい、ということですが、それをストレートに伝えるよりも、相手のメリットになるようにお願いした方が、「イエス」と言われる可能性は確実に高いです。
この3つのステップが自然に考えられるようになれば、お願いが受け入れられる可能性は、今までよりも格段にアップするはずですよね。
相手の嫌いなことから考える
また、相手の嫌いなことから提案を考えることも可能です。
相手の嫌いなことからもつくることができます。「こちら嫌いでしょ、だからやらない選択をしましょう」という切り口です。
(69ページ)
相手の好きなこと、嫌いなことを把握してそれに合わせてお願いや提案をするということができれば、確かに相手に「イエス」と言ってもらえる可能性は大きく跳ね上がることは簡単に想像できますよね。
伝えることは相手との作業
すでにお分かりだと思いますが、伝えるということは、相手のことをまず考えることが重要になります。
「お願い」は、あなたのコトバではなく、あなたと相手の共作なのです。あなたのハッピーと相手のハッピーをいっしょにつくりあげることなのです。
(88ページ)
相手との共作ということを意識している方はあまりいないのが現実ではないでしょうか?
ですから、伝え方を学ぶことができたとしたら、かなりの武器になると私は感じています。
本書では、そのようなお願いの仕方、そしてお願いの作り方ができるように配慮されて書かれています。
そのため、誰が読んでも上手な伝え方を、システマチックに学んでいくことができると思います。
まとめ
伝え方というと、自分のことをいかに伝えるか、ということばかり考えてしまうものです。
しかし、上手にそして相手に「イエス」と言ってもらえるように伝えるためには、如何に相手の考えや思想を把握して、メリットになるようにお願いできるか、ということの方が重要ですよね。
本書では、相手のことを考え、そして相手の感情を揺さぶるような伝え方ができる技術が、他にもたくさん紹介されています。
本書の中には、如何に上手に付箋を使うか、というテクニックも紹介されていて、相手にいかに伝えるか、ということが考え抜かれた内容になっています。
一度身につければ、職場や日常生活で必ず役に立つテクニックですので、気になる方は一読されることをお勧めします。