「「人を動かす人」になるために知っておくべきこと」(ジョン・C・マクスウェル著)を読んだ感想
人を動かす能力は自分で学ぶ?
人を動かす人になる、タイトルにあるこの言葉って、かなり力強いものだと思うのですがどうでしょうか?
人を動かせるようになれば、自分がやりたいことがもっともっとできるようになったり、新しく起業できたりするかもしれませんよね。
人の力、助けを借りることができる、ということは多くの偉人が大切にしていた能力のようなのですが、誰も教えてくれないというのが悲しいところでした。
学校でもどうやって他者の力を借りればよいのか、ということを教えてくれるところはないですし、社会に出てからも誰も教えてくれません。
ですから、何とか自分でその能力を磨いていくしかないわけですが、本書のような内容を読むことは不可欠です。
人を動かす人とは?
しかし、そもそも人を動かす人、というのはどのような能力を持っている人なのでしょうか?
当たり前ですが、何かの魔法で人を操り人形のように操れる能力ではありません。
そんな能力があればぜひ教えていただきたいですが、どうやらそんな能力はなさそうです。
人を動かす人、というのは特別な存在というわけではなく、リーダーとかボスと呼ばれるような、人の上に立つ人のことです。
そして、そのリーダーがいかに人を動かして、目標を達成していくのか、ということに内容がフォーカスされているように感じました。
リーダーにもいろんなタイプがいるのは周知の事実で、無能と呼ばれる人、カリスマ性を発揮して強いリーダーシップで周りを率いていく人など、様々なタイプがいますね。
そして、できれば強いカリスマ性、リーダーシップを発揮して、周りを巻き込んでいきながら、目標を達成していきたい、と考える人には本書はお勧めです。
会社、チームが成功するために
リーダーやボス、上司は当然会社やチームを率いているはずです。
この場合、仕事に限定する必要もなく、コミュニティの中のチームであったり、また家族であっても同じことだと思います。
そのチームが成功するか否かは、リーダーがいかに人の能力を最大限に引き出して、共通の目標に向かって努力できるかにかかっているわけです。
その能力が「人を動かす人」には必要になるのですね。
リーダーというと、周りの人に無理やり言うことを聞かせる、というようなイメージを持つ人がいるかもしれませんがそれは違います。
「利他の心」が、結局は人の心を動かし、自分自身をも助けるのだ。
(30ページ)
利他の心とは、いろんな意味がありますが、他者の利益を増大させるようなイメージですね。
そんなリーダーが、無理やり言うことを聞かせる、というような行動をとるわけはないですよね。
無理やり言うことを聞かせるような方法は、最終的には周りに協力してくれる人が誰もいなくなってしまうことは目に見えています。
最終的には誰もいなくなるようなものは、リーダーシップではないですよね。
相手の立場に立って考えることができる人が、強いリーダーシップを発揮することができるわけです。
そして、その心を伝え、他者に全力を出させるために必要なのが、やはりコミュニケーションです。
コミュニケーションはすべての基本である。
いつも「激励の言葉をかける」「自尊感情をくすぐる」「傾聴力を鍛える」「相手の心の底を斟酌する」の四つを念頭に置いてほしい。
(38ページ)
なんとなく激励の言葉をかけるというのは、恥ずかしいという気持ちになってしまう人が多いのですが、リーダーシップを発揮する人は、それが自然にできているということです。
ここから言えることは、人を動かすということは、人がやりたいと思うように、自発的に行うように導く力がリーダーシップには必要だということでしょう。
カリスマ性のある人は、自分が人生の勝利者になりことを望んでいるだけでなく、他の人にもそうなってほしいと思っている。
(47ページ)
他者の望んでいることを理解することができるのであれば、それを実現できるように力を貸すことができるのもカリスマ性を持ったリーダーができること、ということになります。
自分だけが良ければよい、というような一見強いリーダーシップを発揮しそうな考えとは正反対のことを、強いリーダーシップを発揮するためには身につける必要があります。
相手を批判するときには
リーダーシップを発揮するためには、当然ですが他者を𠮟責したり、批判したりする必要があります。
間違ったことを行っている場合、それを正しい方向に導かなければ、最終的には破滅の道を進んでしまうことになります。
ですから、他者を導くという場合には、批判することも重要です。
感受性が強い人は自分が傷つくのを恐れ、人と関わるのを避けがちだ。しかし、カリスマ性のある人は積極的にリスクを負い、他者への影響を発揮していく。
(50ページ)
批判についても、やはり積極的に行っていく、ということがリーダーシップを発揮するためには必要な能力です。
しかし、その批判は他者を傷づけることが目的となっていてはいけないのはもちろんのことです。
先にも述べたが、カリスマ性の本質は、「自分がいい気分になるより、人をいい気分にさせることに気を遣う」ことである。
(54ページ)
この気持ちというのは、いかなるときにも持っていなければならないことであり、当然誰かを叱責したり、批判するときは必要ない、ということではありません。
その批判が相手のためになることだから、言うのだということを念頭に置いておくべきでしょう。
リーダーシップに欠かせない資質とは
ここまで見てきた強いリーダーシップに必要とされるものは、他者の気持ちを考えることでした。
そしてそれを可能にさせてくれる、リーダーとしての資質とはいったい何なのでしょうか?
人のモチベーションを高めたり、他者を巻き込んだりしていくのに欠かせない資質があるとすれば、それは「自信」である。この自信に、ヴィジョン、統率力、過去の実績といった要素が加わると、人々のモチベーションに作用して強烈なパワーが生み出される。
(56ページ)
自信というものは、自分の経験から生み出されていくものであり、それはリスクを恐れずに果敢に挑戦していく中から形成されていくものです。
自分を信じて行動範囲を広げ、経験値を積み上げ成長する努力をしない人に影響力など生まれるはずがない。
(59ページ)
経験値を積み上げて、失敗も経験していく中で、自信が形成されていき、リーダーシップを発揮するための土台が積みあがっていくということです。
とはいえ、なんでもやってみるということは、再起不能になるような失敗をしてもよいということではありません。
再起不能になるような失敗は、当然避けなければならないことであり、リスクも自分がコントロールできる範囲でとるということが大切です。
それもリーダーシップを発揮するための重要な能力ということができそうです。
まとめ
リーダーシップというのは、他者の利益を考えて能力を引き出すことができる人のことですね。
スティーブ・ジョブズは、「アップル社が成功した理由」をこう説明している・
「優れた人材を集めたこと。それに失敗が成功をもたらすという意識を浸透させたことだ。」
(184ページ)
リーダーシップを示すためには、他者の能力を引き出すことが重要であり、それはリスクを恐れずに行動させることができる能力でもあります。
その意識がチーム全体に浸透すれば、大きな結果を出すことができる、そう思わせることがリーダーシップの一つなのですね。
そしてそれを可能にさせる方法について、本書は本当に詳しく解説してくれています。