「夢を叶えるための勉強法」(鈴木光 著)を読んだ感想
鈴木光の勉強法を知りたい
東大王やプレバトなどに出演されている鈴木光さん、とても頭が良いイメージがありますが、どのような方法で勉強されているのか、ということにとても興味がありました。
本書は、鈴木さんが「みなさんの家庭教師になったつもりでこの本を書きました」と述べられている通り、とても親切にどのように勉強を進めていくのが良いか、ということが書かれています。
本書の後半は大学受験の教科、特に東大に合格するためにどのように勉強してきたか、またどのように勉強するべきか、ということにページが割かれているため、社会人にはあまり参考にならない、という意見もあるようですが、私はそうは思いません。
勉強するということは、一生続くものですし、本人はそうは思っていないとしても、周りから天才だ、と思われている人の勉強法や考え方を知ることから得られるものはとても大きなものです。
ですから、社会人であろうと受験生であろうと、本書を読んで得られるものはとても大きなものだと私は考えます。
最初の数ページと、最後の数ページは鈴木さんのグラビアがあるのですが、これはご愛敬という感じなのかもしれませんが、私は好感が持てました。
目標を立てることから始める
多くの勉強法で指摘されることですが、まずは目標を立てるということが重要になります。
しかし、多くの方は目標をしっかりと考えることなく、いきなり勉強に取りかかるのではないでしょうか?
たとえば、「英語ができるようになりたい」と思っているのに、数学の勉強しかしていなかったら、いつまでも英語ができるようにはなりませんよね。
「英語の定期テストで80点を取りたい。そのためには週に〇時間は勉強をする必要がある」というように、目標を明確にしたうえで勉強内容を決定していく必要があります。
英語ができるようになりたい、という人が数学だけを勉強するか?というところは疑問が残るかもしれませんが、目標が明確でないと目的地がわからないために、まったく違う道を進んでいる可能性がある、ということを極端な例で示しているのでしょう。
そして、目標の立て方にもいくつかの段階を設定するようにされているようです。
と言っても難しいことではありません。
- 「こんな大学に入りたい」「こんな職業に就きたい」という年単位の「大目標」
- その達成に必要な数か月単位の「中目標」
- 細かな確認のための数日・数週間単位の「小目標」
このように目標を設定していくことから始めるようにと書かれています。
やりたいことがわからない、目標が定まらない
ここで必ず出てくる質問は、やりたいことがわからないということではないでしょうか?
目標を決めるときに、多くの方が勘違いしてしまうことがあるのですが、それは一度立てた目標は絶対に達成しなければならない、という考え方です。
まだ、スタートしていないのですから、その目標は間違っているかもしれませんし、目標自体が変わるかもしれません。
先ほどの英語の勉強で定期テストで80点以上取りたいという目標の場合、いつまでもそれが永遠の目標になるわけはなく、アメリカの人と会話がしたい、英語のドラマを字幕なしで見たい、というように変わっていく可能性もあります。
ですから、目標は一度決めたら絶対に達成する、というような考えでいる必要はなくて、いつでも目標を変更したりして大丈夫なのです。
もちろん努力もしないで、この目標はやめた、というようなことは良くないわけですし、目標を変えることを努力しないための手段として使うことは間違っているので、そこの線引きはしっかりとしておく必要がありますね。
本書では、何をしたいのか、どんな目標を立てればよいのかわからない、という方のためにも丁寧な解説がありますので、それに沿って目標を立てれば間違いのない目標が立てられるのではないかと思います。
だから本書では、すぐに実現可能な「小目標」の設定から始まり、最後は3年以上かけるような「大目標」の達成までを目標として、数々の勉強テクニックを紹介していきます。
本書の勉強法から学ぶべきこと
本書は勉強法が解説されいているわけですが、著者のように頭が良い人は何か特別な勉強法を知っているから頭が良いのだ、と考えている方はあまり得られるものがないかもしれません。
頭が良いと言われる方は、自分に合った勉強法を確立しているのですが、それは私たちと同じように努力しているということが前提にあります。
しかし、私の経験上、勉強法のすべてに問題点があることは少なくて、勉強の方法のほんの一部に非効率的な点があるだけということが多いのです。
そのため、部分的にやり方を変えるだけで現状が大きく改善することがたくさんあります。
非効率な方法を変えるためには、効率的にできる方法を知る必要があるのですが、そのために本書のような本があるわけです。
頭が良い、と言われる方は実は徹底的に非効率を省いて、効率的に勉強を行うことができるため、頭が良いということが言えるようです。
暗記・記憶する方法
勉強するうえで絶対に外すことができないことは、やはり何かを記憶するということです。
英単語を記憶する、数学の公式を記憶するなど、記憶することは山のようにあって、それができないから苦労している、という方が多いでしょう。
そして、おそらく鈴木光さんのような天才と言われる方は、記憶力も驚くほど高いのだろう、と考えてしまうものですよね。
私も以前はそう考えていたのですが、いろいろな本、資料を読んでみるとそうではないということがわかってきました。
記憶がものすごく得意で、なんでも何の苦労もしないで記憶できる、という人は本当に少数であり、ほとんどの人は「自分は記憶力が良くない」と考えているようです。
本書でも、鈴木さんは普通の多くの方が行うように、何度も復習して記憶している様子がわかります。
そんな中で、如何に効率的に復習していくか、という方法が解説されています。
これが最も大事な点と言っても過言ではないのですが、一気に覚えようとしないこと、ちょっとずつ覚えて次に進むことこそが暗記の鉄則になります。
天才の勉強法を学べると思っている方は、ちょっと拍子抜けするような内容かもしれませんが、逆に天才と言われる方々も、我々と同じように暗記することには苦労しているということがわかる部分ではないかと思います。
そして、頭が良いと言われる人と、そうでない人の違いは、覚えるまで徹底的に反復するかどうか、という一点だけなのですね。
もちろん反復を効率的に行うための戦略というものは、たくさん紹介されていますので、それらを参考にすることで、今の自分の実力を飛躍的にアップさせることができるという期待を抱かせてくれますよ。
まとめ
勉強するとき、暗記するときになどは、ドラえもんの「暗記パン」のように食べたら見たものをすぐに覚えられる、というようなものが欲しいと思ってしまいますよね。
しかし、そのようなものはありませんし、またそれを実現させるような方法も今のところないようです。
如何に効果的に繰り返し復習して定着させていくか、勉強ということに関しては、究極に単純化すればそこに行きつきます。
それをいかに効率的に行うか、ということは誰かの勉強法を参考にして試してみる、ということが一番簡単なわけですから、天才と言われる人の勉強法が学べる本書はとても優れた参考文献です。