「なまけもの時間術 管理社会を生き抜く無敵のセオリー23」(ひろゆき(西村博之) 著)を読んだ感想
2ちゃんねるの開設者の時間術が知りたい
著者のひろゆき(西村博之)さんは、YouTubeなどでも有名ですが、もとはインターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設したり、その後に「ニコニコ動画」を開始するなど、IT起業家ですよね。
現在は、フランス・パリ在住ということで、自由を謳歌されているイメージがあります。
起業家ですから当然大金持ちなのだろうなと思うのですが、起業家でもある著者が時間術を書いているのですから、何か学ぶべきものはあるだろうと考えて読んでみました。
起業家がパリに住んでいるわけですから、日本の一般的なサラリーマンたちにはあまりしっくりこない、という部分も当然あるのですが、何か一つでも吸収したいという意欲があるのであれば、たくさんの学びがある本だと思います。
それに、文章が語り口調のような簡単なものになっていますので、それほど真剣に読む必要もなく、手軽に読める内容になっているので、サラサラっと読めると思います。
時間をどう使うか
時間術という言葉がタイトルに入っているのですから、当然時間をどう使うかということがテーマになっています。
しかし、「なまけもの」というおおよそビジネスシーンでは、よろしくない印象のある言葉が使われているため、その方法に興味がわいてくるというものです。
なまけものと言っても、何もしないということではもちろんなく、如何に時間を少なく使って価値を作り出すか、ということに焦点が当たっているように感じます。
「どんなときでも、与えられた時間の中で、最大の価値をつくる」
最大の価値を作るためには、遅刻することもよくあるそうです。
このあたり、一般的な会社員が行うと、すぐに席がなくなってしまいそうですが、そういう価値観で生きるということができるのは、うらやましいという気持ちも沸いてきますね。
遅刻されて怒る人もいるのでしょうが、そもそもの発想が遅刻を前提としていないからだと思います。待ち合わせ時間を決める時点で、「遅刻しても罪悪感がない場所」「遅刻されても苦にならない場所」に設定しておけば、遅刻問題のほとんどは解決するんじゃないでしょうか。
そこで本屋などで待ち合わせをするということを、学生の頃からされていたようです。
ここで重要だと考えられるのは、与えられた時間の中で最大の価値を生み出すということが、遅刻を前提とした思考とどうつながるか、ということにあります。
著者であるひろゆきさんは、誰も思いつかない、思いついてもやらないようなことを行ってきた側面がありますよね。
それは、正攻法の正しい方法でものを考えていては出せなかった結果なのかもしれません。
遅刻しても大丈夫、というものの見方がそれを可能にさせたのか、ということはわかりませんが。
そういう人は、「時間どおりに来るべきだ」「間に合うように起きるべきだ」といった「べき論」で物事を考えていて、多くの場合、仕事も正攻法で考えるタイプです。
でも、僕は多くの人が考える「正しい方法」を取ることは多くありません。
もちろん遅刻しないで優れた結果を出している方も多くいらっしゃるわけですが、著者はそうではないため、遅刻を許すことができない人とは距離を置くようにしているということです。
そもそもの価値観が異なる人と組むことになって、いろいろとエネルギーを使ってする合わせるのは、お互いにかなり非効率ですよね。
ここをどう感じるかは個人個人違うと思いますが、自分の価値観を貫くことができる環境を作り出した、ということ自体も考慮するべきだろうと思います。
如何に自分に合った生活ができるように、環境を整えるかということはあまり考えられないものです。
その結果、会社員として働いている、という方も多いと思いますが、このような生き方もあるということを知れば、自分が実現させたいことをいかに現実にするか、という考えも出てくると思います。
会社員に誇りを持っていて、仕事にやりがいがある、という場合はそれは素晴らしいことですが、そうでない場合は自分の時間の考え方を見つめなおすときかもしれませんね。
そして、自分で何かを作り出す、ということを考える時でもあるかもしれません。
著者もいろんな挑戦をしていますが、失敗しても生活保護をもらって生きればよい、という考え方のようです。
そこまで割り切った考えはなかなかできないかもしれませんが、セーフティネットはしっかりと準備されている、ということだと考えれば挑戦も恐ろしくないのかもしれません。
自分の属性に合った闘い方
著者は自分の性格というか属性についてしっかりと理解しているため、闘い方もそれに合わせて変えるようです。
とにかくがむしゃらに頑張るとか、無理をどうにか通そうというのは、そもそも「負け」が確定している中での努力なので、そこは早々に諦めて、さっさと別の勝利条件をそろえた方がいいんじゃないでしょうか?
これは著者の考え方ですので、とにかく頑張る、がむしゃらに頑張るということが大好き、という方がいらっしゃればそれを続ければよいことです。
やはり体育会系というのはわかりやすいですし、スポーツ的な取り組みが好きという方は、かなり困難な状況を楽しめるという方もいらっしゃることを、著者自身も否定していません。
何が正しいという話ではなくて、頑張るとか無理をするということができない人、嫌いな人はそこで戦う必要はないであろうということです。
ただ、そういう努力をする才能が僕にはありません。「直接戦闘」とか「ド根性」系の能力値は低いと自分でわかっているので、努力して売れる商品じゃなくて、放っておいても売れる商品を作って並べておいた方がラクじゃないかと考えるほうです。
根性で戦うことに時間を使いたくない場合は、さっさとそこから逃げて勝てるところで勝負するということですね。
自分の性格や属性をしっかりと把握して、その能力がいかんなく発揮できる場所にいる方が、時間を有効に使えるということにもつながり、価値を生み出す結果につながる問いうことです。
まとめ
著者とは立場が全く違うために、一般的な会社員のような人には、すべてを参考にすることはできない内容だと思います。
しかし、自分の時間を有効に使うためのヒントが一つでも手に入れば、それでこの本を読む価値はあったということになるのではなでしょうか?
また、IT起業家はこのような考え方なんだな、ということを知るという意味でもとても有益な本だと思います。