「誰も教えてくれなかった 金持ちになるための濃ゆい理論」(上念 司 著)を読んだ感想
新しい理論が学べるか?
著者である上念司さんについては、テレビやYouTubeなどでよく見るため、どういう思想の方なのかということは、なんとなく知っています。
特にテレビ朝日や朝日新聞にたいしてモノ言う感じで、いつも動画を楽しく見させていただいています。
テレビ朝日の玉川徹さんを救いたい、という趣旨の動画には笑わせていただいた記憶があります。
そんな上念さんの本ですが、何冊か書かれているので、いろんな本を読んではいるのですが、今回は「誰も教えてくれなかった 金持ちになるための濃ゆい理論」についての感想です。
誰も教えてくれなかった、というですので新鮮なアイデアのようなものが得られるのではないか、と期待をしていました。
また「濃ゆい」という言葉も、なかなか魅力的なコトバですよね。
ですから、さぞかしお金持ちになるための素晴らしい理論が展開されるのであろうと思っていました。
結果から言ってしまえば、そのような過度の期待は抱かないようにするべきだろう、と感じます。
誰も教えてくれなかった、ということが書かれていると思っていたわけですが、展開される理論は、おそらくどこかで聞いたことがあることばかりだと思います。
そのため、この本を読んだ方の中には、読む価値なしという感想を書いている方もいるのですが、それはいかがなものかと思います。
全ての理論は既知のものであったとしても、その理論は間違っているというわけではないですし、それらの理論を実践しているかどうか、ということの方が重要なことです。
実戦しないで批判するのではなく、お金持ちになる理論を実践している人の本から、一つでも学ぼうという姿勢でいる事が大切なのだろうと、いつも本を読むときには思います。
著者が求めたもの
著者は大学を卒業して、銀行に就職しているのですが、すぐにやめてしまったそうです。
このまま銀行員を続けていいれば、そこそこの車が買えて、海外旅行にもたまに行けるのかもしれない。グルメも多少は楽しめるだろう。
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銀行員というと、世間の人は高給取りというイメージがありますから、当然このような考えを持ちますよね。
そして、それを続けるのが当然という意識を持って、やめるという選択肢はあまり考えないのかもしれません。
しかし、著者は違います。
私はもっと大きな自由が欲しかった。高級外車に乗りたいとかそんなチンケな話してはなく、朝起きて自分の行きたいところに行き、やりたいことをやる。どんな仕事をするかは自分で決め、どこまでやるか、いつまでやるかも自分で決める。
(15ページ)
その結果、1年足らずで銀行を辞めてしまったそうです。
自由を求めて仕事をやめる、ということは誰にでもできることではありません。
もちろん、単純にやめるということなら誰にでもできるわけですが、その後の生活などを考えると誰にでもできるものではありませんよね。
だから、多くの方がサラリーマンとして働いている、というのが現状でしょう。
しかし、著者はそこで銀行を辞めてしまうという選択肢を取っているのですが、その理由が自由を求めて、というのですからどうも漠然とした理由でよくその決断ができたなという気がします。
お金で幸せを得られるか?
著者はお金で人生の問題の9割は解決することができると述べています。
実際それは私も正しいと思います。
もちろん、きっちり9割ということはないですが、おおよそ9割は解決するはず。
しかし、そこから得られる幸せのようなものは、それほど長続きしないものばかりです。
ブランド物を買ったり、グルメを楽しんだり、高級外車を購入したりすると、幸福感はその時は感じるのですが、その後はすぐになくなってしまいます。
そして、さらに新しいものが欲しくなったりするのですね。
それに対して、先ほどのお金で解決しなかった残りの1割に目を向けるとどうなるでしょうか?
例えば健康、自主性、社会への帰属意識、良質な環境、自由、愛情、友情、悩みを相談できる相手など、上げればきりがないほど出てくるのですが、このようなものはお金で変えない側面があります。
著者はこの中の自由を求めていましたね。
当たり前ですが、それ以外のことも求めているはずです。
このようなお金で解決することができないものを追いかけるために、銀行という安定しているように見える地位を捨てています。
残り1割は金食い虫
自由を求めて仕事をやめる、ということはなかなかできないことではあるのですが、少なからずこれを理由に仕事をやめる人がいるのも事実ですよね。
しかし、ここで認識しておかなければならないことは、この1割のことを求めようとすると、お金で解決できる9割のことよりも、より多くのお金が必要であることが多いということです。
そんな事実を知らないで、自由を求めて、また自分探しのため、というような理由で仕事をやめて、お金がもっと必要になるという現実に直面してしまう方が大勢います。
その結果、フリーターなどになるしかない、というような場合は、自由を求めてさらに自由を狭めてしまう、というような結果が生まれるかもしれません。
自由を求めるためには、定職についている時よりも、多くのお金を稼ぐ必要があり、それを実現させるための理論が、本書では紹介されているわけです。
濃ゆい理論とは
濃ゆい理論については、様々な意見があるとは思いますが、基本はロバート・キヨサキ氏の著書「金持ち父さん貧乏父さん」で紹介されている理論がベースになっています。
そのため読む必要なし、金持ち父さん貧乏父さんを読めば十分という意見が出てくるわけですが、私は本書からもたくさんのことを学ぶことができました。
経済には流れがあり、その流れを掴んだ人がお金を儲けます。
(19ページ)
これは反論の余地がないことであり、如何にその流れを掴んでくるかということが重要になります。
今現在では、また仮想通貨に流れが来ているように感じる方がいるかもしれません。
そこに投資することは自己責任ですので、止めることはしませんが、私は仮想通貨に投資したいとは思いません。
なぜなら、仮想通貨の価値がわからないからです。
何にも使うことができず、ただ買う人が多いから価格が上昇しているだけですので、当然このまま上昇するかも、急落するかもわからないため、君子危うきに近寄らず、というのが正解だと思っているからですね。
経済の流れに話を戻すと、その流れはそう簡単には見えないというのが事実です。
ですから、ビジネスを始めるにしても、重要な心構えがあります。
死なない程度にじゃんけんをずっと続けていくマネージメントこそが大事です。決して勝てなくてもいいから、とにかく負けないように粘ること、いわばゲリラ戦を続けることがポイントです。
(33ページ)
流れがいつ来るかわかりませんが、その流れが来たらさっと乗れるように、このようなマネジメントが必要なわけです。
じゃんけんは三分の一の確率で勝てる、ということは残りの三分の二は負けるということになります。
ビジネスにおいても、負ける確率は意外と高いものですが、その負けで致命的なダメージを受けることなく続けられるかどうか、ということが重要なわけです。
この考えは非常に重要なのですが、耐えることができるかという計算をすることなく、勢いでビジネスに飛び込んでしまうと、立ち直れないダメージを食らってしまう可能性があります。
如何に負けるか、ということを最初に考えることが必要なのですが、それは誰も強調していないのではないでしょうか?
まとめ
上念さんは実際にいくつかのビジネスを手がけている方です。
スポーツジムやオンラインサロンなどを経営されている方ですので、その理論も実践から出てきたものということです。
そこから学べないというのであれば、読書の仕方が間違っていたのかもしれませんね。