ウォーレン・バフェットは長期投資家?短期投資家?
個人投資家へ警鐘
長期投資で有名な投資家と言えば、やはり世界一の投資家ウォーレン・バフェットですよね。
彼が率いているアメリカの投資会社であるバークシャー・ハザウェイは5月1日に株主総会を開いています。
その中で、アメリカでも急増していると言われる個人投資家に対しての発現があります。
多くの人が『カジノ』にいる
個人投資家が行っている短期の投機的な取引が、カジノに参加しているプレイヤーのようになっているということですね。
新型コロナの影響もあり、在宅勤務が増えている中で、以前よりも自由に株取引ができる状況にあるため、多くの人々が株式投資を始めているそうです。
そのような状況も手伝ってか1月には、投機的な売買で一部銘柄が乱高下する事態も起きたようです。
企業の業績に基づいた判断で行われた投資ではない、短期的な投資資金というのは、ちょっとしたニュースなどに敏感に反応してしまう側面があります。
そのため、短期投資の資金が大量に流れてきた銘柄は、必要以上に大きな動きをしてしまうことがあるのです。
短期投資の勝率は高いのか?
個人投資家は、資金も大きくないため取引を自由に行うことができます。
早くお金を稼ぎたいという気持ちが強いのか、個人投資家のほとんどが短期投資を行い、デイトレードやスイングトレードなどで、一日に何度も取引する傾向が強いようです。
ウォーレン・バフェットは、この短期投資について勝率などにも少し言及しています。
その内容は、宝くじと比べると利益が出る確率は高い、と述べているのですが、長期保有する方がより良い結果が出ると指摘しています。
相場が上がっているときには、短期取引でも利益を出すことができるわけですが、その相場がいつ崩れて下落するかは誰にも分かりません。
ですから、短期取引を行っていて、下落相場が始まってしまうと、今までの利益が吹き飛んでしまって、マイナスになってしまう可能性があります。
その恐ろしさをウォーレン・バフェットは株主総会で指摘しているのですね。
実はウォーレン・バフェットは短期投資家の側面も
そんなウォーレン・バフェットですが、実は一般的なイメージとは違う側面もあるようです。
それは短期投資家としての側面です。
彼は気に入った銘柄は、永遠に保有すると言われているのですが、その投資手法は実は多岐にわたっているのかもしれません。
投資期間については、ウォーレン・バフェットが直接話したことはないのですが、彼が率いるバークシャー・ハサウェイがSEC(米証券取引等監視委員会)へ提出したフォーム13Fへの掲載回数から、その期間を推測することができます。
それによると、投資期間は以下のようになります。
- 半年以下しか保有していない銘柄 24銘柄
- 半年から1年半 16銘柄
- 1年から2年 20銘柄
- 2年から3年 19銘柄
これは全体の三分の二にあたる数で、およそ110銘柄が5年以内に売却されているようです。
個人投資家だと、一日に何度も取引を行うなど、かなり短期な取引を行う人が多く、ウォーレン・バフェットの投資法については、その人たちからすると長期投資ということになるのかもしれません。
しかし、彼のイメージは選んだ銘柄は売却しない、というほどの長期投資家なのですが、ちょっと意外な結果になっていますね。
今では、20年以上保有している銘柄は3つしかないと言われています。
それは以下の通り
これ以外にも、ウェルズ・ファーゴを保有しているようですが、ポジションを縮小しているようです。
短期投資家の側面が強くなってきているのは、最近の相場に合わせて投資手法を変えてきているのかもしれません。
長期保有の割合が、依然と比べて格段に少なくなってきているからです。
2005年9月末では、長期保有の銘柄の割合が80パーセント前後ありました。
しかし、2020年3月末の段階では、26パーセント前後にまで減っています。
ウォーレン・バフェットほどの巨大な投資資金を持っているのであれば、それほど頻繁に売買を行うことはできないのではないか、と考えていたのですが、そうではなくて適宜銘柄の入れ替えを行っているというところが天才と言われるゆえんかもしれません。
売却した銘柄のその後
ウォーレン・バフェットが売却した銘柄について、81銘柄を調査したものがあります。
それによると、そのうち33銘柄が売却後の騰落率が指数を上回っていたということで、彼の売却が正解だったということが示されています。
素晴らしい銘柄は長期保有するけれど、そうでない銘柄は見切りが速い、ということがここから明らかになりましたね。
2020年にコロナウイルスの感染が猛威をふるう中で、ウォーレンバフェットは保有していた航空会社株を全て手放したことがニュースになっていました。
長期投資家としての側面と、短期投資家としての側面の両方を併せ持った投資家、というのが本当のウォーレン・バフェットの姿なのですね。
投資手法の変化
ウォーレン・バフェットの投資手法についても、近年の相場の環境などを考慮しつつ、やはり変化してきていることは明らかです。
以前はIT関連の企業については、理解できないということで投資をしてきていませんでした。
しかし、2016年後半からアップル株を購入し始めていて、今ではバークシャー・ハザウェイが保有する最も大きな銘柄がアップルになっているそうです。
投資哲学は常に維持しつつも、進化し続けるということが彼を偉大な投資家にさせているのでしょう。
まとめ
ウォーレン・バフェットの投資手法は、保険会社を買収することで得られるフロートを利用するなど、個人投資家には真似ができないところがたくさんあります。
しかし、その根底にある投資哲学は、様々な書物から学ぶことができます。
偉大な投資家の知識の一部でも、取り入れることを私はいつも望んでいます。