ウォーレン・バフェットも使う「バスケット・アプローチ」とは?
ファンダメンタルズ分析が投資の基本
投資の方法は星の数ほどあるのかもしれませんが、私は企業の業績や資産などから投資のタイミングを計るファンダメンタルズが一番基本になると考えています。
テクニカル分析などは、有効だと考える方も多いようですが、私には使いこなすことができません。
テクニカル分析は、チャートを使って投資のタイミングを計るわけですが、私もそれを試してみたことは何度かあります。
しかし、買ったり負けたりを繰り返すだけで、収支はトントンでした。
1勝10敗でも、1勝が十分に大きくて10敗のマイナスをひっくり返してしまうような取引を行えばよい、という考えでテクニカル分析を使って取引されている方もいらっしゃるようですが、私は1敗でもすれば精神的なダメージが大きいため、10敗してしまうともう立ち直れない自信があります。
そのためテクニカル分析は、私には合わない投資法だということを自覚しています。
長期投資を基本とする
テクニカル分析では損切りで、損失をそれ以上大きくしないということが重要であり、さらに勝てる取引はできる限り利益を伸ばす、ということが求められます。
そのため、損失を出しそうな取引は損切りしてしまうため、基本的には短期のトレードが中心となります。
しかし、ファンダメンタルズ分析による投資は、企業の業績や資産などと現在の株価を比べて、現在の株価が企業の本当の価値よりもかなり割安であるものを買います。
そして、本質的な価値に株価が到達するのを待つため、取引期間が長く長期投資になります。
企業の本来の価値が100億円だったと仮定して、現在の株価から時価総額を計算すると10億円という場合がそれにあたります。
この状況は単純に考えれば、10億円でその企業を買収してしまえば100億円手に入るということであり、その状況はいつか是正されて時価総額が100億円に近づくはずです。
しかし、今は誰も気が付いていないため、割安で放置されている状況のため、その企業の株式を購入して株価が上がるのを待つわけです。
しかし、誰も気が付いていないわけですから、その株価がいつ上がるのかは誰もわからないため、長期投資になるのですね。
バスケット・アプローチ
そして、ファンダメンタルズ分析による投資には、バスケット・アプローチと呼ばれるものがあります。
それは、投資の神様と言われるウォーレン・バフェットも使う手法になります。
ウォーレン・バフェットの投資は、企業を徹底的に分析して、本当に理解した企業の株式を購入するというのが基本になっています。
しかし、本当にその企業を理解することができない場合は、投資ができないのかというとそうではありません。
投資環境の中には、その業種、業界が全体的に割安になっていることがあります。
その中から、一番有望な企業を見つけることができれば、そこに集中投資をすればよいのですが、専門的な知識を持ち合わせていないために、有望な企業を探し出すことができない場合は、バスケット・アプローチを使って投資をおこないます。
バスケット・アプローチが実際にどのようなものなのか、ウォーレン・バフェットの投資例を見てみましょう。
ウォーレン・バフェットは、2020年に2回バスケット・アプローチで投資を行っているようです。
そしてその1回が日本でも話題になった、日本の商社株への投資です。
日本の商社株を5銘柄(三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅、伊藤忠商事)をまとめて買っていた、ということが2020年8月頃に判明したことを記憶している方は多いのではないでしょうか?
彼は、日本の商社株が割安で放置されていることに目をつけ、その中で一番有望な企業を見つけるための専門的な知識を持ち合わせていなかったため、まとめて5つの企業へ投資を行ったのです。
その後は、商社株は勢いよく上昇していったことで、やはりウォーレン・バフェットはすごい、ということが話題になったことも記憶に新しいです。
このように、そのセクター、業種の有望な企業をまとめて購入するというのがバスケット・アプローチです。
本質的価値が重要
バスケット・アプローチは、割安になっているセクター、業種をまとめて購入するものですから、比較的簡単に感じるかもしれません。
個人投資家が最も伸びていく企業を正確に見つけるための専門的な知識を持っている、ということはあまり期待できないですよね。
ですから、ある程度までは企業を選択できてもそこから先はわからない、という場合はとりあえずそのセクターの主要な企業を買ってしまう、という方法はとても有効です。
しかし、ここでも重要になることは、その業種が本来の価値に比べて割安になっているということを正確に把握する能力です。
割安になっていることが分からないけれど、このセクターは伸びていきそうだ、という理由で購入しても失敗する可能性があります。
セクター全体が割安で放置されているところに、バスケット・アプローチで投資をするからその手法が有効なのであって、なんとなく割安に見えるという程度の判断では、バスケット・アプローチ全体が失敗に終わってしまう可能性が大きいです。
ですから、ファンダメンタルズ分析の基本中の基本である、割安かどうかを判定するということはバスケット・アプローチで投資を行うためにも必須の知識ということになります。
まとめ
バスケット・アプローチは投資の神様ウォーレン・バフェットが使う手法ということなので、個人投資家にはまねできない投資法と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
投資規模ははるかに小さいにしても、割安かどうかを判断できるのであれば、バスケット・アプローチで投資することはとても有効な手段の一つとなります。