FIREできる状況を作ってもリタイアしないという選択肢もあり!
FIREの歴史について
FIRE(Financial Independence, Retire Early)については、日本でも多くの方があこがれているようです。
FIREの始まりはアメリカで、1992年に発売された「Your Money Or Your Life」という本がきっかけだと言われています。
著者は2人でJoe DominguezさんとVicki Robinさんです。
2人の主張は、簡潔に言ってしまえば質素な生活をして、貯蓄を増やしていってFIREを実現するということになります。
具体的には、収入の70%を貯蓄に回して貯蓄額が年間経費の30倍、もしくは貯蓄額が100万ドル、日本円にすると1億円程度になれば、今の仕事をやめてリタイア生活に入るというものです。
1億円あれば、年間4%程度の運用で400万円の利益になりますので、その運用益で生活していくということになります。
(税金などは無視しています)
FIREについてはこちらも参考にしてみてください。
FIREには注意が必要
FIREには魅力的なことがたくさんありますので、多くの方があこがれるのは理解できます。
9時から5時まで会社に行って仕事をして、人間関係のストレスを感じることなく生活できるFIREは、当然魅力的ですよね。
空いた時間で自分の好きなことをしながら生活するわけですから、魅力的でないわけがありません。
しかし、FIREには注意すべき点がたくさんあることも事実です。
税率の変動が考慮されていない
まず、1億円を貯蓄してリタイアする場合、4%程度で運用して生活していくということに問題があります。
4%で運用したとして、その運用益すべてを生活に回せるわけではありません。
当然税金を支払わなければなりませんので減額されるのですが、それは何で利益を得ているのかで税率が異なります。
今でも株式投資で利益を出した場合と、ビットコインのような暗号通貨で利益を出した場合では税率が違いますね。
そしてその税率は、将来にわたって一定というわけではないかもしれません。
将来は税率がアップしてしまう可能性があります。
いつ引退するかによるわけですが、そのような不透明なことを前もって予測しておくことはおそらく不可能でしょう。
ここにFIREの問題点があると言えますね。
平均寿命が延びている
科学や医学の進歩によって、私たちの寿命は明らかに伸びています。
そして寿命の延びは今後も続くと予測されています。
もちろん、誰もいつ死ぬかということはわからないのですが、人生100年というのが本当に当たり前の時代になってきているわけです。
そこでいろんなことが起こるわけですが、常に健康でいられるかどうかも重要なポイントです。
常に健康でいられるのであれば良いのですが、途中で健康を害するようなことになれば大変です。
予測不可能なことですが、絶対に起こらないことではないですので、問題として考えておくべきことでしょう。
健康を害してしまって、万が一元本が減ってしまうと、運用益も減ってしまうわけですから。
人との関りがなくなってしまう
FIREで問題なのは、社会との関りや人との関りがなくなる可能性があることです。
それのどこが問題なのか、と思うかもしれませんが、人との関りがなくなると生きがいのようなものがなくなってしまう方が多いのです。
FIREを達成して数年はその自由を謳歌していても、しばらくたつと自分の生きがいのようなものがなくなってしまったと感じる方が多いです。
そのため、社会との関りを維持するために何らかの仕事に戻るという方が多いようです。
しかし、リタイアした後は以前の職場に戻ることはおそらくできないですし、リタイア後のブランクがプラスに評価されることはおそらくありません。
ですから、リタイアにはやはり慎重な判断が必要になります。
FIREで自分がやりたいことが、社会と接することにある、例えばボランティアを行うなどであればそのようなことは少ないのですが、ただ自由になりたいというだけの場合は、何か社会との接点を作る必要があるかもしれません。
「Your Money Or Your Life」の著者の一人であるVicki Robinさんは、インタビューに答えていて、
経済的に自立するというアイデアはとても素晴らしいことだが、それによって得られた自由は、社会を良くすることに使うべきだ
というコメントを残しています。
FIREを目指しても仕事を辞めない
FIREを目指して、早期にリタイアしたいという気持ちはよくわかります。
それを実現することは自由ですし、止める気も全くありません。
しかし、FIREの状況を作っているけれど、仕事を辞めないというのも一つの方法ではないでしょうか?
まずFIREの知識がある人とない人では、貯蓄や投資の知識が全く違いますから、貯蓄額も違ってくるはずです。
そして私は、貯蓄額が1億円になった場合でも、その職場に留まるというのも選択肢の一つとしてとどめておくべきだと思っているのです。
なぜなら、その状況になればいつでもFIREできる、という心の余裕のようなものを手に入れることができます。
そうなると、仕事で嫌なことがあったとしても、まあいつでも辞められるという気持ちから、ストレスへの対処もスムーズにできることが多いです。
そして、会社にとどまっていれば、厚生年金や労災など様々な恩恵を受け続けることができますし、受け取れる退職金も増えていくはずです。
FIREの知識を実践しつつも、リタイヤしないことで得られるメリットはかなり大きなものですよ。
まとめ
FIREの知識は素晴らしいものですが、それに全面的に従う必要もないでしょう。
仕事を辞めないでFIREできる状況を達成してしまえば、その心の余裕はかなり大きなものになります。
FIREでは1億円程度たまったらリタイア、ということが言われているわけですが、その金額は多ければ多いほど良いわけで、仕事を続けることで2億、3億という金額を貯蓄できる可能性も出てくるわけです。
当然投資の知識は必要ですが、1億円でリタイアするよりも、毎月一定の収入がある状況の方が、貯蓄額を増やすにはメリットがあるはずです。