「現役東大生が教える「ゲーム式」暗記術」(西岡 壱誠 著)を読んだ感想
記憶力を高めたいけれど・・・
記憶力を高めるということは、永遠のテーマのように感じているのは私だけでしょうか?
記憶力が高くなることで、いろんなことが可能になりますよね。
資格試験に合格することができたり、語学なども簡単にマスターできたりしそうですよね。
逆に記憶力が高いことがデメリットになるかと言われると、そんな場面を想像することはできません。
おそらく記憶力が高いということは、誰にとっても重要なことなのだろうと思います。
記憶力が高いのはどんな時?
私は記憶力がずば抜けて高い、なんでもすぐに覚えられるという人に出会ったことがありません。
おそらくそのような人は、かなり少ないため出会う機会が少ないのだろうと思います。
基本的には記憶力というのは、平等に不得意なのだろうと私は考えています。
しかし、記憶力に自信がない私たちも、記憶力が高くなる時があるのは気が付いているのではないでしょうか?
それは、自分が好きなことをしているときには、難しい事柄もなんの苦労もなく覚えてしまうということです。
ゲームが好きな人は、ゲームの内容をすぐに覚えてしまうことができますよね。
わけがわからない呪文の名前なども、何の苦労もなく覚えてしまうことができる。
また、好きなアニメのキャラクターについても、いろんな情報をすぐに記憶することができてしまう。
でも、勉強や語学になると記憶することが全くできない・・・
その理由はいったい何なのでしょうか?
好きなことは記憶できる
好きなことは記憶できて、嫌いなことは記憶できないということには、いろんな理由がたくさんあって、これが原因ですということは言えないようです。
しかし、いくつかの理由を見つけて改善することができれば、勉強や語学の勉強もスムーズに暗記できるようになるはずですよね。
ですからその理由を考えてみると、当たり前ですが「好きだから」ということが一つです。
私たちは記憶すべき情報を、脳の海馬が決めていると言われています。
そして海馬が残す情報の一つが、感情を大きく揺さぶる情報です。
火に触って熱い、という思いをした場合は、すごくたくさんの感情が動きますが、それは不用意に火に触っては命に関わるため、たくさんの感情が動きます。
そう、感情が動くということは、命に関わる情報である可能性が高いため、海馬は記憶に残そうとするのですね。
好き、面白い、というのは感情の動きだということがわかれば、好きなことが記憶しやすいということは、当然だということがわかると思います。
また、好きなことは繰り返すことが本当に簡単だ、ということも理由になります。
当たり前ですが、記憶しようとする場合、何度も復習しなければ覚えることができないわけですが、好きなことなら自ら進んで何度も行うことができますね。
ですから、自然に復習ができてしまう状況になっているわけです。
そうなれば記憶なんて本当に簡単にできますよね。
ここから得られる結論は、記憶したいもの、暗記したいことをいかに好きになるか、何度もやりたいと思うかということが重要であり、そのための方法を探すことが大切なのですね。
ゲームを取り入れる
そこで、暗記をいかに楽しくするかということがポイントになるわけで、そんなときに出会ったのが本書でした。
本書の著者である西岡壱誠さんは、タイトルの通り東大に合格された方なのですが、その経歴がかなりドラマチックに感じます。
本の最後にある著者の紹介の部分にこうあります。
東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で、不合格。崖っぷちの状況で「ゲーム式暗記術」を開発し、東大模試第4位になり、東大合格をはたす。現在は、かつての自分と同じような崖っぷちの受験生に、家庭教師として勉強を教えている。
最初から優秀だったという人のノウハウよりも、こういった挫折を経験している人のノウハウの方が、なんとなく親しみを感じてしまいます。
2浪して東大に合格しているわけですが、最初は偏差値35だったというから、暗記が苦手だったということは間違いないようです。
そんな著者が編み出したゲーム式暗記術の数々が本書で解説されているのですが、それらを真似したり、自分のスタイルに合わせていくことで暗記が効率的にできるようになるのではないかと思います。
「単純でつまらない暗記に、ゲーム性を取り入れて面白くしたもの」これが、ゲーム式暗記術なのです。
(21ページ)
ゲーム性を取り入れるということは、多くの方が思いつくことだと思いますが、それをいかに実践していくか、ということについてはあまり紹介されていません。
そんな中で、この本はいかにゲーム性を取り入れていったのかという、実体験をもとにして書かれていますので、わかりやすい内容になっています。
私はいつも思っているのですが、暗記はできれば楽がしたくて、できるだけ労力を減らしたいと思っています。
全く減らしてしまうことはできないですが、きっと効率的な方法はあるのだろうと常に思っています。
「人はより苦労すれば結果が出る」は幻想です。でも、「人より努力すれば結果が出る」は真実です。
(26ページ)
ここで言われていることは、楽して暗記したいという私の言葉を上手く表現してくれていると思います。
苦労すれば覚えられると、力技で覚えようとすると、非常に効率が悪いものになる可能性があります。
そしてたちが悪いのは、努力しているということに満足してしまって、正しい方向に進んでいない、という場合です。
努力と苦労は違う、ということを認識することが重要であり、正しい方向に努力するということは、より効率的な方法がないかを探すということも含まれると思います。
語呂合わせコンテストゲーム
効率的に暗記したいと考えて、試行錯誤しながら編み出されたゲーム式暗記術、そのすべてを紹介することはもちろんできませんが、一つ気になった方法をお話ししたいと思います。
語呂合わせは通常覚えることが一つだけということが多いですね。
しかし、現実は多くの情報を一緒に記憶しなければならないものです。
本書では、三十年戦争の年号が紹介されていました。
三十年戦争は1618年に勃発したものですが、その語呂合わせとして「広い破壊(1618年)の三十年戦争」が紹介されています。
しかし、問題は年号を答えたり、その年の出来事を答えるというような、いわば知識を答えるようなことは、それほど実際には使うことがありません。
三十年戦争に関しては、本当にたくさんの出来事が起こっているわけで、その流れを理解しつつ年号も覚える必要があります。
例えば、三十年戦争の講和条約は1648年のウェストファリア条約であり、その結果事実上の神聖ローマ帝国が滅亡するのですが、それもセットで覚えれば、非常に役に立つ知識になりますよね。
そこで、以下のような語呂合わせが紹介されています。
「ドイツの広い破壊(1618)で帝国(=神聖ローマ帝国)の過労死は(1648)っきりウェストファリア」
(43ページ)
語呂合わせにいかに多くの情報を入れ込んでいけるか、ということがポイントであり、2つ以上の情報を入れることができればゲームクリアーとしています。
語呂合わせについては、覚えやすいと感じる人、覚えにくいと感じる人がいるので、使うかどうかは個人の判断となりますが、ゲーム感覚で行うというところ、自分で語呂合わせを作るというところは、面白いのではないかと思います。
先ほどの語呂合わせは覚えづらいと感じる方も、もちろんいるはずですが、自分に合わせた語呂合わせを作るのですから、覚えられるように作ればOKです。
まとめ
暗記が苦手という方は、ゴリゴリ無理やり記憶しようとするのではなく、如何に楽しむかという考えを持つ必要があるかもしれませんね。
楽しいという感情が、暗記の効率をより上げてくれるため、効率の面でもとても良い方法だと思います。
本書は、そのヒントを得るためには最適ではないでしょうか。