学習効率を上げるために必要なのはアウトプットの時間
楽して記憶したいは可能?
学習効率を上げたいという方は、資格試験で合格したいとか、語学を勉強してマスターしたい、昇進試験に合格したい、試験で良い点が取りたい、などいろんな理由で勉強しなければならないからでしょう。
そして学習というのは、一生続けなければならず、学習効率を高める方法を知れば、人生ではかなりの武器になりますよね。
ですから、学習効率を上げるということは重要なことになります。
私も学習効率をいかに高めるか、ということを考えているのですが、最初はいかに楽して記憶できるか、というばかり考えていました。
具体的には、1回本などを読んでしまえばすべて覚えてしまえる、という技術を追い求めていました。
そんなものはあるはずもないのですが、いろんな記憶術や暗記法の本などを読んで、いろんな方法を試していました。
場所法やペグ法と呼ばれる方法がありますが、基本的に記憶術と呼ばれるものは、イメージを使って覚えるべき情報を記憶していくというものです。
イメージを使ってよく知っている場所などに、その情報を上手くつなぎ合わせることで、その場所を思い出せば情報を思い出すことができる。
またイメージを使うのは、場所である必要はなく、覚えられるのであればどんなイメージでもよいわけで、芥川龍之介の著書である「鼻」を覚えるときには、芥川龍之介の鼻に本がのっているイメージを持つというようなテクニックです。
記憶術がどのようなものか、なんとなく分かったのではないでしょうか。
芥川龍之介の鼻は、おそらくこれで忘れることはないと思います。
確かに、このテクニックは記憶には使えるかもしれませんが、私はここで大きな問題に出会ってしまうことになります。
これをどうやって資格試験や、その他の試験などに応用するのか・・
覚えるべきものは、そんなに単純なものではなく、複雑にいろんなものに絡んでいるものです。
一つを記憶したところで、それを応用することが全くできない。
そして、最大の問題になったのは、イメージを使って覚えても、そのイメージもろとも忘れてしまうということです。
ほとんどすべて、どんなイメージであったかを忘れてしまって、思い出すことができないわけです。
そんなことを繰り返していくうちに、私には記憶術のようなやり方はうまくいかない、ということがわかりました。
記憶術というのは、それが使える人と使えない人がいるのでしょう。
やってみてしっくりと来る、以前よりも記憶することがスムーズになったということであれば、記憶術を使ってもよいと思いますが、あまり上手に記憶できない、という場合はそれに固執する必要はありません。
自分に合ったものを探すべきです。
アウトプットとインプット
私はさらに学習効率を上げるものを探していきました。
私個人の意見ですが、学習、勉強というのはつまるところは、如何に暗記するかということに集約すると思っています。
自分で考えて答えを出す力が必要、ということが言われますし、それは正しいのですが、答えを出すために必要な情報をたくさん自分の中に持っていた方が、より良く考えられることは明らかです。
クリエイティブな能力も重要ですが、これまた記憶している情報が多いほうが、知識の応用もたくさんできるわけで、結局はいかに暗記、記憶していくかということになります。
記憶を上手に行うためには、一般的にインプットのことばかり考えてしまうのですが、同時に考えなければならないことはアウトプットです。
記憶できなくて成績がなかなか上がらない、という人の共通点についてはいろんな研究があるのですが、最も多いのがインプットに使う時間が長すぎるということです。
教科書を読んだり、単語集を覚えたり、授業を聞いたりという時間にほとんどの時間を使ってしまって、アウトプットする時間が全くない、というのが特徴です。
先ほどの私の場合を考えてみると、イメージを使った記憶術で記憶しようとしているのは、インプットになります。
インプットのことばかりを考えて、アウトプットを全くしていないため、記憶が脳に保存されなかったと考えられます。
アウトプットの重要性は、最近は有名になってきていて、ユダヤ人が優秀なのはお互いに教えながら勉強する習慣があるからだ、というようなことも言われています。
2人ペアで勉強していることを教えあうというのは、見事にアウトプットになっているわけですね。
覚えたことを相手に教えるのは、口に出して教えたり、紙に書いて示したりする必要があるわけで、それは自分の記憶を引き出すアウトプットになります。
記憶した情報を使う、という段階がとても重要であり、それをなくしてしまうと、ほとんど記憶できない、ということは私の経験からも明らかです。
インプットとアウトプットの割合は?
学習効率を高めるためには、記憶力を高めることが最も重要であることは誰もが納得すると思います。
そして、それを実現させるためには、インプットだけではなく、アウトプットも行わなければならない。
ここで、誰もが抱く疑問がありますよね。
インプットとアウトプットはどれぐらいの割合で行うのが良いのかです。
これは、個人個人でやってみて、どのぐらいの割合がちょうどよいか測ればすぐにわかりますが、面倒だという方のために、コロンビア大学の研究をご紹介しておきます。
コロンビア大学の心理学者アーサー・ゲイツ博士の研究によって、アウトプットの割合が示されています。
その研究では100人以上の子どもたちに、人名図鑑に書かれた人物プロフィールを覚えて暗唱させています。
いろんなグループに分けて、覚える時間(インプット時間)と練習する時間(アウトプット時間)の割合を変えていくことで、記憶にどのような違いが出るのかを調べ、そこから一番最適な割合を探し出そうという試みです。
この研究で最も高い結果を出したのは、インプットとアウトプットが3対7だったグループでした。
ということで、学習効率を高めようと思えば、インプットとアウトプットの割合を考えて、学習時間の7割をアウトプットに使う必要がありそうです。
どうでしょうか、アウトプットの時間の方が圧倒的に長いですね。
しかしながら、私たちは勉強というとどうしてもインプットをしないと、勉強した気にならないため、教科書を読んだり、単語集、参考書などを読む時間に多くを使います。
そのため、記憶できない、私は記憶力が悪いと考えてしまう結果になってしまうのですが、それは非常にもったいないですね。
学習の割合を改めれば、スムーズに記憶していくことが可能になるのですから。
もちろんアウトプットをして間違えた部分は、なぜ間違えたのかということをしっかりと確認してフィードバックしながら学習を進める必要がありますし、さらにアウトプット1回で記憶できるわけもなく、分散学習のテクニックなどを使って復習を何度も行わなければ、記憶に定着することはありません。
しかし、インプットだけではいくら復習しても記憶できないものが、アウトプットを増やすことで記憶に残ることが格段に多くなります。
ぜひとも日ごろの学習に取り入れていきたいものです。
まとめ
記憶力が良くない、という考えはほとんどの人が持っているもので、「私は記憶力がずば抜けて優れている」という人は少ないです。
少なくとも私は出会ったことがありません。
頭が良いと言われる方は、情報の処理が上手なのであり、それはアウトプットの時間がインプットの時間よりもはるかに多い人なのかもしれませんね。