「成功の教科書 熱血!原田塾のすべて」(原田 隆史 著)を読んだ感想
成功できない理由
成功法則のような本はたくさんありますし、私もたくさん読んでいるのですが、それが実際に機能するかどうか、というのは疑わしいところがあります。
成功法則の多くが、自分が望む目標などを明確にイメージすると、それが現実になるという主張ではないでしょうか?
しかし、思っただけで成功するのであれば、世の中は成功者であふれている状況でなければおかしいですが、現実はそうなっていない。
成功法則を読むと、その内容に気分が高揚することで、やった気になるという効果はあるようですが、現実は全く変わらない。
その高揚感をもう一度感じたくて違う成功法則の本を読んで、気分が良くなる、ということを繰り返すだけで、現実はまるで変らないという悲しい結果になっていませんか?
成功法則にはたくさんの本があるわけですが、イメージするだけではどうもうまくいきそうにありませんね。
成功への過程が抜けている
成功法則がなぜうまくいかないのかというと、イメージしたことをいかに実現するために行動するか、という部分が抜けているからだ、というのが様々な研究で指摘されています。
重要なのは、目標に向かうための行動であって、目標を明確にイメージするのは、どのような行動をすればよいのか、ということを明確にするために必要なものです。
ですから、成功法則について知りたいという場合には、どのように行動するべきかということが、明確に記載されているものを選ぶ必要があるということです。
成功の定義
本書のタイトルは「成功の教科書」ということなので、成功する方法が事細かに解説されているのではないか、と思って読んでみました。
そうすると、やはりいかに成功まで自分を導いていくか、ということが解説されていて、非常にわかりやすい内容になっています。
著者の原田さんは、成功についてこのように定義されています。
成功とは、自分にとって価値のあるものを未来に向かって目標として設定し、決められた期限までに達成すること
(14ページ)
これは反論の余地のない定義ではないかと思います。
ここで重要になるのは、目標を設定して、さらに決められた期限までにそれを達成することです。
目標を設定したのはいいけれど、いつまでにそれを達成するか、ということが抜けていると、成功とはいえないということになりますね。
重要なことは期限をしっかりと決めて、そこに向かった行動を行うということが重要なのであり、目標を設定してそれをイメージしているだけでは、到底それを達成することができないというところです。
大きな成功を収めるためには
大きな夢をいきなりかなえたい、というのが人情というものですが、当たり前ですがそんなことは不可能です。
大きな目標を叶えるためには、小さな目標を重ねていくことで、大きな目標に届くわけです。
それは、夢のような成功は偶然には怒らないこと。つまり、小さな成功の積み重ねの先にしか、大きな成功はあり得ないということです。
(19ページ)
小さな成功をいくつも積み重ねていくことで、自分に自信がついていきますし、さらには成功に近づいているという実感も相まって、さらに成功へと進んでいくという、素晴らしい状況を作り出すことができます。
”肉眼では見えないくらい”細かい階段を毎日着実にのぼり、小さな成功へのリーチを繰り返していたのです。
(115ページ)
歴史的に成功している、富を築いているような方は、いきなり成功しているわけではなく、ここに書かれているように、細かい階段をしっかりと登っていった結果なのですね。
目標を設定する前に
目標を設定する前には、やはり準備というものが必要になりますが、どのように準備すればよいのか、ということもしっかりと解説されています。
大前提ですが忘れがちなことに、次のことがあります。
技術を教える前に、あいさつや清掃活動を励行させることによって「真面目、素直、一生懸命」な態度を磨き、「心のコップ」を上に向けてあげなければならなかったのです。
(27ページ)
後ろ向きの気持ちでは、目標を達成しようとしても、なかなか難しいものです。
心のコップは、やはり生活の中で上に向けておく必要があるものであり、日ごろの当たり前のことがしっかりとできているかどうか、ということもとても重要だということですね。
できて当たり前のことができないのに、目標達成させようとしても難しいのは当たり前ですしね。
目標を決めるにあたって
原田塾では、2週間先の目標設定から必ず始めます。
(52ページ)
大きな目標を立てるということは重要なのですが、どうしてもその目標は現実味がなくなってしまっていたり、何から取り組めばよいのかわからない、ということが多いです。
そのような目標は、何をすればよいのかわからないわけですから、やはり実現困難ですよね。
「ニューヨークに絶対行く」と決め、さらに「誰と」「いつ」「どういう手段で」と具体的に決めることで、はじめてニューヨーク旅行は現実化するのです。
(46ページ)
そこで、著者は比較的明確にしやすい2週間先の目標設定から始めるわけです。
もちろん10年先の目標を決めてもよいのですが、それがイメージできる人というのは、おそらく2週間先の目標を設定して、何度もクリアしてきた人でしょう。
10年後の目標を立てて、それを明確にイメージして今何をすべきか、ということがわかるまでは、やはり直近の目標を考えるのが一番効率的と言えそうですね。
目標を達成する方法を考える
目標を達成するためには、当たり前ですがそれを達成するための方法を考える必要があるわけですが、それについてもしっかりと解説されています。
自分の未来を拓いていこうと思ったら、自分のコンフォート・ゾーンを知り、常にその上限のほうで力を発揮できるようにしていけばいいのです。
(92ぺ―ジ)
コンフォート・ゾーンの上限というと、かなりレベルは高いはずですが、まだコンフォート・ゾーンの中にいます。
多くの人が言うことは、コンフォート・ゾーンの外に出なければ、成功することができない、ということだと思うのですが、そうではなくて上限でよいというは、なんとなく取り組みやすい気がしますよね。
コンフォート・ゾーンの上限をキープしていれば、コンフォート・ゾーンの上限が上がっていく、ということも解説されています。
そのためには、自分のコンフォート・ゾーンを知るなど、自己分析が必要になりますが、その方法については詳しく本書に説明されています。
自己分析ができるほど、目標を達成する確率も高くなるわけですが、そこの部分を解説している成功法則の本は、それほどないような気がします。
しかし、そこにこそ目標達成のカギがあるのかもしれませんよね。
まとめ
著者の原田さんは、心技体の充実、特に「心」の充実を大切にされているようです。
そういう観点からもう一度、オリンピックの金メダリストや、歴史に残るような素晴らしいスポーツ選手、素晴らしい経営者を見ていたら、みんな巨万の富を築きながら、同時に人格向上を図っていたのです。
(153ページ)
成功には、人格向上なんて関係ないと思いがちですが、実はそうではなくて成功している人たちも、人格を向上させるようにしっかりと自分を律していたようですね。
人格向上についても、向上させることは小さな成功を重ねていくことであり、成功の体験となっていくものですから、軽視してはいけないものであり、しっかりと毎日の生活を見直していくことが大切になります。