「最高のデスクワーク」(猪俣武範 著)を読んだ感想
デスクワークを効果的に行いたい
最高のデスクワークができるというのは、今の時代にはとても重要なことだと思います。
新型コロナの流行によって、自宅から仕事を行うことが多くなってきていることもあり、デスクワークが増えているため、如何に最高のデスクワークができるか、ということが重要になっているからですね。
その意味でも、本書はとても参考になると思い、読んでみることにしました。
副題が「集中力とモチベーションが続くシンプルな仕掛け」となっており、そこも魅力的に感じるところです。
というのは、デスクワークを効果的に行うために、複雑なことをやらなければならないとすれば、すぐに飽きてしまってやらなくなるものですが、シンプルなものであれば継続することが可能だからです。
著者の猪俣さんは、とても輝かしい経歴の持ち主です。
- 2006年順天堂大学医学部医学科卒業。
- 2008年東京大学附属東大病院初期臨床研修医修了。
- 2012年順天堂大学大学院医学研究科眼科学にて医学博士号取得。
- 2012年ハーバード大学医学部眼科スケペンス眼研究所へ留学。留学中にはボストン大学経営学部Questrom School of BusinessでMBA取得。
- 2015年順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科准教授
- 2020年5月順天堂大学大学院デジタル医療講座准教授を兼任
これは著者の紹介の中から抜粋して並べたもので、他にも様々な活動をされています。
中でも注目したいのが、2012年のハーバード大学医学部に留学されていると同時に、ボストン大学経営学部でMBAを取得されているというところですね。
ハーバード大学というのは、驚くほどの勉強量だと聞いているのですが、それと同時にMBAも取得しているというのですから、どれほど頭が良いのか、と思ってしまいます。
しかし著者は、勉強で大きな成果を出せる人と出せない人の違いは、勉強の仕方や環境の作り方であって、頭の良し悪しとはあまり関係ないと言っています。
最高のデスクワークを行う上でも、やはり環境をいかに整えるか、そして勉強や仕事の仕方が大きくかかわってくるようです。
姿勢が良いか悪いか
最高のデスクワークを行うためには、環境を整える必要があるのですが、まずは自分自身の環境を整えるということが一番重要ですよね。
素晴らしい環境にいたとしても、自分自身が準備不足だと何もできません。
ですから、自分自身の環境をまずは整えることが重要です。
最初に姿勢の話をしているのは、普段の姿勢が人体のエネルギー量を左右する基礎となるからです。無意識のうちに習慣づけられた姿勢維持、そして呼吸をコントロールすることが心身のパフォーマンスを高めるカギとなります。
(17ページ)
猪俣さんは、姿勢の重要性をかなりのページを割いて説明されています。
姿勢が乱れていると、いろんな悪影響が出てきてしまうことは、なんとなく理解している方が多いと思いますが、それほど重要なことだとは思っていない方の方が多いように感じます。
しかし、姿勢は思っている以上に私たちのパフォーマンスに大きな影響を与えます。
姿勢が悪ければ、背骨が正常な位置にないということになりますが、脳からの指令は背骨を伝って全身に届くのですから、その通り道がゆがんでいたりすると、伝達がスムーズにいかなくなります。
その状況では、パフォーマンスを高めようとしても、指令が届くのに時間がかかるのですから、効果的に高めることは不可能ですよね。
そして、姿勢が悪くなると、呼吸がどうしても小さくなってしまいます。
背骨が曲がってしまうと、肺が圧迫されてしまい、スムーズに横隔膜も動かないため、呼吸が浅くなってしまうのですね。
酸素は私たちの身体に必要不可欠ですし、脳はたくさんの酸素を必要とします。
しかし、姿勢が悪いと十分に酸素が取り込めなくなり、当然デスクワークも思うようにできなくなってしまいますね。
ですから、姿勢を正しくするということはとても重要なことになります。
正しい姿勢についてはこちらを参考にしてみてください。
簡単に解説しますと、正しい姿勢は長時間維持できるものであり、背中をまっすぐにしようと力を入れるのは間違った姿勢です。
運動不足は最高のデスクワークの大敵
デスクワークを行っていると、どうしても座りっぱなしになってしまって運動不足になってしまう傾向があります。
しかし、この運動不足がデスクワークの大敵なのです。
逆に運動を習慣化すれば、デスクワークもスムーズになる可能性が高いです。
それは、運動には血流が良くなる、酸素がたくさん取り込める、ミトコンドリアが増えるなど、様々な効果があるのですが、さらに運動は脳に肥料を与えることができるのです。
近年において脳の神経細胞が再生することがわかってきましたが、新たな神経細胞が生まれる際には、BDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれるタンパク質が重要な役割を果たします。日本語だと漢字ばかりなのですが、BDNFは「神経栄養因子」という文字通り「神経を育てる栄養分」です。
(41ページ)
脳の神経細胞が再生すれば、脳の活動はさらに活発になるのはすぐに想像できると思うのですが、そのための栄養になるのがBDNFになるのですね。
「BDNFは脳の肥料」とよく言われますが、この肥料を増やす方法は、またもや「運動」なのです。
(41ページ)
身体を鍛えることができる運動ですが、同時に脳も鍛えることができる、ということも言えるようです。
しかもBDNFを増やすために要求される運動は、難しいものではなく、ウォーキングなどの有酸素運動で十分だと言われています。
有酸素運動の負荷としては、ちょっときついなと感じる程度が良いと言われています。
これはよく言われる負荷の測り方として、ちょっと話すのがしんどいな、と感じる程度だそうです。
もちろん、そのレベルでないとBDNFが増えないということではありませんので、どんな運動でも習慣化させることが重要ですね。
フロー状態になる方法
フロー状態というと、一流のスポーツ選手が経験することで有名ですが、私たち一般人も時間を忘れて何かに没頭するということがあります。
フロー状態にもいろんなレベルがあるようで、超人的なレベルもあれば、何かに没頭して我を忘れるという状態もフローと考えてよいようです。
そんな状況にあれば、日々のデスクワークもはかどりそうですが、そう簡単にフロー状態になることなんてできるのでしょうか?
フロー状態に入るには、ちょっとしたコツがあります。集中力を高めるコツと言ってもよいでしょう。それは集中するための「ルーティン」をつくることです。
(71ページ)
ルーティンというと、ラグビーの五郎丸選手が有名ですが、そこまでギチギチのルーティンを作る必要は、私たちのような一般人には必要ありません。
仕事の前には必ずコーヒーを飲む、プレゼンの前には、気合の入るポーズをする、などどんなものでもよいのでルーティンになるまで繰り返すことで、自然と集中力が高まります。
デスクワークを始める前のルーティンを作ってみるとよいですね。
まとめ
本書では、自分自身の環境を整えて、さらにいかに勉強していったり、仕事をしていくのか、ということもしっかりと解説されています。
効率を上げる方法、集中力を高める方法など、参考になる情報がたくさん紹介されていますので、在宅ワークが長いなど、デスクワークが多い方はぜひ参考にしてください。