「大人が変わる生活指導」(原田 隆史 著)を読んだ感想
生活指導って?
生活指導というと、あまりよい記憶がないという方が多いと思います。
私も学生の頃に生活指導について、指摘や講義のようなものを受けた記憶がありますが、これと言って頭に残っている情報がないような気がします。
そもそも生活指導というものが、いったいどういうものなのか、ということが曖昧でよくわからないですよね。
これが生活指導です、とビシッと定義を言える人というのはおそらく少数派のはず。
生活指導という言葉の性格から考えて、はいこれが定義でそれ以外のものはありません、というものではないと思いますが、それにしても漠然としていてつかみどころがない、というのが私の感想です。
生活指導というのは、生活を指導するわけですから、挨拶や食事、睡眠の取り方などを指導するということになると思われますが、そこから得られるものは正しい心のようなものになるでしょう。
つまり、生活の方法にもしっかりと意識を向けるということになります。
生活に意識を向けることは重要ではあるのですが、日ごろの忙しさによっておろそかになっている方が多いのではないでしょうか?
心技体と生活
それは、未来を切り開く人、すなわちこれからのリーダーは、生きる力を備えた自律型人間でなければならないということです。
夢を描いてそれを目標に変える。目標達成のための方法を考えて、達成しきる。被害者意識がなく心のコップがいつも上を向いている。心・技・体+生活のバランスがとれている。
(16ページ)
心技体という言葉は良く聞く言葉です。
特にスポーツや格闘技などで使われる言葉で、心技体どれか一つがかけてもよい結果は得られないという意味ですよね。
しかし、本書ではそれに加えて生活が含まれています。
それが故にタイトルに「生活指導」という言葉が入っているのでしょう。
心技体がしっかりと整っていれば、生活も自然と整うと思うかもしれませんが、実際はそうではない場合が多いようです。
心技体を鍛えようと頑張ったとしても、生活が乱れてしまうと、どうしてもその3つが崩れてしまうことが良くあります。
ですから、生活をしっかりと整えることを前提としなければ、心技体も整わない、ということになります。
著者はこのことについては、部活動を例に出して説明されています。
著者が監督を務めた陸上競技部は、7年間で13回も日本一を排出するほど大きな成果を上げたそうです。
最初は陸上競技ですから、身体を作り上げることを考えていたそうですが、それだとある一定のところで成長が止まってしまいます。
そこで改善すべきことを考えていったところ、生活指導に行きついたそうです。
挨拶や身だしなみにはじまる態度教育や清掃活動、奉仕活動といった生活改善に根ざした人間力の向上に全力を注いだことが、大きな成果につながったのです。
(7ページ)
心技体+生活というのはその経験から出てきているようですね。
どうして生活を整え、奉仕活動などに力を入れる事が、目標達成につながるのでしょうか?
それは、目標の設定の方法が違ってくるからだと考えられます。
例えば英会話をマスターしたいという場合は、どのような目標を立てることになるでしょうか?
英語をマスターしたいと考えるだけの人もいるでしょう。
そして、多くの日本人が英語を話せるようにして国際的に通用できる人を作るために、私も英語をマスターしたい、という目標を立てる人もいるでしょう。
この2つを比べた場合に、より英語をマスターできそうなのはどちらかというと、やはり後者になるのではないでしょうか?
他者のために何かを成したい、という力は思いのほか大きな力を生み出すものです。
そのような発想は、乱れた生活の中ではなかなか思い浮かばないものですが、しっかりと生活を正して、他者のために活動をしていれば、自然に出てくる発想となりそうでしょう。
目標達成に向けて未来を予想し、準備すべきことのすべてを書き出し、そのすべてを実行できれば、目標は必ず達成できます。
(18ページ)
やみくもに目標を掲げるのではなく、目標達成としてしかるべき準備を徹底した成功できたのです。とりわけ重視してきたのが「目標達成のための奉仕活動」とその継続でした。
(28ページ)
奉仕活動というのは、それほど大それたものでなくてもよいのであって、ちょっとしたごみを拾うことを心がけたり、毎日靴をそろえるというようなものでもよいのです。
それを毎日継続していく必要がありますが、それが習慣になっていけば、さらなる改善が可能となってきます。
そのような活動を続けることによって、私たちの心は自然と整っていくものです。
仕事などでストレスを抱えてしまうと、どうしても心が乱れてしまいますが、そうなると生活に意識が回らなくなってしまい、生活のリズムが乱れたり、食生活も崩れてしまうことがあります。
夜遅くまで飲み歩いてしまったり、休日はグータラ過ごしてしまったり・・・
やらなければならないことはたくさんあるということはわかっているけれど、欲に負けてしまって飲み過ぎたり、ゲームばかりしたりしてしまう。
そうなると結果が出なくなってしまうことは明白ですよね。
しかし、そのようなときには不満などで益々生活が乱れてしまうのは仕方がない、と考えるのはいったんやめておきましょう。
現状に不満を抱く前に、自らの生活を見直し、仕事と生き方のバランスを図る努力を継続してみてください。
(68ページ)
生活が乱れそうなときほど、生活を整えるべきということです。
結果を望むのであれば生活を整える
成果が出ないとき、どうしてもその原因を仕事や勉強などの中に探すものです。
しかし、まずは生活の乱れがないかどうか、ということを確認してみることが必要です。
そこを改善することなく、仕事などで成果を出そうとしても、最初はうまくいったとしても、後々バランスが乱れて大きな失敗につながることもあります。
生活こそが全ての基盤、根っこですからそこが乱れると、すべてが乱れてしまうのですね。
生活に乱れがない、ということが分かったところで、他に原因がないかということを探っていくことで、効果的に改善していくことができるということでもあります。
まとめ
生活については、結果が出ればどうでもよい、という考えの方が多いように感じますが、成功している人の多くは、生活がしっかりと整っているものです。
多くのCEOが、朝や夜にジムで汗を流して体調を整えたり、マインドフルネスなどに取り組んだりすることは有名ですよね。
ジムに決まっていくためには、当然二日酔いなどでは行くことはできませんし、出社前の朝に行くなら、夜は早めに寝る必要があり、夜に行く場合は付き合いで飲むことはできません。
やはり成功している人の生活は、しっかりと整っているようですね。