読書好きけんの雑記ブログ(ヘルシー志向強め)

日々思いついたことをシェアしたいと思っています。読書で得た知識も備忘録を兼ねて、わかりやすく感想をアップしようと考えています。

「市場ベースの経営 ――価値創造企業コーク・インダストリーズの真実 」(チャールズ・G・コーク 著)を読んだ感想

アメリカの真の支配者

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市場ベースの経営というタイトル、そしてチャールズ・G・コークをご存知の方ならば、この本にはきっと興味があると思います。

 

コーク一族、コーク兄弟と言えばアメリカの影の支配者、真の支配者などと言われる存在です。

 

なかなかダークなイメージの言葉で呼ばれているチャールズ・G・コークですが、その経営方法については知らないことが多いため、本書でそれを知ることができるのか、と期待をしていました。

 

1961年、チャールズ・G・コークはウィチタにある父の経営する会社に入社しました。

 

その当時の企業価値は2100万ドルということで、それほど大きな企業というわけでもなく、日本でも中小企業に分類されるような企業だと思います。

 

それから6年後の1967年に、彼は会長兼CEO(最高経営責任者)に任命されます。

 

そして現在(2016年)、コーク・インダストリーズの企業価値1000億ドルで、世界最大級の非上場企業へと成長しています。

 

1000億ドルということですから、企業価値は日本円で約10兆円ですので、その規模の大きさは想像できるのではないでしょうか。

 

大きすぎて想像できないかもしれませんが。

 

さらにそれが非上場だというから、さらに驚きですよね。

 

そんなチャールズ・G・コークの経営手腕というのはどのような理論に基づくのでしょうか?

 

市場ベースの経営

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チャールズ・G・コークの経営については、タイトルの通り「市場ベースの経営」をもとに行われています。

 

市場ベースの経営とは、MBM(Market-Based Management)システムのことであり、それを知ることで、コーク・インダストリーの躍進の秘密を知ることができます。

 

アメリカの影の支配者と呼ばれる人ですので、ダークな手法で経営しているのかと思うと裏切られます。

 

人に指示されることなく、詳細なルールもなく、だれもがなすべき正しいことを知り、それを行うように動機づけられる――これが私の企業の経営の目指すものである。

(9ページ)

 

働く人が、自ら正しいことを行うことができる、そうなるように動機づけする、ということが目指されているということで、そのような企業で働く人たちが全員、正しいことを行えば、当然その企業は発展していくものですよね。

 

良い利益とは、政府による企業助成政策や人をだますことから生まれるものではなく、社会に貢献することで生まれるものである。

(10ページ)

 

正論過ぎて反論することすらできません。

 

コーク・インダストリーが長年目指してきているものは、「良い利益(Good Profit)」であり、それを生み出すことです。

 

良い利益というのは、定義としてはそれほど難しいものではなく、顧客がお金を出しても使いたいと思う商品やサービスを提供すること、そして人々の生活を豊かにする商品やサービスから生まれるもののことです。

 

市場ベースの経営というのは、企業が求めるべき当然のことを究極まで突き詰めるかのようなイメージを私は感じてしまいました。

 

良い利益を生み出すために

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良い利益を生み出すためには、市場ベースの経営を理解してそれに務める必要があります。

 

市場ベースの経営で求められることは顧客が本当に求めるものです。

 

消費者のまだ満たされていないニーズを理解し、それを満たす方法を見つけ出すことに注力することが求められる。

(19ページ)

 

消費者のまだ満たされれていないニーズを理解するということは、言うのは簡単なのですが、実際探すとなるとこれは大変なことです。

 

なぜなら、消費者が満たされてないニーズというのは、今現在存在していないものですから、消費者自身がそれを理解していない場合が多いからです。

 

消費者が知らないことを、先回りして満たせるよう努力するということは、どれほど大変なことになるでしょうか?

 

しかし、それを求めてきたからこそ、コーク・インダストリーはこれほど大きく成長してきたということはあきらかです。

 

人材について

 

そのようなコーク・インダストリーで働く人材には、どのようなことが求められるのでしょうか?

 

才能を持った人材を雇用していくということはもちろんベースにあるようです。

 

しかし、才能だけを持っている人を採用するのではなく、合わせて美徳を持っている人を採用するということも本書では解説されています。

 

そして、実力主義のイメージが強いアメリカの企業とは思えないことも書かれています。

 

美徳と才能を持った人材を採用するのが私たちの目指すところであるが、もしどちらからを優先しなければならないすれば、私たちは美徳を選ぶ。なぜなら、才能が有っても悪い価値観を持つ人は、才能は劣っても美徳のある人よりも会社に与える損害は甚大だと考えているからである。

(179ページ)

 

成果を出せば何をしてもよい、というと言い過ぎかもしれませんが、そしてアメリカの企業には少なからずそのようなイメージがありますが、美徳がなければ会社に成果以上の損害を与えてしまう可能性を見抜いているところが、なんとなく東洋的な印象を抱かせます。

 

今の時代は個人情報が流出したり、悪意のある社員が情報を持ち出してしまった後に、それが発覚してしまうと、その損害は甚大なものになります。

 

ですから、美徳を持った人材を雇うということが重要になってきていますが、それをコーク・インダストリーは当初から意識して経営していたということになります。

 

そのような先を見る目が、繁栄の基礎となったのかもしれませんね。

 

コークが謙虚さを失えば、会社は創造的破壊の不意打ちを食らうだろう。私たちは、大きすぎて、あるいは良すぎて潰れることはない、と考えてはならない。

(183ページ)

 

美徳を持って常に謙虚さを忘れない、そこからしか良い利益が生まれないということを、企業に浸透させているということも素晴らしいことだと思います。

 

社員を鼓舞する

 

コーク・インダストリーは、働く社員に対してどのように報酬を与えるのか、ということも気になるところです。

 

やはりそれは一言では語ることができないものですが、いくつかのポイントを知ることができました。

 

より多くの利益を稼ぐためには、何の実も結ばないかもしれないが、チャンスにかけることを社員に奨励する必要がある。

(192ページ)

 

チャンスにかけることで失敗するかもしれないけれど、成功するチャンスも全くなくなる。

 

そのバランスが難しいところですが、社員にチャンスを奨励することはとても重要なのは当然です。

 

報酬はできるだけ各社員の主観的な価値観に合わせて調整し、かかるコストを勘案したうえで社員にとって最大の価値を提供するようなものでなければならない。

(300ページ)

 

主観的な価値に合わせて調整し、ということはしっかりと価値あるチャレンジをして成果を出した社員には、それ相応の報酬を与えるということです。

 

しっかりと成果を出した人の主観と言えば、これだけやったのだからそれ相応の報酬があるはず、と考えるのが当然です。

 

それは階級や役職に関わらず、報酬が支払われるということを意味し、それが社員のやる気を引き出す一つの源泉になっているようです。

 

報われない環境で努力しようとは思いませんから、当然と言えば当然ですが、階級や役職によって報酬が違うということは、どの会社でもよく見られることです。

 

報酬というのは本当に難しいものですが、コーク・インダストリーでは報酬が社員の力を引き出すように、しっかりと調整されているということですね。

 

まとめ

 

実力だけが求められるというようなイメージが強いアメリカですが、コーク・インダストリーはそのような企業とは一線を画しているという印象を受けます。

 

もちろん成果を出さなければ企業は生き残れませんが、「良い利益」を追求することで、コーク・インダストリーは、成果を最大化させることに成功しているようです。

 

やはり世界最大級の企業からは学ぶことが多いですね。