企業の経営が安定しているか?まずは有利子負債自己資本比率の確認を!
株式を保有することはその企業のオーナーになること
企業に投資するかどうかを判断するためには、本当にいろんなことを調べる必要があります。
その企業に投資すべきかどうかということは、その企業のオーナーになるかどうかということを意味しますので、中途半端な判断ではできないですよね。
たとえ1株でも持つということは、企業のオーナーになることを意味するのですが、そのことを意識していない方も多いように感じます。
やはり株式を保有するということはその企業のオーナーになるということをしっかりと理解しておく必要があるのですが、オーナーになるのですから、調査することも当然たくさんあります。
なぜかというと、企業の株式を購入すると、資金をその企業に提供することになり、その資金を返却してくれとは言えなくなります。
資金を回収するためにはその株式を売却して行う必要がありますが、その企業がしっかりと利益を上げなければ、元の金額を回収できるかは分かりません。
ですから、どの企業に投資するかということは、オーナーになってその企業を監視監督する立場になるということを理解して、どの企業に投資したいかということを決めるわけです。
有利子負債自己資本比率
そこで前提となるのは、その企業が少々のことでは破綻しないであろうということですよね。
株式を購入したとたんに破産してしまっては目も当てられません。
ですから、まずは破綻しないということを確認するということが大前提となります。
そのためには、その企業の借金がいくらあって、自己資本がいくらなのかということを調べることです。
借金と言ってもいろんな種類がありますが、一番注意しなければならないのは、やはり有利子負債でしょう。
その名の通り、負債を返すときに利息も返さなければならなものです。
私たちにとっては、銀行のローンが一番分かりやすいですね。
企業の場合は、有利子負債として考えられるのが、長期借入金、短期借入金、普通社債、転換社債などがあります。
それらの金額の合計が、その企業が持っている借金ということになりますね。
そして、それを返すためにはその企業が持っている資金から返却する必要がありますので、自己資本を見る必要があります。
そして、有利子負債と自己資本の比率を示したものが、有利子負債自己資本比率です。
単に有利子負債比率と呼ばれることもありますし、D/Eレシオと呼ばれることもあります。
有利子負債 ÷ 自己資本 × 100 = 有利子負債自己資本比率(%)
となります。
負債は当然自己資本から賄われることが望ましいですから、有利子負債自己資本比率が低いほど、その企業は安定した経営がなされているということになります。
例えば、ある企業の有利子負債が300億円だとして、自己資本が3000億円だったとしたらどうでしょうか?
300億円 ÷ 3000億円 × 100 = 10%
有利子負債自己資本比率は10%ということになります。
では自己資本が同じで、有利子負債が1500億円という企業はどうでしょうか
1500億円 ÷ 3000億円 × 100 = 50%
この場合は、有利子負債自己資本比率は50%になりますね。
ですから、有利子負債自己資本比率は低いほど良い、ということは簡単に分かります。
100%を超えてしまうような企業は、この先の経営が危ないかもしれないという判断ができるでしょう。
企業によっては、借入を借り換えによって返済していくところもありますが、そういった企業であっても、自己資本が充実しているに越したことはなく、やはり有利子負債自己資本比率が低い方が望ましいですね。
どこで負債や資産を確認するのか?
有利子負債や自己資本は、有価証券報告書などの貸借対照表を見ることで確認することができます。
全ての企業の有価証券報告書を確認することは不可能ですが、投資すべきかどうかと悩んでいる企業の有価証券報告書は、やはり隅から隅まで読むべだと思います。
なぜならその企業のオーナーになるわけですから、その企業のことをできる限り知ろうとする努力が必要だからですね。
有価証券報告書は大企業は100ページ以上あることが多く、読むのも一苦労なのですが、そこに必要な情報がすべて記載されていると考えれば、読まないわけにはいかないというのが私の考えです。
まとめ
投資をするにあたっては、その企業が持っている資産や負債に関してはしっかりと確認しておく必要があります。
それが分からないのに投資するというのは、一種のギャンブルのように私は思ってしまいます。
ギャンブルしたい、という場合はそれでよいのですが、そうではなくビジネスとして投資をしたいという場合は、やはりその企業をしっかりと理解することが重要です。
その一歩として有利子負債自己資本比率を見るということは、投資家としては当然の行動です。