分散投資のためには相関係数を把握すること
リスク管理が難しい
投資を行う上では、リスク管理がとても重要であるということは、誰もが理解していることです。
リスクを管理することは難しいため、投資をギャンブルのように考えて一切手を出さない、という方も多いでしょう。
それは考え方の違いであり、絶対に投資をするべきだ、という人を投資すべきではないと説得することが難しいように、投資しないと決めている人を説得することは難しいでしょう。
それらはおそらくリスクという一点に理由が集約されると思うのですが、そのリスクを管理する方法は実にたくさんあります。
リスクの管理は、100%完璧にできるものはもちろんないわけですが、いろんなリスク管理を学んでおくことは、投資を行う上ではとても重要ですよね。
分散投資
リスクを管理する方法として有名なのは分散投資ですね。
いろんなものに投資することで、暴落する銘柄、しない銘柄があるため、リスクを分散することができる。
非常に単純に分散投資を説明すればこういうことになります。
私は何もわからないけれど分散投資しておく、というぐらいなら定期預金に預けておくべきだと考えています。
Aという銘柄が暴落したけれど、Bという銘柄が上がったため損をしなかったという場合を考えると、銀行に預けているのと同じようなものです。
ですから、このような分散投資は意味がない、と私は考えています。
そして最悪の状況を生み出してしまうのが、分散投資したけれどすべてが暴落してしまって大損してしまう、ということです。
これでは何のために分散したのかが分かりません。
効果的に分散投資するためには相関係数が重要
分散投資を効果的に行うためには、相関係数をしっかりと把握しておくことが重要になります。
ではその相関係数とはいったい何なのでしょうか?
相関係数とは、2つの変数にある関係性を示す数値です。
相関係数はマイナス1からプラス1までの間で表されるもので、プラス1に近ければ近いほど正の相関関係があるといい、マイナスなら負の相関関係があるということになります。
ここで現実に置き換えて考えてみたいと思います。
新型コロナにおいては、いろんな業界が大打撃を受けている状況です。
しかし、中には新型コロナで業績を上げている企業もあります。
自宅で過ごすことが多くなっているため、動画サービスなどは利益を伸ばしているようです。
対して映画館は感染対策などを行ったり、人が外出しないために収益に悪影響が出ているようです。
この場合、動画サービスと映画館には負の相関関係がある、ということになりますので相関係数はマイナスになります。
そして、業績を伸ばしている業種として宅配サービスがあります。
動画サービスと宅配サービスには正の相関関係があるため、相関係数はプラスになります。
これが相関係数の大まかな意味になります。
そして、分散投資を効果的に行いたいのであれば、相関係数がどのようなものを選ばなければならないのでしょうか?
正反対の動きをするものを選ばなければならないのですから、相関係数がマイナスの物を選ばなければならないですよね。
分散投資をして、すべてが暴落してしまったという場合は、相関係数がプラスの物ばかりでポートフォリオを組んでしまっていることが原因です。
代表的な相関係数がマイナスになるもの
相関係数がマイナスになる代表的なものとして、株式と債券があります。
株式は企業に出資することであり、債券は国や企業が発行する債券を購入することで、お金を貸すことになります。
お金を貸すということは理解しやすいと思いますが、企業の株式を購入するとは、具体的にどういう意味なのかはこちらを参考にしてみてください。
さて、債券価格が上がるということは金利が下がることにつながるわけですが、それが株式にどう影響するのでしょうか?
金利が下がっているということは、企業にとってはありがたいことです。
借金返済に伴う金利が安くなることですから、とても良いことですよね。
しかし、金利が下がっているということは、同時に景気が良くないために誰もお金を借りないようになり、仕方なく金利が下がっているという状況かもしれません。
そうなると、企業の収益が悪くなって株価が下がるかもしれない。
そこで、それよりも債券に投資しておこうという人が増えていくことになります。
(もちろん常にこの通りになるわけではなく、株式が下がって債券も下がるという状況も十分にあり得ますのでご注意を。)
このような相関係数がマイナスになるものを選ぶことができなければ、分散投資を成功させることがむずかしくなるわけです。
まとめ
分散投資を有効に行うためには、違う動きをするもの、つまり相関係数がマイナスのものを選ぶ必要があります。
そして、相関係数がマイナスでなくプラスの物を選ぶと、分散投資の意味をなさない可能性があります。
自分で分散投資をするのは難しい、という場合はやはりETFや投資信託を購入することで、自動的に分散できるものを選ぶのが一番無難なのかもしれません。