ウォーレン・バフェットに影響を与えたフィリップ・フィッシャーに株の売り時を学ぶ
成長株投資の父と呼ばれる人物とは
アメリカの有名な投資家にフィリップ・フィッシャーという方がいます。
彼はもう亡くなっていますが、その投資方法は素晴らしいもので、世界一の投資家として有名なウォーレン・バフェットは、フィリップ・フィッシャーについてこう話しています。
私の85%はグレアムからできていて、残り15%はフィッシャーからできている。
ベンジャミン・グレアムはバリュー投資で有名ですが、フィリップ・フィッシャーはグロース株投資、つまり成長株投資の父とも言われる人です。
バリュー株投資とは企業の価値を財務諸表などから把握して、その価値よりも時価総額が大きく下回るときにその企業の株式を購入して本来の価値になるまで保有するという方法です。
時価総額が企業の持つ資産よりも小さいということは、何を意味するのか分かるでしょうか?
資産100万円の企業があるとして、その企業の時価総額が50万円ならば、50万円でその企業を買収すれば100万円手に入るということです。
そんな銘柄を探して株式を購入して、時価総額が上がっていくのを待つわけですね。
それに対してグロース株投資とは、企業の価値などを計算することはもちろんですが、その企業が今後どれぐらい成長するだろうかということを考えて調査し、今の株価を考えれば、今後は数倍数十倍になる可能性がある、という企業の株式を購入して長期間保有するという方法です。
長期保有とはどれぐらいの期間?
どちらの方法も長期保有になるわけですが、どれぐらいの期間を保有するべきなのでしょうか?
この答えについては、フィリップ・フィッシャーの言葉が非常に明確です。
10年、20年で株価が20倍、30倍になるような成長力のある少数の企業の株を見つけ出し、それが驚くほど値上がりするまで長期間、ほぼ永久に持ち続ける。
(伝説の7大投資家 桑原晃弥著 118ページ)
売るタイミングは?
ほぼ永久に持ち続けるというのがフィッシャーの方法ですが、それは20倍、30倍になる銘柄の話です。
当然ですがそうでない銘柄は売らなければならないわけですが、どのようなタイミングで売るのでしょうか?
まず、当たり前ですが生活している中でどうしても資金が必要になる、という場合には保有銘柄を売らなければなりません。
その銘柄がいくら成長していくことを確信していても、その資金が今必要だという場合には、売るしか選択肢はありません。
それ以外でフィッシャーが売るべきだと話しているのは、3つのタイミングしかありません。
一つ目は投資対象を選択する時点で、その判断が間違っていたという場合です。
この企業は間違いなく成長する、と確信していても実際にはそれほどすごい成長をする企業ではない、ということが分かった場合は保有している意味がありませんから売ることになります。
二つ目はその企業が、最初は優れた成長性を見せていたが、だんだんと輝きを失っていく場合です。
この場合も保有していても成長しないわけですから手放す必要があります。
三つめは、さらに有望な成長株を見つけた時です。
今の銘柄を保有しているよりも、別の銘柄を保有した方が良いということが分かった場合は、その銘柄を売却して新しい銘柄を購入することになります。
この3つだけが銘柄を売却するタイミングになるのですが、このタイミングが頻繁にあるという場合は、明らかに銘柄選択が間違っています。
バリュー投資にしろ、グロース投資にしろ、基本となるのは長期投資であり長期保有ですので、銘柄選択は簡単ではありません。
ですから、この3つのタイミングが訪れるのは稀です。
フィッシャーの考え方では、正しく選び抜いて買った銘柄には、売り時はほぼ存在しない、というのが重要なところです。
まとめ
ウォーレン・バフェットに大きな影響を与えたフィリップ・フィッシャーのことを少しお話しさせていただきました。
私はこの銘柄の売り時の説明が非常に重要なポイントだと考えています。
この売り時を理解していれば、頻繁に売買することがなくなるのと同時に、銘柄選択を慎重に行うことができるからです。