企業分析で重要な棚卸資産回転率を考える
企業の業績を棚卸資産で検証
企業の業績を図る上で重要な指標はたくさんあります。
その中でも今回は、棚卸資産回転率について考えてみたいと思います。
棚卸資産とは簡単に考えれば在庫のことであり、在庫にある商品が売れることで売り上げになるということは誰でも理解していますよね。
無在庫経営という形態もありますが、多くの企業はある程度の商品をストックしているものです。
棚卸資産は売れるまでは倉庫などに保管されていることになり、売り上げにはならないため通常は「売掛金」として計上されます。
売掛金というのは資産ですが、いつまでも売掛金のままでは困ってしまいます。
なぜなら売上にならないですから、その状態が続くことは会社の倒産につながってしまいます。
そこで、企業は棚卸資産は抱え過ぎず、かつ少なすぎずという量を常に保有していることが望ましいということになります。
棚卸資産回転率について
そこで重要な指標が、棚卸資産回転率です。
棚卸資産回転率は次の計算式で求められます。
棚卸資産回転率を計算することで、無駄な棚卸資産を保有していないか、そして売上に対して少なすぎないか、ということを判断する目安になります。
計算では売上原価が使われていて、なぜ売上そのものを使わないのか、という疑問を持つかもしれません。
売上には、売上原価に会社の利益が加算されることになりますので、売上そのものを使うと自然に棚卸資産回転率が高くなってしまうからです。
売上原価を使うことで、その企業の本当の意味の棚卸資産回転率がわかるのですね。
棚卸資産回転率でみるべきポイントは?
棚卸資産回転率で見なければならない重要なポイントは、ちょっと複雑だと言われています。
というのは、棚卸資産は先ほどからお話ししている通り、多すぎても少なすぎてもダメであり、その業種や企業によって適正な数値が異なるからです。
ですから、適正なベンチマークとなるような数値が存在しないため、見るべきポイントがよくわからないわけです。
そこで棚卸資産回転率でみるべきポイントは、数値だけではなく時間とともにどう変化したかを見るということになります。
優れた経営をしている企業、成長している企業というのは、やはり棚卸資産回転率が毎年大きく変動することなく推移していることが多いです。
しかし、競争が激しかったり、中には粉飾決算をしようとする企業がありますが、そのような場合は棚卸資産回転率が年度ごとに大きく変動していることが多いです。
粉飾は違法ですので論外ですが、競争が激しい業界の場合は、棚卸資産回転率が大きく変動する傾向があり、そのような企業はもしかすると長期的、そして持続的な経営が難しいかもしれない、という判断ができます。
まとめ
棚卸資産については、企業努力によって最適なレベルを維持するように意識されているはずです。
誰も余計な在庫を抱えたくはないですからね。
在庫は資産ですが、その量によっては負債と同じようなものに変わってしまう、ということを常に意識して企業分析を行う必要がありますね。