物覚えが悪くなったのは年齢のせいじゃない?
記憶力が落ちた?
最近物覚えが悪くなった、と感じる方って多いですよね。
年齢とともに脳の機能が衰えていくことで、記憶力も下がってしまうから仕方がないという考えの方もいらっしゃるかもしれません。
脳細胞も年齢とともに減っていくからどうしようもない、とあきらめている方も多いのかもしれませんね。
しかし、実は最新の研究によると、加齢とともに記憶力が低下するというわけではないらしいということが明らかになってきているようです。
亡くなった方の脳を解剖することでそれが示されています。
脳研究の専門家たちが115歳で亡くなった女性の脳を解剖してみると、脳の機能はほとんど衰えていないということが明らかになり、その事実から脳の寿命は120年程度だと考えられるようになってきているというのです。
ここから導き出される事実は一つ、生きているうちはほとんどの人が脳の老化の影響を受けないままだということですよね。
そうはいっても、最近は実際物覚えが悪くなってきているんだけど・・という方は、他に原因があるかもしれません。
よくよく考えてみるとわかると思いますが、最近物覚えが悪くなったということは、以前は物覚えが良かったということになります。
少なくとも今よりは昔の方が記憶力が良かったということになりますね。
しかし、昔と今とでは実際はそれほど物覚えの能力は変わっていない、というのが現実ではないでしょうか?
私個人のことを考えてみると、冷静に考えてみるとそれほど違わない気がします。
おそらく多くの方が、昔と今とではそれほど変わらない、ということに納得していただけるのではないかと思います。
昔の方が記憶力が良かった
いや、昔の方が記憶力が高かった、今よりもたくさん覚えることができた、という方はおそらく次の原因に気が付いていないからかもしれません。
若いころというのは、おそらく全員が学校で勉強していた時のことを思い浮かべると思います。
そこで教科書や問題集などで勉強するわけですが、その場合は覚えるべき範囲、対象、期日など、かなり限定されたものが多いはずです。
しかし、成長して社会に出ると、覚えるべき範囲なんて全く決まっていないし、覚えるべき対象などもあなた任せという感じですよね。
そもそも大人になると、明確な正解がない状況の中で正解を探すような生活しているわけですから、若い時と比べて使うべき記憶力というものは、けた違いに大きくなるわけです。
ですから、記憶力がそれほど変わっていないけれど、覚えるべきものが大きく複雑になっている状況にいるため、記憶力が下がったように感じてしまうのですね。
取り出す量が増えている
そして、脳から取り出す情報の量も若いころから比べると、各段に増えているはずです。
小学校の頃は、思い出すべき情報も学校で教えられたものだけ、というような状況ですので、当然脳から取り出すことは簡単ですよね。
しかし、大人になると今までに脳に保存している情報は、驚くほどたくさんになっているはずです。
その中から必要な情報を引き出して、思い出すということは、小学生のような若いころとは全くレベルが違うわけです。
ですから、若いころと大人になってからの記憶力は、それほど簡単に比較できるものではないので、記憶力が下がっているのか上がっているのかも、それほど簡単にわかるものではない、ということになります。
記憶力を高めるためには
最近記憶力が落ちてきた、という場合は脳の機能の問題というよりも、脳の使い方に問題がある、ということが今までの話の流れで行くと言えそうですよね。
脳は加齢とともに機能を低下させていくわけではない、ということになると問題は使い方であるということが言えるわけですが、では実際何をすればよいのでしょうか?
記憶力が悪くなったと感じている場合は、思い出すことができないという状況が増えていますよね。
思い出せないから記憶力が悪くなったと感じるわけですからね。
しかし、その思い出せないという状況こそが記憶を強化するためには必要なものなのです。
私たちの脳は、必要ない物は記憶しないようにして、必要なものだけを記憶するようになっています。
その能力がないと、街中を歩いているときに見る看板や町並みなどをすべて記憶してしまうことになりますので、すぐに用量オーバーになってしまいそうですよね。
そうならないように、ちゃんと忘れる機能が備わっているわけです。
忘れるのは、覚えておく必要がない、生きていくうえで必要がない情報です。
逆に生きていくうえで必要な、重要な情報だけが記憶として保存されるようになっています。
重要な情報とは
私たちが覚えている情報というのは、私たちにとって重要なものなのですが、脳はそれをどのように仕分けしているのでしょうか?
まずは、感情が大きく動いたものを記憶します。
ストーブを間違って触ってしまった場合、驚くほど熱いわけですが、そのような状況では感情は当然大きく動きますね。
そして、ストーブは触ってはいけない、ということは一生忘れないはずです。
ストーブを何度も触っていては命に関わることになりますから、脳はそれを重要な情報として記憶するわけです。
また、昔にあったすごく嬉しい思い出や楽しい思い出というのも、比較的記憶に残りやすいですよね。
このように感情が大きく動く場合は、脳はそれが重要な情報だという認識をするようです。
そして、脳が重要だと考える情報は、何度も思い出そうとした情報です。
何度も思い出そうとするということは、生きていくうえで必要な情報に違いない、ということで脳は記憶に残すようにします。
さあ、ここで先ほどの記憶力が悪くなってきた、と感じる瞬間を思い出してみてください。
思い出せない、ということは思い出そうとしたということになりますので、思い出せないことをもう一度確認して覚えようとすることは、その情報が重要なものだと認識するために必要なことでした。
ですから、記憶力が悪いと考えてしまう人は、そこで思い出そうとする行為をしない、という非常にもったいないことをしているのかもしれません。
子供の頃、若い頃というのは、テストなどで範囲が決まっているとはいえ、覚えているかどうか、答えを隠して思い出せるかどうか、何度も確認したのではないでしょうか?
それで、何度も思い出すことて、テストなどで使えるように記憶を強化したはずです。
しかし、大人になるとこの思い出すという作業を全くしなくなる、という方が多くなってきます。
思い出さないのですから、記憶する情報ではないとみなされることで、当然記憶されることはありません。
それが記憶力が衰えてきていると実感する真の理由なのかもしれません。
記憶力が衰えている、と感じる方は思い出す作業をしているか、ということをまずは確認してみることが必要ですね。
まとめ
記憶力の衰えは、脳の機能の低下というよりも覚え方の問題と言えそうですね。
大人になると、テストや試験のようなものが減っていくために、思い出すことをしなくなっていく、という方が多いように感じます。
しかし、それは脳の機能から考えると非常にもったいないことですよね。
脳は思い出すという作業をされないと覚えることができないですから、せっかくの記憶力を最大限に使うことができません。
覚えようとする作業はとても重要なのですが、思い出そうとする作業をペアにしないと、覚えることができませんので、ぜひとも覚える、思い出すという作業をワンセットで考えるようにしてください。