ラジウム温泉から得られるホルミシス効果とは?
量の問題?
私たちがあまり耳にしない言葉で、ホルミシス効果というものがあります。
健康に良い効果があるということで、少しこのホルミシス効果について調べてみました。
ホルミシス効果というのは、ある物質が高濃度、大量に用いられた場合は有害であるが、低濃度、微量に用いられた場合は有用な作用をもたらすことを言います。
あらゆるものについてホルミシス効果を指摘出来てしまう、という突っ込みはあるかもしれませんが、少しお付き合いいただければと思います。
ホルミシス効果については、健康促進やアンチエイジングの敵のように考えられているものにも当てはまります。
それは活性酸素です。
活性酸素は身体を酸化させてしまう、いわゆる錆びた状態にしてしまうことから、老化を進める原因となってしまうものです。
体内にたくさん活性酸素がありすぎてしまうと、どんどん身体が酸化してしまって、老化を進めてしまいますが、実は私たちの身体には活性酸素は必要不可欠なものなのです。
それはなぜかというと、免疫を司る顆粒球が、身体に入ってきた最近やウイルスなどの異物を排除するときに活性酸素が必要になるからです。
顆粒球は、異物が入ってくるとその敵を包み込んで、活性酸素を撒き散らして化膿性の炎症を起こします。
活性酸素を使ってウイルスなどを撃退することで、免疫が正常に保たれるのですから、やはり適量の活性酸素は私たちに良い効果を及ぼしてくれるものになります。
これもホルミシス効果ということになります。
ホルミシスについて
ホルミシス効果のホルミシスという言葉は、アメリカのミズーリ大学の教授であったトーマス・D・ラッキー博士が作った言葉だと言われています。
ホルミシス(hormesis)は、ギリシア語の刺激する、興奮すると言った語源に由来するそうです。
ラッキー博士は、放射線の研究をしていたそうですが、放射線はたくさん浴びてしまうと身体に悪影響がありますが、少量ならば身体に程よい刺激を与えて、生きる力を増す効果があるということに注目していたそうです。
放射線は少量でも人体には有害であるという考え方が一般的ですが、そういう考えとは全く反対の研究になりますね。
研究のきっかけは1970年代に実施されたアメリカのアポロ計画、NASAのプロジェクトへの参加だったそうです。
宇宙では地上の100倍程も強い放射線があるため、宇宙飛行士がその放射線から何らかの障害を受けるのではないか、という恐れから研究や調査が進められたのです。
1982年の米国保健物理学会誌に掲載されたラッキー博士の研究結果によると、自然放射線の1000倍程度は人体に有害ではない、さらに放射線は微量であれば決して毒ではなく、それどころか免疫の向上をもたらす可能性があり、さらに生命の活力を刺激したり、健康に役立つことがたくさんある可能性を指摘しています。
ラッキー博士の研究は、放射線は微量でも危険という考えが一般的であったために、他の研究者からはあまり支持されることはなかったそうです。
しかし、日本人で宇宙飛行士として宇宙に行った方は何人かいらっしゃいますが、宇宙に行ったことが原因となって健康を害した、ということは聞いたことがないですよね。
地上よりもかなり強い放射線を浴びているにも関わらず、健康被害が出ないということが、放射線のホルミシス効果を表しているように私には思えます。
宇宙に行った日本人というと数人ですから、データとしては不十分かもしれませんが。
もちろん放射線については量的な概念というものがとても重要であり、大量に浴びると確実に悪影響が出てしまうものですが、そこから放射線自体が良くないという結果に至ることは、判断を誤る可能性があるということになります。
放射線のホルミシス効果を得るために
とはいっても、私たち一般人が放射線の量を調整して、身体に良い程度の放射線を浴びるということは不可能です。
自然から放射線を浴びるしか方法がないわけですが、放射能泉と呼ばれるような温泉を利用することで放射線のホルミシス効果を得ることができます。
そもそも温泉は、医学がそれほど発達していなかった時代に、体調不良や病気の人たちが身体を癒すため、治療するために使われることが多かったのです。
それは湯治という言葉があることからもわかると思います。
温泉による湯治は、身体が本来持っている自然の治癒力や免疫の力を最大に引き出そうとすることが目的です。
温泉が身体に及ぼす効果は本当にたくさんあり、最もわかりやすいのは温熱効果ですが、家庭の小さな湯船よりも、やはり温泉の大きな湯船の方が温熱効果は高くなります。
温泉の大きな湯船につかると浮力がかかりますが、その浮力によって重力から解放されるため筋肉が緩みますので、身体がリラックスするとともに精神的にもリラックスできます。
水圧の効果は、肩までつかった場合、体表面積全体では0.5~1トンもの水圧がかかります。
これは身体全体にマッサージを受けているような状態ですので、健康への効果は説明の必要もないですよね。
また、温泉に溶け込んでいる様々な成分は、皮膚から浸透することで、毛細血管を拡張する効果があり、それによって皮膚が柔らかくなりますし、血流が良くなることで当然免疫力も高くなり、ホルモンバランスも整います。
ラジウム温泉
そして、ホルミシス効果がある温泉としてはラジウム温泉があります。
ラジウム温泉は、温泉法という法律によると、自分で放射線を出す能力がある温泉、つまり放射能泉に分類されます。
地下水が天然の放射線を出しているウラン鉱石やモナザイト鉱石などの近くを通って出てきたものがラジウム温泉です。
ウラン鉱石やモナザイト鉱石に含まれるウランやトリウムは、非常に重い不安定な元素ですので、何とか安定した形になろうとして、崩壊していくのですがその過程で放射線を出します。
ウランやトリチウムから、ラジウム、ラドン、トロンなどに壊れて姿を変えていきます。
ラジウムが水の中を通過すると、ラドン・トロン、ラジウム・エマナチオンというガスに変わり空気中にイオン化して出てきます。
ラジウム温泉では、こうしたガスを呼吸器から吸い込むことができますし、お湯につかっているため皮膚からも取り込むことができます。
ラジウム温泉から吸収できるラドンやトロンが体内に入ると、血流が良くなり、中世脂肪、コレステロール、窒素化合物などを排出させる効果があります。
ラドンやトロンには協力なイオン作用があるため、体内にイオンが与えられることで、身体の生命力を刺激することになり、新陳代謝やアンチエイジングなどにも効果が高いと言われています。
放射線のホルミシス効果というのは、一般的には知られていませんが、ラジウム温泉の健康への効果を考えると、意外と身近に存在していたのだなと思ってしまいます。
まとめ
ホルミシス効果という耳慣れない言葉ですが、放射線の身体への影響について知ると、放射線の見方も変わりますね。
もちろん多くの放射線を短時間で急激に浴びると、これは非常に危険だということは誰もが知っていることです。
しかし、どれぐらいの微量なら大丈夫なのか、ということがあまり知られていないようです。
とはいっても私たちが、何か放射線を発生させるような装置を使って、ホルミシス効果を得ようとすることはほぼ不可能ですし、誰もそうしようとは思わないと思います。
ですから、機会があれば自然が私たちに与えてくれるホルミシス効果を利用する、という程度のことで十分なのではないかと思います。