「人生と投資で成功するために 娘に贈る12の言葉」(ジム・ロジャーズ 著, 林 康史 訳)の感想
世界三大投資家
ジム・ロジャーズは、投資で成功したい人は必ずその名前を聞いているはずです。
世界三大投資家の一人と言われていて、その実力は世界的に知られています。
三大投資家は次の通りです。
- ウォーレン・バフェット
- ジョージ・ソロス
- ジム・ロジャーズ
どうでもよいことなのですが、三大投資家のように、3という数字が好きな人がいるのでしょうかね?
世界三大美人など、いろんなところで三大という言葉を聞きます。
投資家についても、この3人以外にとても優れたパフォーマンスを残している方も大勢います。
チャーリー・マンガー、ピーター・リンチなど、優れた投資家はたくさんいますので、三大の理由はあまり定かではありませんが、この3人は優れた成績を残しているのは事実です。
ジム・ロジャーズは1942年生まれです。
名門イェール大学を卒業した後は、オックスフォード大学ベリオル・カレッジを修了しているそうです。
そして米陸軍に従事した後、ウォール街で働くようになり、国際投資会社クォンタム・ファンドを共同で設立。
クォンタム・ファンドは、ジョージ・ソロスと共同で設立しています。
三大投資家の2人が作ったファンドですよ。
クォンタム・ファンドでは10年間で4000%を超える驚異的なリターンを実現しました
ちなみに同期間のS&P500は50%でしかありません。
そのような輝かしい成績を残して37歳で引退し、その後バイクで世界を旅して回るなどしながら、個人で投資を行っているようです。
そんなジム・ロジャーズが、自身の娘に贈る言葉として本書を書いているのですから、かなり参考になることがたくさんあるのではないか、と期待して読んでみたのですがその通りでした。
他人の意見に流されない
投資家として成功するためには、他人に流されてはいけない、他人の意見をうのみにしてはいけないということがよく言われます。
人の行く裏に道あり花の山
この言葉は、投資を成功させるためには、誰もが心に刻んでおかなけばいけないことです。
株式投資に限りませんが、投資は安く買って高く売るということができなければなりません。
これ、ビジネスの基本ですね。
高く売って、安く買い戻すという空売り(ショート)という方法もありますが、私は空売りはあまり行うべきではないと考えています。
さて、多くの人は株価が高くなってきたときに、さらなる値上がりを期待して買うことが多いのですが、そこが天井で暴落するということを経験するものです。
それは多くの人に流されて買ってしまったことが失敗につながっているわけですね。
投資で成功するためには、高く上がるであろう起業の株を、激安状態のときに買わなければならないわけで、そのときには当然ほとんどの人が気が付いていないわけです。
その状況で購入できるかどうか、ということが重要であり、他人に流されていては成功はほぼ不可能というわけです。
もし周囲の人々が君の行動を制止しようとしたり、バカにしたりし始めたら、それは素晴らしい成功へのサインだ。いいかい、これは大事なことだよ。大勢に従って成功した者は、いままで誰一人としていなかったんだ。
(9ページ)
自分の考えを否定する人が多ければ、成功の確率が高いということになりますね。
しかし、重要なことは、これから自分が行うであろうことが正しいのかどうなのか、ということが同じく重要です。
間違った方向に進んでいるにも関わらず、他人の忠告を無視して行動していては、成功はありえず、破産への道を一直線に進んでしまうことになりますね。
私の場合は、世界中で何が起こっているかを隅から隅まで調べるのが好きだったから、投資で成功することができた。
(19ページ)
自分が行うことが正しいのかどうか、ということは調べつくしたのちに行動に移すことが重要なのです。
私が投資をする際には、どんなステップも軽んじない。株に投資をするときには、すべての財務諸表に目を通し、細かい注意書きも見落とさない。経営者側が発表した財務諸表や見通しに関しては、すべて裏をとることにしている。そして「その会社のことはウォール街にいる98%のアナリストよりも知っている」と言えるようになるまで投資をしない。
(21ページ)
ここまで徹底して調査することで、自分が行おうとしていることを理解しなければ、自分が正しいのかどうかはわからないのでしょう。
なぜなら、これだけ経験豊かな投資家ならば、ちょっと調べただけで投資を行っても成功しそうですが、そうしないということは、徹底的に調べ上げることで自分の行うことが正しいかどうかを知ることの重要性を物語っているからです。
そして、ITバブルで失敗した人々を例にして、投資するべきものを理解することの重要性をさらに強調しています。
たとえば、「IT革命」が起こったとき、多くの人々はなにかまったく新しいことが始まったかのようにとらえていた。でも、それは歴史上にたくさん起こってきた技術革新の一つ。いわばもうひとつの産業革命にすぎない。
(82ページ)
産業革命でしかないのであれば、産業革命のときにどのように経済が動いていったのか、歴史から学ぶという発想も出てきますね。
しかし、何か新しいことが起こったと考え、周りの人々と同じように、ドットコム企業に投資した結果は、ITバブルの崩壊によって失敗してしまったわけですね。
当時はウォーレン・バフェットも、IT関連の企業に投資を行っていませんでした。
そのため、バフェットも過去の人になったと世間から揶揄されていたのを記憶しています。
しかし、それでもバフェットはIT企業に投資を行いませんでした。
理由は単純で理解できなかったからだそうです。
理解できないものは投資しない、理解できるまで待つという姿勢を貫いていたのですね。
ちなみに、バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイの今現在の最大の投資先は「アップル」です。
今ではITのトップともいえる企業に投資しているのですが、それは理解できるようになったからでしょう。
間違いはすぐに正す
人は自分の間違いを受け入れることはつらいものです。
しかし、間違いをすぐに認め、正しい方向に進む道を改めることも、投資家として重要だと述べています。
優秀なトレーダーは、自らが間違いやすい人間であることを自負している。もちろん私だってそうだ。時には間違った判断を下してしまうことがある。しかし間違いに気づいたときは、素直にそれを認めて、すぐに正しい道へ方向を転換をするんだ。
(87ページ)
間違いを認めず、それに固執すれば間違った方向に進み続けることになり、これまた破断への道を進んでいることになります。
しかし、自分の間違いを素直に、素早く認めることで、正しい方向へ道を転換すればそれは成功への道になりますね。
投資家として成功するためには、間違いをいかに素早く探して認め、改めるかということも重要なポイントになるようです。
まとめ
投資家として成功するためには、やはり成功した投資家の言葉というものを参考にする必要があります。
私が常々思っていることは、今すぐにでもお金持ちになりたい、という気持ちが投資を大失敗に導く大きな原因だということです。
今すぐにでもお金持ちになりたいと考えると、どうしても投資先の調査が甘くなってしまって、理解が不十分なままになってしまいます。
成功した投資家であるジム・ロジャーズですら、理解できなければ勝てないのですから、我々はなおさら理解しなければ、成功はおぼつかないですよね。
投資の基本を再認識する意味でも、そして始めて投資を学ぶ方にも、本書はとても良い本だと思います。