「ビッグミステイク レジェンド投資家の大失敗に学ぶ」(マイケル・バトニック 著)を読んだ感想
投資の失敗とは
投資をしている、経験があるという方は、失敗がつきものということは理解されていると思います。
投資においては失敗の種類がたくさんあるため、いくらでも失敗の例を上げようと思えば上げられるのではないでしょうか?
私も投資での失敗は本当にたくさん経験しているので、上げようと思えばいくらでも例を出すことができると思います。
損切り・塩漬け
代表的なものとしては、やはり買った株の価格が全く上がらないで、結局損切りになってしまったとか、今でも塩漬けになっている、ということでしょうか?
これは本当につらいですよね。
上がると考えていて上がらないというのは、自分の失敗をみとめてしまうことになりますが、その失敗をなかなか素直に認めることができないのが私たち人間です。
利益確定後に株価が上がる
そして、利益確定のために株式を売ってしまった後に、あり得ないほど高く株価が上がっていく、というのも失敗と感じてしまいますよね。
利益に利益を生ませるということが、株式投資に限らず、あらゆる投資の基本ともいえることですが、それを理解していても利食いが早くなってしまいがちです。
損が明らかなときには損切り、利益が見込めるときには利食わない。これが鉄則だ。
(40ページ)
利益を確定しているということは、当然儲けが出ているということになるのですが、その後の株価の上昇を見ていると、まるで大きな失敗をしてしまったように感じるものです。
そして、ここでもう一度ポジションを取って、利益を吹き飛ばしてしまう、ということもあり得ることですよね。
買うのをためらった銘柄の価格が上昇
これもかなりつらいことです。
この銘柄を買うべきか躊躇しているときに、株価が一気に上昇してしまって、それを指をくわえて見ているだけ、という状態は本当につらいものです。
どうして買わなかったのか、という後悔の念が強くて、情けないやらなんやら、いろんな感情が沸き起こってくるものです。
どちらか迷った銘柄で買わなかった銘柄が上昇
株式投資では、当然どの企業の株式を買うかということを決めなければならないのですが、その過程でどちらを選ぶべきか、ということを決めなければならないときには、どちらの銘柄の価格変動が気になるものです。
資金が潤沢にあれば、期待できる銘柄両方を買ってしまえばよいわけですが、ファンドマネージャーでもない限り、それはなかなか難しいですよね。
ですから、どちらかを選んで買うことがほとんどだと思いますが、私の経験ではかなりの確率で、買わなかった方の銘柄がロケットスタートを決めてくれます。
それはしょうがない、とあきらめなければならないのですが、そう簡単にあきらめることができれば苦労しません。
くやしさでどうしようもない気持ちだけが残ってしまいます。
他にもたくさんの失敗がありますが、このぐらいにしておきます。
失敗しない投資家はいない
しかし、どれだけ偉大な投資家であったとしても、これらの失敗を経験したり、同じ気持ちを味わっています。
この本の目的は、偉大な投資家の失敗を学ぶことによって、同じ間違いをしないようにしよう、という意図で書かれています。
ですから、私たちが学ぶべきことは失敗の内容とその回避法ということになります。
私はバリュー投資やグロース投資のような、企業の本来的価値よりも、現在の株価の方が割安になっているものを、本来的価値になるまで持ち続けるという、長期投資を基本としているのですが、これは比較的失敗が少ない投資法ではないか、と考えています。
これは私が一番理解しやすかった投資法ということもありますし、ストレスが少ない投資法ということもあります。
長期投資ならば、日々の株価の変動に一喜一憂する必要もなく、リラックスして日々の生活や仕事を続けていくことができます。
史上屈指の影響力を誇るこの投資家から私たちが学べる教訓は、投資は一生続く長旅であるということだ。
(78ページ)
投資というのは、一発逆転ですぐに大金持ちになろう、という考えの人がなぜか多いのですが、仕事と同じく長く続けていくなかで、少しずつ利益を増やしていくというのが本質です。
ちなみに1月で10億稼いだ、というような謳い文句でいろんな商材が売られていたりしますが、私ならそんなノウハウは売らないです。
ライバルが増えるだけですから。
地道に焦らず、コツコツと利益を出していく、というのが投資だと考えているため、そのような情報には惑わされることはないのですが、商材を購入したいという方は、一度立ち止まって、それが本当に必要かということを自分に問いかけてみるべきでしょう。
完璧な投資法はない
しかし、その投資法ですら絶対はない、ということは常に認識しておく必要があります。
バリューに目を配ることは非常に重要だが、その奴隷にならないことがより重要だ。グレアムが私たちに教えてくれるのは、金融市場には完璧な法則が存在せず、安いものがもっと安くなる可能性があるということだ。
(26ページ)
安い株価が安いままということはよくあることですが、長期投資ですので上がるまで持っておけばよいという考えではよくない場合があるということですね。
株式を保有しているということは、そのための現金はそこに固定されていることになります。
その時にさらに魅力的な投資先が見つかった場合も、現金が固定されているために投資ができない、ということは二重の損失になってしまうかもしれません。
そこの判断は相当難しいのですが、無意味な現金の固定だけは避けなければいけません。
理解できないものには投資しない
そして、偉大な投資家たちは自分の理解できないものには徹底して投資しない、という姿勢を貫いています。
しかしながら、偉大な投資家と言えども人ですから、魔がさすのか理解できないものに投資してしまうことがあるようです。
そのときには、必ず手痛いダメージを食らってしまうようです。
バフェットは、「自分が理解できる分野」の会社を買うという姿勢を貫いた。しかhし、おそらくそれより重要なのは、「自分が理解できない分野」の企業にはまったく手を出さなかったことだ。
(93ページ)
投資の神様ともいわれるウォーレン・バフェットは、靴メーカーの買収によって、日本円にして約6600億円の損失を出しているそうです。
以前に靴メーカーの買収でうまくいっていたため、自分で靴メーカーのことを理解していると考えていたようですが、十分に理解できていなかった、という趣旨のことを話しているそうです。
投資の神様からは程遠い私たちは、より一層自分が理解できる分野に投資する、ということを徹底しないといけませんね。
理解が不十分な対象に多くの金をかけるのは金を失う手っ取り早い方法だ。だが、それ以上にダメージとなるのは、金が消えた後に残る心理的な傷だ。
(102ページ)
絶好のチャンスが来たにも関わらず、そのダメージが深すぎて、取引に入ることができなくて、株価が上がっていくのを見ているだけ、という状況が作り出されると、失敗に失敗を重ねることになります。
十分に注意しなければならないことです。
まとめ
偉大な投資家ですら失敗するのですから、私たちも失敗して当然です。
しかし、できれば失敗はしたくないですから、先人の経験からたくさん学んで、実際の投資に活かしていきたいですね。