「プロの学び力」(清水久三子著)を読んだ感想
今までの学び方が通用しない
今までの学び方が通用しない、ということは社会人の方は多く感じることではないでしょうか?
今までの学び方というのは、学校や資格試験のために勉強するような方法ですが、同じように大人になってから勉強してもなかなか結果につながらない、という実感が私にはあります。
そこで本書「プロの学び力」を読んでみることにしたのです。
本書は、2007年に出版されているため、少し古いものでアップデート版のような感じで、著者である清水さんが「一流の学び方」という本を出版されています。
同じ著者ですが、まずは古いものを読んでから新しい本を読んでみようと思い、まずはプロの学び方から読んでみました。
本書から伝わってくることは、大人の学び方は子供の頃の学び方とは違うということです。
学校では成績優秀だった人が、入社してみるとあまり成果を上げられない、ということが良く起こります。
それは、学び方を変えないといけないという事実に気が付くか気が付かないかが問題なのです。
この問題を解く鍵は、私達トレーニング業界で使われる二つの用語にあります。それは「アダルトラーニング」と「チャイルドエデュケーション」です。
(18ページ)
チャイルドエデュケーションに関しては、結果を出す方法が非常に明確ですよね。
究極に単純化してしまえば、試験で良い成績を取るということが目的です。
社会に出ても通用する人材を作る、集団行動ができるようにする、など数々の目的が教育にはあるわけですが、やはり一番重要なことは試験で良い点を取ることでしょう。
そのために行うべきことは非常に明確であり、何を勉強すればよいのかもまた明確です。
しかし、アダルトラーニングに関してはどうでしょうか?
アダルトラーニングでは、試験で良い点を取る目的が重要になる場面もあるのですが、一番の目的は「稼げるようになる」ということであったり、夢を叶えるために「なりたい自分になる」ということのためだと思います。
そして、この目的を達成するためには、いったい何をすればよいのかということが、本人任せの状態であり、学校のようにこれをやればよいということが明確ではありません。
ですから、学校で成績が良かった人でも、社会に出てみると今一つ結果を出せないということになるのです。
まずはその違いをしっかりと認識する必要があるということですね。
アダルトラーニングを成功させるためには
そのためアダルトラーニングを成功させるためには、その目的に直結するようなことをまずは学ぶ必要があると、清水さんはおっしゃっています。
具体的に言えば、稼ぎが上がることに直結することを学ぶ必要があるということです。
社会人が学ぶのは、やはり年収を上げたい、働かないでお金を稼ぎたいというのが一番の目的ではないかと思います。
その目的に直結するようなものを勉強していくことで、結果を出しやすくなりますし、モチベーションも維持しやすくなります。
本書では、財務諸表のことが例に出されています。
社会人である以上、財務諸表が読めなければ、という考えで多くの方が勉強を始めますが、多くの方が財務諸表が読めないままの状態です。
それは、財務諸表を読むことができる能力が、稼ぎをアップさせることにつながっていないからというのが、一つの理由になっています。
財務諸表ぐらい読めないと、という理由だけではそれを学ぶ気持ちを維持することができないため、依然として読めないまま、という状況が続くことになります。
これが公認会計士になりたい、税理士になりたい、または経理部で働くようになって財務についての知識が稼ぎに直結する状況になると、当たり前ですが財務諸表について学ぶ熱量は大きくアップして読めるようになるわけです。
もちろんこれらの職業については、財務諸表は読めて当たり前で、さらに必要な知識を詰め込んでいく必要がありますが、そこにも稼ぎに直結するという事実が学びを比較的容易にしてくれます。
自分の目的をまずは明確にして、そこに向かって必要な情報を学習していくというプロセスを踏む必要があるわけですね。
これが学校で教えられない学習法の一つですよね。
学校であれば、何を学ぶ必要があるのかということが、教師などから与えられるために、それを勉強しておけば問題はありません。
また、定期試験などではここからここから出題されるから勉強するように、と言われるのですから目的はとても明確です。
大学受験などになると、出題の範囲も膨大になりますが、やるべきことは明確と言えば明確です。
しかし、アダルトラーニングになると誰もそのようなことを教えてくれませんので、自分で目的を明確にしてそれに向かって努力する必要があるということに気が付くか気が付かないかで、かなり差ができるのではないかと思います。
アウトプットが重要
学びに関しては、どのようなものであってもインプットとアウトプットの両方が必要になります。
学生の頃ならば試験があるので、そこでアウトプットできるのですが、そのような場は社会に出るとなくなってしまうものです。
ですから、アウトプットできる場というのは自分で作っていく必要があります。
目的も曖昧で、とりあえず勉強しようという考えの場合は、なかなかアウトプットできる場もないかもしれませんが、稼ぎに直結するような内容を勉強していれば話は別でしょう。
おそらく、アウトプットできる瞬間はたくさんあるはずです。
そこで、失敗を恐れたり、恥ずかしがったりしてアウトプットができない、ということになると、せっかくの学びも無駄になってしまいかねません。
ですから、明確な目的をもって勉強しているものは、アウトプットも積極的に行っていくべきです。
そこを踏まえたうえで言いたいのは、「ビジネスパーソンの学びの基本戦略は、インプットの期間を極力短縮化し、アウトプットの期間にできるだけ時間を費やす」ことが重要だということです。
(65ページ)
インプットは非常に大切ですし、継続していく必要があるのはもちろんなのですが、インプット自体は、稼ぎを増やすというような目的を達成することにはつながりません。
インプットとともに、そこで得た知識を生活に活かすアウトプットがあって初めて結果を出すことができるのです。
インプットしたら自然にアウトプットできるだろう、考える人もいますが多くの知識はアウトプットしようという意識がなければアウトプットできないものがとても多いです。
本やネットを見て勉強した、と満足しているだけでは半分しか終わっていない状況であり、アウトプットが伴って初めて勉強したということになる、ということはしっかりと認識しておく必要があるでしょう。
まとめ
本書では、情報マップ、ラーニングジャーナルなどを作ることで、効率的に学んでいく方法が紹介されています。
それらの知識はとても有効なものですが、やはりその情報を活かしていくためには、アダルトラーニングとチャイルドエデュケーションの違いについての理解がとても重要です。
一般的に社会人にはこの程度のことは知っておく必要がある、というものを勉強するよりも、自分の目的に合致したものを勉強していくことで、しっかりと成果を残すような勉強をするのがアダルトラーニングです。
目的が明確になれば、後は本書に紹介されている方法を活用して、きっと結果を残していけるようになるはずです。