「「発想力」と「想像力」を磨く 東大アイデア」(西岡壱誠 著)を読んだ感想
アイデアを生み出すのは才能?
いろんなアイデアを出していく、ということはどんなところにいても重宝される能力ですよね。
しかし、そんなクリエイティブさを誰もが持っているかというと、そういうわけでもないということで、アイデアをたくさん出せる人をうらやましく思うことが多い。
私もその一人です。
しかし、そもそもアイデアというものはどのようなものか、しっかりと考えたことがない、というのも事実です。
そこで、アイデアというものは一般的にどのように捉えられているのか、ということからスタートする必要があるのかもしれません。
当然様々なものがアイデアとして考えられるわけですが、本書ではこのように書かれています。
「突飛で面白い考え方のことをアイデアと言い、それを作り出そうとすることを”アイデア作りという」
「斬新な思いつきのことを”アイデア”と言い、それを思いつける人のことを発想力がある人”と言う」
(3ページ)
一般的にはこのような感じで考えられていると書いてありますが、確かに私もこのようなイメージを持っていました。
アイデアを生み出せるのは、なんとなく特別な能力のような気がする、というのは誰もが感じていることですよね。
しかし、本書はそうではないと主張しています。
アイデア作りというのは、難しいものではありません。
(3ページ)
そしてこう続けます。
この本は、インスピレーションを高める本というわけではありません。技術的に、合理的に、「アイデア」を生み出す本に他ならないのです。
(4ページ)
アイデアというのは、誰にでも生み出すことができる技術であり、それを本書は教えてくれるというわけです。
東大で求められる能力
この本のタイトルに「東大アイデア」という言葉が入っているので、東大で使われているノウハウのようなものが書かれている、と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、そのようなノウハウについては書かれていません。
しかし、東大で求められる能力についてこう書かれています。
東大が求めている能力というのは、「知識をたくさんインプットする能力」ではありません。
「知識をどう活用するか」という”知識の運用能力”つまりは「自分の頭で考えて発送する能力」です。
(5ページ)
そして、この知識をどう活用するか、ということがアイデアを生み出すことにつながるわけです。
最近では、AIの進歩がとても速いため、多くの職業がAIに奪われてしまい、失業する人が増えていくのではないか、ということを指摘する方がいらっしゃいますね。
私はそれほど心配する必要はないと思いますが、ある程度の準備というのはもちろん必要になるでしょう。
そして、その準備の一つとして、アイデアを生み出す技術、能力というものが含まれると思います。
その求められる能力を、本書で学ぶことができるとなれば、ぜひとも参考にしたいですよね。
アイデアを生み出すための前提
本書ではアイデアを生み出すためのコツのようなものを、たくさん紹介してくれています。
私がとても大切だと感じだことは、「目的」を明確にするということです。
目的を明確にするということは、あらゆることの基礎と言っても良いことなのですが、それがアイデアを考えるときには、すっかり忘れられてしまう傾向があります。
アイデアというのは、何もないところから生み出される、というような印象を持つ人が多いことが原因の一つなのかもしれません。
しかし、目的やゴールがなければ、何を考えればよいのか、ということも全くわからないため、アイデアが出てくるはずもありません。
逆に言えば、【目的】を作るようになれば、そこに行き着くためのアイデアを考えるだけで、簡単にその目的地にたどりつくことができます。
(27ページ)
そして、アイデアというのは誰もが思いつくものだと、アイデアと呼ばれないことが多いです。
誰もが思いつかないようなものをアイデアと呼ばれることが多いですよね。
つまり、誰もが届かない遠くにあるアイデアを思いつく必要があるわけですが、遠くにあるため目的が明確でないと、全くそれが見えないわけです。
どこを目指せばよいのか、ということが明確ではないため、アイデアにまで届かない、という結果になるわけですが、先ほどの引用のように目的が明確であれば、それが遠くてもたどり着くことができますよね。
アイデアというのは、どこからともなくやってくるものではなく、目的地をしっかりと決めてそれに向かって進む人に与えられるもの、ということができるかもしれません。
知識を運用する
そして目的地が定まれば、そこに向かっていかに上手にそこにたどり着くか、ということが重要になるわけで、それがアイデアにつながることになります。
この段階で重要になってくるのは、やはり自分が持っている知識をいかにうまく運用することができるか、ということになります。
自分の知らないことを突然思いつくというのは、考えづらいですよね。
ですから、アイデアを考えるためには、できるだけ知識を仕入れておく、ということがとても重要なのだろうと私は思っています。
詰め込みの学習は良くない、ということが言われることがありますが、私は詰め込み以外の教育や学習はないと思っています。
欠けていることは、詰め込んだ知識をいかに運用するか、ということを教える人が誰もいない、ということが問題なのであって、詰め込まなければ何も発想できないだけです。
アイデアを生み出したいのであれば、いろんな人のアイデアや思考を参考にしながら、自分の知識としていくことが重要だということになります。
いい意味でパクる
アイデアというのは斬新なもの、今まで誰も思いつかなかったこと、というイメージがあるかもしれませんが、そのイメージは間違っているようです。
あらゆるアイデアは、すでに存在するものを別の場所に応用したり、さらに改善したりして生まれたものであり、全く無から生み出されたものというのは、ほぼないようです。
たとえば、今世界で一番売れている機械であるスマートフォンは、どこの会社(誰)が作ったものか知っていますか?
「アップル!」「スティーブ・ジョブズ!」と答える人が多いと思いますが、違います。
実は、スマホは「ノキア」という会社が、どこよりも早く1996年に開発していました。ジョブズは、そのノキアが作ったアイデアを「改良した」に過ぎないのです。
(61ページ)
今あるアイデアをより良いものにし、さらに改良を重ねてよいアイデアにしていく、という行為は、私たちが歴史上で繰り返してきたことなのですね。
ですから、如何に知識をたくさん仕入れていくか、ということがとても大切になってくるということが、ここからもわかると思います。
まとめ
アイデアを生み出すのは才能ではなく技術であるということが、本書が主張することです。
もちろん技術ですから、練習して上手にアイデアを生み出すようになる、という過程は必要ですが、学ぶことができるとなれば、あきらめる必要もなくなります。
目的を明確にして、さらに知識をたくさん取り込み、それらを応用していくことで、アイデアをたくさん生み出せるようになれば、いろんなチャンスをつかむことができるかもしれませんね。
もちろん、アイデアを生み出すためのテクニックは、他にもたくさん必要ですが、本書に解説されていますので、今後の人生でアイデアをたくさん生み出したいという方は、ぜひ参考にしていただきたい書籍です。