BDNFを効果的に増やす方法とは?
脳神経細胞は復活する?
脳神経細胞は一度死んでしまうと、もう二度とよみがえることがない、二度と復活しないとまことしやかに言われていましたね。
今でもそれを信じているという方は多いのかもしれません。
しかし、身体の他の部分はケガをしたり、病気になったりしても、しっかりと回復するようにできている私たちの身体の中で、脳だけはなぜ復活しないと考えられていたいのでしょうか?
それは、人の脳を見る術がなかったからであって、しっかりとした証拠があってそういわれていたわけではないようです。
今では、CTスキャンやMRIなどで、頭蓋骨を切り開くことなく、脳の働きを知ることができるようになってきており、脳神経細胞が二度と復活しない説は覆ってきています。
今では少なくとも海馬や背外側前頭前皮質などある特定の領域では、神経細胞が再び回復するということが、いろんな研究で報告されています。
そして、脳神経細胞を成長させる因子としては、BDNFとNGFが知られているのですが、特にBDNFが、非常に重要な鍵を握っていると言われています。
BDNFとは、Brain-derived neurotrophic factorの略になっていて、日本語では脳由来神経栄養因子と言われています。
長いので、BDNFと通常は言われることが多いようですね。
名前が、脳由来神経栄養因子ですから、なんとなく脳に重要なものであるということはわかると思います。
BDNFはタンパク質の一つで、神経細胞の発生や成長、維持や再生を促してくれる重要なタンパク質です。
つまりは、BDNFをいかに多く増やしていくかが、短期記憶を司る海馬細胞を回復させるために重要であったり、ひいては脳機能の低下を防ぐために重要になってくるわけですね。
BDNFを使った治療
BDNFが脳に良いということがわかっているのなら、直接BDNFを投与すれば脳にすごく良い効果があるのではないか?
そんな風に考えることができますよね。
しかし、残念ながらBDNFを直接投与しても、ほぼ効果がないと言われています。
なぜなら、脳にBDNFを到達させるためには、脳血管関門というところを通過させる必要があります。
ここは、関門という言葉が示しているように、あなたは通過しても大丈夫、あなたは通過してはいけません、という作業が行われる場所で、ここを通過できたものだけが脳へと届けられることになります。
直接投与されたBDNFは、この関門を通過できないので、脳には届かないのです。
また、BDNFの研究は、直接投与に関してのリスクの把握が難しいため、件数もかなり少ないのが現状であり、BDNFの不自然な投与によって、うつ病を引き起こす可能性があるという指摘もあります。
ですから、外からBDNFを補って増やすという方法は、今のところは存在しないのです。
どうやってBDNFを増やすのか
ではどうやってBDNFを増やせばよいのでしょうか?
ダークチョコレートを食べるというのも、BDNFを増やす効果があると言われています。
具体的にはカカオ含有量が70%を超えるものを食べることで、BDNFを増やすことができると言われています。
しかし、最も効果的な方法として考えられているのが、やはり運動です。
運動することで、BDNFを増やすことができるので、やはり日ごろから運動する習慣をつけることが、身体にも良いことですし、さらに脳にも良いことになるわけです。
そして、さらに運動で効果的にBDNFを増やすためには、できる限り外で運動することだと私は考えています。
イギリスのタクシードライバー
脳の短期記憶を司ると言われている海馬の話になると、よくイギリスの正確にはロンドンのタクシードライバーの話が良く出てきます。
ロンドンのタクシードライバーになるためには、ロンドンの複雑に入り組んだ道路を正確に記憶して、試験に合格しなければならないそうです。
そしてその入り組んだ道路を仕事で毎日走ることになるわけですから、脳への刺激もかなり強いのではないかと思いますよね。
その考えは正しくて、ロンドンタクシーの運転手は後部海馬のサイズをMRIで調査したところ、平均的な人の海馬容積よりも有意に大きいということがわかっています。
そして、海馬の大きさはタクシー運転手の職歴の長さに比例しているということもわかっているので、移動の時の空間認識、空間体験の長さが、そのまま海馬の成長に結びついていると考えられているようです。
脳の成長のことを考えれば、このロンドンのタクシードライバーの事実を、運動に取り入れなければ損ということになりますよね。
ぜひとも日ごろの運動に、この要素を取り入れてみてください。
効果的な運動の方法
では、どうやって効果的な運動を行えばよいのでしょうか?
やはり、運動はできるだけ外で行うことが望ましいですね。
なぜなら、目に映る景色が変化しますし、日差しも毎日違います。
湿度や温度も異なっていることから、様々な新しい刺激を脳は受けることができるため、外で運動することがとても重要になります。
ジムや室内で運動することも、メリットだらけなのですが、外で運動する方がより刺激が増えるのは異論がないのではないでしょうか?
そして、先ほどのロンドンタクシードライバーの研究結果を考えると、外で運動する場合、例えばジョギングやウォーキングを行うときには、できるだけ新しいコースで行うことが効果的ということになります。
毎日同じコースをたどっていると、景色が同じですので、その刺激に慣れてしまって、脳への刺激も少なくなってしまいます。
たくさんの刺激を常に脳に与えるためには、常に新しいことに挑戦することが重要ですが、難しいことをする必要はなくて、歩いたことがない道を歩いてみたり、いつものコースを逆から回ってみたりするだけで、刺激は新しくなります。
たまに道に迷うこともあると思いますが、スマホがあればグーグルマップなどを使えば問題ないですよね。
ジョギングでスマホを持たない、という方の場合は迷った場合は人に聞いて戻るしかないですが、それも実は脳への刺激になってとても良い方法ですね。
運動の習慣がない場合
BDNFのことを考えると、運動はぜひとも習慣にしていただきたいのですが、そうはいっても運動はしたくない、という方もいらっしゃるかもしれません。
アンチエイジングや美容、健康促進には運動は必須だと私は考えているので、そんな方も日常生活ではできるだけ、身体を動かすことを意識されることをお勧めします。
通勤で駅に向かうときには、できるだけ早歩きをしていく、階段をなるべく使うというようなことを意識するということですね。
そして、駅に向かう、買い物に行くというような場合は、ぜひ違ったルートで行くということも選択肢に入れてください。
そうすることで、脳への新しい刺激も加わって、運動がさらに効果的になると思います。
まとめ
BDNFを増やすためには、やはり運動でしたね。
その運動をさらに効果的にするために、新しいルートを常に開発するということが重要になりそうです。
運動を習慣にしている方は、それが楽しい作業であるということが想像できるのではないでしょうか?
運動が終わった後に、今日のルートの風景や景色、人や自動車の往来などを思い出す行為も、脳にとって素晴らしい刺激になりますし、記憶力をアップさせる方法でもあります。
ぜひ、今から取り組んでみてはいかがでしょうか?