「エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする」(グレッグ マキューン 著)を読んだ感想
エッセンシャル思考って?
エッセンシャル思考というのはどのようなもので、仕事や勉強、日々の生活にどのように活用できるのでしょうか?
そもそもエッセンシャル思考とは、いったいどのようなものなのか、様々な疑問がタイトルを見ているとわいてきます。
そんな疑問を解決しようと、この本を読んでみました。
この本を一言で言ってしまうとこうなります。
少ない労力で良い成果を出すにはどうするか、という究極の問題を解くための鍵となる本。
日々忙しい毎日の中で、結果を残したいという方にとっては必読書のような本のようですね。
しかし、誰もが無意識のうちにそのような考えで行動しているのではないかと思うかもしれません。
少ない労力で結果を残す方法を、日々探しているのが我々人間なのではないか?
しかし、現実は少々違っているようです。
私たちは社会の中で生活している中でいろんなことに振り回されることが多いですし、その忙しい生活の中でも自分の評判を落としたくないと、心のどこかで思っているものです。
昔から集団生活を行ってきた人類にとって評判や評価を落とすと、社会から排除され孤立することを意味していました。
ですから、できるだけ評判や評価を落としたくない、という本能ともいえる考えが心の片隅にあるのですね。
そこで頭の中を支配してしまう思考が、「やらなくては」「どれも大事」「全部できる」という3つになります。
しかし、この3つはエッセンシャル思考においては、最も邪魔になる思考です。
エッセンシャル思考になるためには、3つの思い込みを克服しなければならない。
「やらなくては」「どれも大事」「全部できる」ー この3つのセリフが、まるで伝説の妖女のように、人を非エッセンシャル思考のわなへと巧みに誘う。
人は評判、評価を良くするためには、すべてのことをしっかりと行わなければならない、という考えになってしまって、すべてを同様に行おうとして、3つのセリフが心の中で鳴り響いてしまうのですね。
しかし、エッセンシャル思考になるためには、この3つを変えなければなりません。
「やらなくては」ではなく「やると決める」
「どれも大事」ではなく「大事なものはめったにない」
「全部できる」ではなく「何でもできるが、全部はやらない」
この考えを心にしみこませる必要があり、それがエッセンシャル思考へと導いてくれるのです。
エッセンシャル思考を身につけるために
エッセンシャル思考は、「より少なく、しかしより良く」を追求する生き方ということなのですが、それを身につけるためには、エッセンシャル思考を習慣化、つまり意識しないでも常にエッセンシャル思考で考える状況を作る必要があります。
「今、自分は正しいことに力を注いでいるか?」と絶えず問い続けるのが、エッセンシャル思考の生き方である。
エッセンシャル思考は、より多くのことをこなしていこう、という思考ではなく、より正しいことをやり遂げる技術ということになります。
しかしながら、正しいことを、少しだけやればよい、ということではもちろんなく、自分の時間とエネルギーをもっとも効果的に配分していくことで、重要な仕事、大切なことに最大の成果を上げていこう、という思考です。
選択する能力を獲得する
エッセンシャル思考を得るためには、すべてをやろうという思考を捨てる必要がありました。
そうなると、何かを得るためには何かを捨てる思考が必要ということになりますよね。
全てを捨てていては、何も残らないですから。
エッセンシャル思考の人は、流されない。たくさんの些末なものごとのなかから、少数の本質的なことだけを選びとる。不要なものはすべて捨て、歩みを妨げるものもすべて取り除いていく。
自分で正しい物を選択して、それ以外を捨てるという作業を行う必要が出てくるわけです。
選択することができなければ、人生を他人にゆだねることになってしまう、ということに気が付いていない人が多いのですが、やはりそれも評判を落としなくない、という気持ちが気持ちの中で働いているからなのでしょう。
選択する能力を取り戻さなければ、エッセンシャル思考にはなれない、ということが分かったと思いますが、そのための方法が細かく書かれていますので、それをもとに進めていくことで、エッセンシャル思考を身につけることができるようになっています。
選択する能力を奪うのは?
私たちの選択する能力を奪うのは、いったい誰なのでしょうか?
選ぶ能力は誰にも奪えない。
ただ、本人が手放してしまうだけだ。
選択する能力を手放してしまうと、選択する権限を他人に与えてしまうことになります。
なぜなら、頼まれたことをすべて行うことになり、結果として他人が選んだことを実行するだけになるからです。
選択する権限を手放してしまって、人生の主導権を握られてしまっている場合は、すぐにエッセンシャル思考を身につけて、選択する能力を取り戻す必要がありますね。
そして、選択できない人は、どうしてもこう考えてしまうものです。
どうすれば両方できるか?
しかし、エッセンシャル思考の人は違います。
どの問題を引き受けるか?
と考えるのですね。
この考え方はかなり大変な考え方ですよね。
なぜならば、どちらかを断らなければならないのですから。
しかし、この思考ができればより大切なことに全力を向けて取り組むことができる、というエッセンシャル思考が求める状況を得ることができるわけです。
ここで気になるのが、やはり断ると相手に嫌な気持ちにさせるのではないか、という本能的な考えが心に出てきてしまうことです。
しかし、そのプレッシャーに負けていては、エッセンシャル思考を獲得することができません。
と同時に相手を傷つけるような断り方をするべきでは、もちろんありません。
どのようにNOというべきなのか、ということも本書には解説がありますので、それを参考にしつつ、徐々にエッセンシャル思考を習得することできます。
選択する時間を取る
私たちはどうしても選択を迫られると、すぐにその場で結論を出さなければならない、という気持ちを強く持ってしまいます。
聞いたばかりのチャンスに飛びつき、読んだばかりのメールに返信する。
しかしそのような行動は、選択肢をしっかりと調べることができませんし、その本質を見極めることができません。
エッセンシャル思考は、「より少なく、しかしより良く」ということが基本なのですから、その選択がその思考に合っているのか、ということを調べる時間は当然必要なのです。
エッセンシャル思考の人は、すぐに飛びついたりしない。調査と健闘にたっぷり時間をかけることを選ぶ。
早い行動を求める、ということはいろんな場面で見られることです。
買い物をしている時には、今だけのセールです、というような謳い文句で決断を迫られることが多いですよね。
これは、買い手の思考する時間をなくそうとする手法でもあります。
そんな状況に慣れている私たちは、しっかりと時間を取って選択肢を考えるという経験があまりないかもしれません。
しかし、より効率的に行おうとするならば、それが効率的なのか、ということを確認する必要があるのは当然ですよね。
まとめ
エッセンシャル思考になるためには、様々な障壁がありますが、それをどのように乗り越えていくのか、ということも本書には解説されています。
ですから、困った状況になったら本書を参考にしていけば、エッセンシャル思考を獲得することができると思います。
自分で選択することができなくて、仕事をすべて引き受けてしまう、頼まれたらすべて断らないでやってしまう、という方は本書はとても参考になると思いますよ。