「有事の金」というのはどういう意味なのか?
有事の金の意味は?
「有事の金」という言葉をご存知の方は多いのではないでしょうか?
今では新型コロナの流行がまさに有事に当たるわけですが、それ以外にも他国との外交上の問題、世界的な不況などが有事として考えられます。
また、石油などを巡って中東での軍事行為なども有事になる可能性があります。
大地震やハリケーンなどの自然災害も、有事になることがありますね。
有事があると、一番分かりやすい現象は株式市場が大きく乱れることです。
株価が軒並み大暴落するという状況を生み出すのが有事ですよね。
株価だけが下落するわけではなくて、もちろん債券市場や商品先物などの市場も軒並み大打撃を受けます。
しかし、有事の金という言葉があることから、その時に金を買おうと考える人も多いのではないかと思います。
金は現物資産ということで、有事でも安全と考えられているからかもしれません。
しかし、有事の金という言葉は、有事でも価格が変動しないということを意味するわけはありませんので、そこには注意が必要だと私は考えています。
有事に金の価格はどうなる?
有事には金の価格はどうなるのか、というとやはり他の金融資産などと同じように、暴落することが多いです。
もちろんすべての有事で暴落するわけではないですが、かなり高い確率で暴落していることが、過去の価格を見てみると分かります。
金は価格が安定しているわけではなくて、常に変動しているため、当然有事の影響も受けることになります。
では、なぜ有事の金と言われているのかというと、金の価格が有事の前に戻るのが他の資産よりもかなり早いことが理由です。
これまた、絶対に元の価格に戻るというわけではないのですが、過去の価格を見ると、暴落前の価格に戻らなかったことはないようです。
株式市場などは、暴落後に元の価格に戻るためには、かなりの時間がかかるのが通常です。(日経平均を見てみれば、1990年のバブル崩壊以降、今現在でもその価格を回復していません。日経平均は常に銘柄が入れ替わっているため、一貫性を欠くという考えもありますが、今の株式相場がバブル期以前の水準に戻っているということはないと思います。)
しかし、金はそれらの金融資産よりも早く、有事の前の価格に戻っているわけです。
有事の金を信じて投資すべき?
私は金投資は、本当にお小遣い程度しか行っていないのですが、それは金の需要と供給などを計算することが本当に難しいからです。
しかし、有事の時にはそのような計算をすることなく、「有事の金」という言葉を信じて投資するべきなのでしょうか?
今まで見てきたことを考えると、有事の時にいち早く金を購入することは投資ということで考えると危険かもしれません。
金価格も有事で暴落するわけですから、買った瞬間から暴落する可能性が高いからです。
買うべきポイントは、暴落したところになりますが、どこまで暴落するかは誰にもわからないため、リスクがとれる範囲内でここかな、という手探りのような感覚で購入する必要があります。
そして、価格が上昇に転じるのを待つというのが、有事の金という言葉の意味なのではないでしょうか?
有事に金が価格を戻す理由
有事には金価格がいち早く価格を取り戻す、と言われているのですがその理由はいったいどこにあるのでしょうか?
確実なことは言えないのが現実なのですが、一つの理由は有事には各国がそろって金融緩和を行うことが考えられます。
金融緩和は単純に言ってしまえば、市場に出回るお金の量を増やすことですから、お金の価値が下がります。
お金の価値が下がれば、買うもの、つまり商品の価格は上がることになります。
金も現物として売買されるものですから、お金の量が増えることによって金の価格は上昇するのだと考えられます。
ここで重要なことは、有事の金というのは、各国の金融緩和を期待するものであり、一種のギャンブル性を持っていますね。
というのも、各国が金融緩和をしない可能性は、有事ではかなり低いかもしれませんが、やはりあるからです。
ですから、有事の金と言ってもやはりリスクを考えて、資金管理をしっかりと行いながら投資していく必要があります。
一攫千金を狙うような投資ではない、ということをしっかりと認識しておく必要がありますね。
投資そのものが一攫千金を狙うようなものではなく、他のビジネスと同じくコツコツと進めていくものですが、どうも一攫千金のイメージが投資には強いと感じます。
有事の金という言葉だけを信じて、全財産を投入するような真似は厳禁ですね。
まとめ
投資は金に限らず、すべてが自己責任と言われます。
どんな情報を参考にして投資をしても、やはりそれは自分で投資を行ったということで、責任を転嫁することができないわけですね。
そんな投資では大事な自分のお金を使って行うわけですから、できるだけ細心の注意を払って、リスクをしっかりと把握しながら行う必要があります。
リスクというのは自分の理解を超えたところにあると言われますので、理解できないものには、投資をしないというのが一番のリスク管理になります。
有事の金も、理解できるかどうかが、投資をすべきかどうかの分かれ目になるかもしれませんね。
また、投資では知られた手法は役に立たなくなることが多いです。
多くの方が有事の金の暴落を狙って投資してくるようなことになると、その手法も役に立たなくなる時が来るかもしれません。
その意味でも、やはり投資は自己責任ということになるのでしょう。