「話しベタさんでも伝わるプレゼン」(清水久三子著)を読んだ感想
話しベタでも伝える方法がある?
話しベタさんというのは、プレゼンに限らず、話すこと自体が苦手な人たちです。
その中に私も含まれるのですが、それでも伝えることができるプレゼン、技術ということで興味があり、読んでみました。
著者である清水さんは、執筆・講演を中心に、年間4冊を超えるビジネス書の執筆や全国での講演・講師活動を行っているということで、プレゼンが得意な人なのかというと、実はそうではなかったようです。
かつての私も全く同じ気持ちでした。本書でも書いておりますが、小学校の頃の私は友達と話すことすら苦手で、先生に指名されても答えがわかっていながら一言も発することができませんでした。社会に出てからもプレゼン業務は緊張から苦手意識がありました。
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著者自身がプレゼンが苦手だった経験を持つ方が、講演や講師活動を行えるようになった秘密のようなものを学べるというのは嬉しいですね。
TEDのような見事なプレゼンは必要ない
TEDをご覧になったことがある方はわかると思うのですが、スピーカーの本当に見事なパフォーマンスには驚かされます。
あれだけのプレゼンができるということは、さぞかし昔から話すことが得意だったのだろうと考えてしまいます。
しかし、TEDのスピーカーのプレゼンが見事なのは、しっかりと時間をかけたリハーサルに理由があることを知り、少しだけ嬉しかったこと思い出します。
TEDの見事なプレゼンは、それができれば最高なのですが、通常のプレゼンではそこまでのパフォーマンスは必要とされないものです。
報告や提案をする相手がエンターテインメント性のあるプレゼンを望んでいるわけではありません。
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ですから、TEDを参考にしつつも、そこまで到達するのは不可能だとあきらめる必要はないということです。
自分自身に求めらるプレゼンの技術を磨いていけばよいわけですね。
話しベタさんは練習不足
プレゼンが上手にできないのは、あがり症であったり、人見知り、心配性などいろんな内向的な性格が影響していると考えるものです。
もちろんそのような内向的な性格は影響するのですが、それを理由にプレゼンが苦手というのは、少し早すぎるのです。
プレゼンが苦手という場合の一番の原因は、やはりリハーサル不足、練習不足です。
プレゼンの達人ということで有名なスティーブ・ジョブズは、才能があったということもあるのだと思いますが、一つのプレゼンのために何十回とリハーサルを行ったと言われています。
それだけリハーサルを行えば、上手に行えるのもうなずけますよね。
スティーブ・ジョブズほどの才能のない私たちは、リハーサルもしないで上手にプレゼンを行おうとすること自体が無理な話ではないでしょうか?
マイクを使うプレゼンが控えている方は、カラオケボックスがおすすめです。講師や営業の方などカラオケボックスでリハーサルをしている方は、実は結構います。
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一人カラオケをするのではなく、一人リハーサルを行うことで、講演やプレゼンのリハーサルを行っているわけです。
緊張するのは自分のことを考えているから?
緊張というのはそれ自体をすべてなくしてしまう、ということはおそらく不可能でしょう。
緊張するということは、その機会を重要な場と捉え、それに向けて意識や準備に入っているということなのです。
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全力を出せるように緊張しているわけですから、全く緊張がなくなってしまえば、全力も出せないということですね。
しかし、必要以上の緊張というのは、やはりあまりよい影響を与えないものですから、適度な緊張にしたいものです。
緊張というのは、自分自身のことを考えると余計に緊張していくものです。
- 失敗したらどうしよう。
- 質問されたら答えられるだろうか・・
このような考えが頭をよぎってしまったり、さらには頭が真っ白で何も考えられなくなってしまったり、ということは自分自身のことを考えていることになります。
そうなると益々緊張してしまうわけです。
しかし、プレゼン、そしてそれ以外の会議やコミュニケーションを考えてみると、その目的は何なのかということが見えてきます。
それは相手に自分の意見や考えを届けるということです。
相手へのプレゼンですから、自分ではなく相手のことを考えるべきです。
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如何に相手に伝えるか、という相手の立場に立った考え方が必要であり、自分自身のことを考えるよりも、やはり相手のことを考える必要があるのです。
そして、プレゼンなどでは相手を論破してやろうと考える方もいるかもしれませんが、それは逆効果になることがあります。
相手を無理に納得させたり、論破したりすると、後々相手は考えを変えて賛同しなくなる可能性も十分にあります。
目指すのは論破ではなく共感
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論破ではなく共感を目指すというのは、プレゼンを行う際には常に意識しておきたいことですね。
共感、そして信頼を得ることができれば、相手に自分の意見や考え、さらにや商談を成功させる確率も大きく上がることは想像できますよね。
これらのことは、プレゼンを行うための前提の知識ともいえるものです。
このような前提がなければ、プレゼンに説得力や共感を呼ぶような力を持たせることができないものです。
この前提をしっかりと認識しつつ、個々のテクニックを磨いていく、ということが重要になりますね。
個々のテクニックが解説されている
そして、本書ではいろんなプレゼンに合わせて準備するためのテクニックがたくさん紹介されています。
全てがとても効果的に感じるものばかりで、プレゼンをしなければならない、会議で発表する機会が多い人などにはとても役に立つのではないかと思います。
声の震えや上ずりは痛みを与えてなくす
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緊張しているときには、声の震えや上ずりがとても気になるものですが、腿や指先をペンで少し押してみたり、腕を少しつねってみたりすると、緊張から少し意識が外れて声の震えなどを防止することができます。
もちろん痛みを与えすぎては意味がありませんので、あくまでも軽く行うということが重要です。
相手に伝えるという意味では、以下のようなことも解説されています。
相手の中で優先順位を上げてもらうためには、「とても」「すごく」などの曖昧な形容詞や副詞を排除することです。
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これはとても大切なことで、やはりプレゼンや会議などで説得力を持たせるためには、相手が客観的にできるデータを使うべきです。
数値を使ったり、何人の人が担当すべきかなど、数値化できるようなものはすべて数値で話すようにすると効果的です。
曖昧な言葉を全く使わないということはできないですが、できる限り具体的に話すということを意識しておくことで、より説得力が増すものです。
具体的にする方法がよくわからない場合は、5W1Hを意識して内容を組み立てていくようにすることで、内容に具体性を持たせることができます。
まとめ
プレゼンが苦手という方は本当に多いですよね。
しかし、それを避けていてはますます苦手になってしまいます。
重要なことは、しっかりとリハーサルを行うこと、相手の立場に立つことなどであり、難しいことを行う必要はありませんね。
何度も練習することで、徐々に上手になっていくということをあまり認識されていないような気がします。
話しベタの場合は、話す機会ができるだけないようにと、そのような場面を避けることが多いですが、そのような場を練習場所として積極的に使うというのも一つの方法なのかもしれません。