税引前当期純利益が赤字の企業は投資すべき?
税引前当期純利益が赤字になっている
営業利益や経常利益が黒字にも関わらず、税引前当期純利益が赤字という企業があります。
営業利益が赤字、経常利益が赤字という企業は、税引前当期純利益が赤字というのもうなずけますが、営業利益も経常利益も黒字であるにも関わらず、税引前当期純利益が赤字というのはどういうことなのでしょうか?
税引前当期純利益の段階で赤字になっているのは、大きな金額の特別損失を計上しているケースがほとんどです。
例えば事故を起こしてしまったり、リストラを実施することによって、巨額の特別損失を計上してしまったということが多いです。
その結果、本業の利益を意味する営業利益、営業利益に営業外収益や営業外費用を差し引きした経常利益が黒字であっても税引前当期純利益が赤字ということになってしまいます。
税引前当期純利益は、経常利益から特別利益を加算して、特別損失を減算した結果の数字です。
特別利益や特別損失は、本業以外の利益と損失が計上されます。
本業って?
ではその本業とはいったい何を意味するのでしょうか?
本業というのは、その企業のメインになる事業であり、継続的に繰り返して行われることです。
自動車を作る会社ならば、自動車を組み立てたり、材料を購入したりということはもちろんですが、銀行からお金を借りて事業を進めることも本業となります。
そのため特別利益や特別損失というのは、本業を行う上での利益や損失ではないものを意味するため、継続的に発生するものではない、ということになります。
先ほどの事故やリストラというのは、本業には含まれないと考えられ、特別損失に計上されるのです。
例えば、今の時代では個人情報の取り扱いがとても繊細になっていますが、その個人情報を流出させてしまった場合は、その損失を特別損失に計上することになります。
個人情報を継続的に行うことが本業になっていれば別ですが、おそらくそんな企業はないと思いますので、通常は特別損失です。
また、自然災害で被害を受けた、火災によって被害を受けたという場合も、特別損失に分類されますね。
リストラはどうかというと、業務を遂行するために必要なことなのかもしれませんが、やはり常日頃行われる業務とは別の物ですので、特別損失として計上されます。
偶発的に起こったことによって、利益や損害を蒙った場合には、特別利益や特別損失が計上されることになります。
ちなみに税引前当期純利益が黒字になる場合は、特別利益が計上されていることになりますが、その特別利益とは、不動産を売却したり保有している証券を売却したときに得られる利益などが上げられます。
税引前当期純利益が赤字の会社は投資対象?
税引前当期純利益が赤字という場合は、当別損失が原因であることが分かりました。
では、税引前当期純利益が赤字の企業は投資対象となるのでしょうか?
そもそも投資対象とするためには、税引前当期純利益が赤字という以前に、本来の企業の価値よりも現在の株価が割安であることが前提です。
そのため、ここでは株価が割安になっていると仮定してみましょう。
割安であれば投資対象として考えるわけですが、税引前当期純利益が赤字だとちょっと躊躇してしまいます。
そこで、税引前当期純利益が赤字になっている理由をしっかりと検討する必要があります。
その赤字の原因が本業とは関係ないわけですが、その損失がどれだけ本業に影響を与えているのかを考えなければなりません。
リストラで損失を計上しているけれど、その結果として本業に良い影響を与える場合は、投資対象として考えていく必要があるかもしれませんね。
そして、災害などで被害を受けてしまって、工場が壊滅的なダメージを受けてしまったという場合は、復旧までにかなり時間がかかるかもしれません。
そのため、投資対象としては数年間は外れるかもしれません。
予期せぬ損失で株価にダメージを与えているけれど、本業には全く問題がないという場合は、投資目線で見ると絶好のチャンスとなっていることが多いです。
まとめ
企業が赤字になったという場合は、かなりネガティブな印象を持つと思いますが、その赤字の種類もかなり重要になります。
そのため、赤字の理由とそれが本業に与える影響を冷静に見極める必要がありますね。
赤字が全て良くないと考えるべきではなく、良い赤字になっている場合を見つけることができれば逆にチャンスになることがあります。