内部留保が悪いものだと思っていませんか?
内部留保はため込んだお金ではない!
内部留保を企業がため込んでいるから日本の経済が成長しない、従業員の給料が上がっていかない、ということがマスコミなどが報道することがあります。
この場合、内部留保というものをどのようなものだと考えているのでしょうか?
以前に内部留保については少し解説させていただいたのですが、この言葉の意味から企業がお金をため込んでいるという意味で考えている方が多いです。
内部留保という言葉は、会計学的には存在しないのではないかと思います。
内部留保とは会計では利益剰余金のことだと言われています。
利益剰余金と言わないで内部留保と言っているのはなぜなのかはわからないのですが、この言葉によって多くの誤解が生まれているのは事実です。
さて、今までお話ししたとおり内部留保というのは利益剰余金ですので、簡単に言えば企業が生み出した利益のことです。
正確には純利益から株主に出す配当金を除いた金額のことですが、その利益剰余金は必ずしも企業が使わないで貯めているわけではありません。
バランスシートを見れば、その利益剰余金は設備投資に使われている、自社株を買うために使われている、不動産を買ったり別の企業への投資に使われているなど、いろんな用途が分かります。
つまり内部留保というのは必ずしも、企業がため込んで使わないでいる資金というわけではないのです。
企業の成長のために使われてることが多いはずです。
内部留保によって成長が阻害されている?
さて、内部留保によって日本経済の成長が阻害されている、という趣旨の報道がされることがあります。
しかし、内部留保とは企業の利益剰余金ですから、経済活動によって得られているものであり、成長しなければ内部留保が大きくなっていくことはありませんね。
つまり、経済成長しているから内部留保が増えているのであり、主張が全く逆だということです。
マスコミがなぜこのような報道をするのか疑問ですが、明らかに会計の知識がない人が報道しているとしか思えません。
内部留保をどう使っているかは問題かもしれませんが、内部留保すべてが悪というような論調には賛同できません。
経済成長については企業の内部留保が問題ではなく、通貨発行権を持つところ、すなわち政府と中央銀行が適切にお金の量を増やしているかどうかが問題だということが経済学的に指摘されています。
日本が経済成長ができなかった最大の原因は、やはり中央銀行が金融引き締めを長く続けてしまったことです。
バブル期は、失業率が2%程度でインフレ率も2%程度だったと言われているのですが、これは今の政府日銀が目指している状況と同じです。
つまりバブルは正しい経済状況だったのかもしれないということです。
バブルと考えて金融引き締めを行った当時の日銀の判断が正しかったのかどうか、そこをもっとマスコミは報道すべきだと思うのですが、いかがでしょうか?
まとめ
マスコミの報道は本当に偏っているものが多いです。
正しいことの方が少ないのではないか、と疑ってかかるほうが良い結果を生み出すのかもしれません。