「女子高生と魔法のノート 大人も知らない夢の見つけ方」(角谷ケンイチ 著)を読んだ感想
魔法のノートの意味を知りたい
角谷ケンイチさんは、ブルーベリーアイで有名な株式会社わかさ生活の創業者です。
本書に出てくるのは、タイトルにある通り女子高生である紫藤結月が主人公です。
この主人公を中心とした小説のようになっているため、手軽に読むことができます。
しかし、簡単だからと言って、侮ってはいけない内容が書かれていると感じました。
タイトルにあるように「魔法のノート」ということですから、如何にノートを活用していくのか、ということが書かれているのですが、特別新しいテクニックのようなものが書かれているわけではありません。
また、魔法のノートだから、書くだけで願いが叶うのか、という期待を抱いていると見事にそれは打ち砕かれます。
しかし、小説の中でどうノートを使うとよいのか、ということが書かれているために、非常にわかりやすく、すぐに実践できる内容になっていると思います。
ノート術が書かれている本は、どのようにノートを使うかということが詳しく書かれているのですが、実際の生活の中でどう使われているかということがイメージしづらく、実際にその方法を試してみる人は、意外と少ないようです。
これは、学校などで習ったことを、実際の生活で活かしていくことがむずかしい、ということと似ていますね。
ところが、小説のようなストーリーの中で、如何に使うかということが解説されている本書は、実践することが容易だろうと思います。
むずかしい用語が使われていないのも、ありがたいところです。
悩みを整理するために
主人公は女子高生ですから、学校での悩みを解決するために魔法のノートを使うのですが、ブルブルくんというキャラクターがナビゲーターとしていかにノートを使うのかを解説しながら進んでいきます。
ブルブルくんは、ブルーベリーアイのキャラクターですので、よく知っている方もいらっしゃるかもしれませんが、知らない人は良くわからないため、何のためのキャラなのかわからないかもしれません。
著者の角谷さんが、わかさ生活の創業者ということを考慮して、意味が分からないと言わずに読み進めていくことをお勧めします。
さて、女子高生に限らず、生きている以上は、誰もが悩みを抱えているものです。
そして、その解決をどのようにすれば良いのかわからずに、ずっと悩み続けているという方もいらっしゃるかもしれませんね。
そのような場合には、悩み自体を理解することが、まずは重要なのですが、理解しようとしていない方が多いのもまた事実です。
自分が体験しているときは、それがすっごい大きなことに感じるもんや。でも、後からちゃーんと向き合って、ノートに書けば、大きな悩みもたった一つの文章になる。意外とシンプルなものだったりするしな。
(29ページ)
悩みに押しつぶされそうになるときは、その悩みがどのようなものなのか、やはり紙に書いてみるということがとても重要です。
ノートに書くことで、頭の中にあることを文章として見ることができるため、自分の悩み、問題を客観的に見ることができます。
客観的に見ることができるため、より冷静な判断も可能になりますし、より合理的な解決方法を見つけるスタートにもなるわけです。
そして、どのように行動すべきか、ということも見えてくるようになります。
行動を起こすと、こうやって次のヒントが見えてくるねん。
(36ページ)
悩んでいるだけだと、悩みに押しつぶされたり、不安になったりで、何も行動を起こすことができないことがあります。
しかし、ノートに問題を書き出したり、嫌なこと、嬉しいことなど、いろんなことを書き出すこと、それ自体が行動になるわけです。
その行動から、自分の気持ちに気が付いたり、次に行うべき行動がわかるようになる、というように、次へのヒントも得られたりします。
問題をシンプルする
シンプルにできることから始めれば、次のヒントが出てくるねん。
(39ページ)
ノートに悩み、問題を書き出すことは、その事柄をよりシンプルにするという意味もあります。
問題が解決できずに押しつぶされそう、というような場合は、その問題がいろんなことと複雑に絡み合っているために、解決策が見えなくなっていることが多いです。
そこで、問題をよりシンプルにする必要があるのですが、頭の中だけで考えていても、やはり効率的に問題をシンプルにしていくことができません。
よりシンプルに考えるためには、問題を小さく分解していくなどの作業が必要になりますが、そのためにはやはりノートに書くという作業は避けられません。
細かくシンプルにしたものを頭の中で覚えておくことは無理ですし、情報が頭の中にたくさんあると、集中して物事を考えることができなくなってしまいます。
悩んでいること、心配事はシンプルにしていくと、なんだこんなことだったのか、というように感じることが多くあります。
悩んでいることも、文章にすれば1行程度のことですので、難しく考える必要がないことも多いのですね。
そうして、どのように対処すべきかということもわかるわけです。
何の準備もせずに目の前にあることとか、やりたいことを一気にバーンとやってもうまくいかへん。
(43ページ)
悩みや心配事には、このように考えなく一気にやろうとする方が多いのですが、当然解決することができないことが多いです。
悩みの理由、心配事の原因などをシンプルにしていくことで、有効な対処法が見つかりやすくなるのであり、何も考えずに一気にやろうとすると、その解決法が正しい場合も正しくない場合もあり、うまくいったりいかなかったりするわけですね。
ノートをとるということが面倒だということで、一気にやってしまう方も多いようですが、面倒なノートをとることが結果的に一番省エネな方法であることが本当に多いですよ。
どこまで準備するのか
そして、どこまで準備するのか、ということも大切なところですが、学校の勉強などとは違って、人生の悩みなどには100%正解というものはないですよね。
できる限り準備することは必要ですが、完璧な準備というのもまた不可能です。
結月、よー覚えときや。何かをするときはな、<100%でなくていい>んや。
(164ページ)
問題が十分にシンプルになれば、それを試してみるというような気持ちで、解決策を行うという感覚も必要なのですね。
相手の気持ちを考える
自分の悩みや心配事を考える中では、自分のことだけを考えてしまいがちですが、それでは解決策が見つからない可能性があります。
私たちの生活は、いろんな人との関わりによってできているもので、他者との関係は避けては通れないからですね。
自分が暖かくなりたいなら、幸せになりたいなら、まず人を暖かくしてあげる。
(82ページ)
相手のことを想像するのが難しいかったら、まずその場に足を運んでみることや。
(116ページ)
相手のことを想像できるほどに問題がシンプルになればよいのですが、そうならない場合には、そこで終わってしまうという方が多いです。
しかし、そこで一歩踏み込んで行動できるかどうかが、結果に大きな違いが生まれてくるのですね。
まとめ
女子高生が題材になっていますが、社会人であってもこの内容はとても有益だと思います。
しかも、小説のようにスラスラと読むことができるのもありがたいところです。
悩んでばかりでなかなか前に進めない、というような方は特に一読されることをお勧めしたいですね。