「東大で25年使い続けられている「自分の意見」の方程式 最強のアウトプットの作り方」(西岡 壱誠 著)を読んだ感想
意見の作り方、アウトプットの仕方が学べる?
著者の西岡さんは、2浪ののちに東大に合格している方で、その勉強方法などにはいつも興味を持っています。
2浪してから東大に入るということで、現役で合格している人に比べて人間味を感じて親近感を持つことができるというのが理由の一つです。
何冊も本を出されているため、以前にも西岡さんの別の本の感想を書かせていただきました。
こちらもとてもお勧めの本ですので、興味がある方は参考にしていただけるとありがたいです。
そして今回の本ですが、「最強のアウトプットの作り方」という文章がタイトルの一番最後にあるため、アウトプットの方法が書かれているのだろうと考えました。
そして、「自分の意見」という言葉もあるため、如何に自分の意見をアウトプットするのか、ということが書かれているのではないか、という推測の元で読んでみました。
無思考に自分の意見を持たずに生きる人間は、もういらない。これから先の変化の激しい令和の時代は、自分の頭で考えて自分の意見を持つ人でないと生き残れない。
どの人も、口を酸っぱくしてそうおっしゃっていました。
(10ページ)
往々にして日本人というのは自分の意見を言わない傾向があると思いますし、それが美徳である部分もあると思います。
島国で外国人との接触もあまりなかったためか、相手の心を読んで行動するという能力が高く、すべてを話さなくてもわかる、ということが重要だという考えになっているのかもしれません。
同じ日本人ですから、話さなくてもわかるというのは、なんとなくわかる気がします。
そして、その日本人の特性ともいえることは素晴らしいと考えつつも、変化が速く世界とも一瞬でつながる現代社会においては、自分の意見を言うことがとても重要になるでしょう。
多くの外国人は自分の意見をしっかりということができる人が多く、その人口はおそらく日本人よりもはるかに多いと思います。
海外では陸続きでいろんな民族との交流が活発で、自分の意見も明確に言わなければならない、という状況があるのかもしれません。
ですから、現代社会ではその人たちに合わせなければならない部分が、どうしてもありますので自分の意見を言うことが重要です。
また、自分の意見としてアウトプットすることは、勉強や仕事においても欠かすことができないものです。
そこから僕は、どんなときにも「自分の意見」を言うようにして、読書する時や授業を受ける時、果てはアニメや映画・ドラマを鑑賞する時も「どう考えたのか?」「自分はどう思ったのか?」ということを言語化し、「意見」を作るようにしたところ、成績が急上昇。
(6ページ)
インプットよりもアウトプットを重視する方が学習効率が高い、ということが教育学的には常識になりつつありますが、その意味でも自分の意見を言うことはとても大切なのですね。
意見の定義とは
意見の定義というのは、漠然としていてよくわからないですし、「感想」とどう違うのか、という気もしてきます。
本書では意見を次のように定義しています。
この本においては、意見というのは
「①事実」+「②問題」+「③自分」+「④提案」=「意見」
という方程式でできていると定義します。
(25ページ)
このように構成されているものが意見であり、それ以外は意見ではないということになります。
本書では次の文章が紹介されています。
日本の少子高齢化は問題だ
(23ページ)
これは、意見という風に捉えられると思いますし、実際私は意見ではないかと思いました。
しかし、先ほどの定義から考えてみると、これは意見ではないということになりますね。
これは②の問題だけが述べられているもので、それ以外がないということで意見とは定義しない、ということです。
これら4つを網羅しながら意見を作っていく、という作業はなかなか大変な気がするかもしれませんが、どのようにアプローチしていくのか、ということが本書には説明されていますので、自分の意見が発表できない、という方にはとても参考になるのではないかと思います。
意見を作るうえで重要なことは
意見を独りよがりで作っていても、それは意見とは呼べないものになってしまう可能性があります。
難しいのは、同じ「意見」であっても「ちゃんと次に繋がる意見」こそが重要であり、「発言する意味がある意見」を作ることこそが大切なのです。
(44ページ)
それでは、この「次につながる意見」というのはどのようなものなのでしょうか?
意見を聞いた人にどうなって欲しいから、どう思ってほしいからその意見を述べるのか、それこそが一番意見の中で重要なポイントであり、①~③もそれを述べるための前提に他ならないのです。
(68ページ)
自分だけが納得していては、それは自己満足でしかない可能性があり、なんの影響も与えないものになってしまうかもしれません。
意見というのは、独り言のようになっては意味がなく、意見を聞いた人に影響を与えるようなものでなければならず、そのために意見の定義に沿って意見を作っていくのですね。
職場や試験などで応用も可能
本書に書かれている意見の作り方は、どのような場面でもかなり効果があるのではないかと考えています。
仕事の場面を考えてみると、プレゼンテーションの場面では、絶対に意見を作る能力というのは役に立つはずです。
4つの要素をいかに組み立てるかによって、プレゼンの説得力も大きく変わってくるのは簡単にイメージできます。
さらには、上司に何かを提案したり、お願いすることがある場合も、しっかりと意見を組み立てて行うのと、そうでないのとでは、結果が大きく異なりそうです。
また逆もしかりで、上司が部下に指示を出す場合でも、明確に意見となって出てくれば、取り組みやすさも全く変わってくると思います。
そして、試験などでは単なる知識を問うような問題は少なくなってきている印象があり、知識を使って自分の意見を発表するような答案が求められることが多いですよね。
ですから、あらゆる場面で意見を作る能力というものが求められ始めているようです。
100%正解はない
意見を作るに際しては、ある出来事に対する解釈は無限にあるように、100%正しい意見を作るということは不可能な場合が多いです。
試験などの答案などは、正解がありますがそれはむしろレアケースと考えてよいでしょう。
ですから、意見をしっかりと組み立てていくことは重要なのですが、絶対の正解を求めて作っていると、これまた発表できない、という結果になってしまう可能性があります。
「相手にどうなってもらえば、世界はより良くなっていくのか」という問いの回答が「自分の意見」なわけです。
(185ページ)
自分の意見を作るというときも、相手にどうなって欲しいか、ということを考えるべきであって、正解を求めるようなものではない、ということも認識しておく必要がありますね。
まとめ
意見をまとめる、ということに対しては、ハウツー的な本が少ないような気がしていました。
しかし、本書は非常にわかりやすく意見を定義されていて、しかもいかに組み立てるかということも、非常に丁寧に解説されています。
自分の意見がなかなかまとまらない、プレゼンなどで発表しなければならないことが多い、などのような意見を発表する機会が多い方は、ぜひ一読されることをお勧めします。
また、アウトプットすることの重要性の観点から考えれば、勉強効率を上げるためにも、本書はとても効果があると思いますよ。