読書好きけんの雑記ブログ(ヘルシー志向強め)

日々思いついたことをシェアしたいと思っています。読書で得た知識も備忘録を兼ねて、わかりやすく感想をアップしようと考えています。

ネルソン・マンデラ (信念は社会を変えた!2)(セロ・ハタン&ヴァーン・ハリス著)を読んだ感想

ネルソン・マンデラについて知りたい

 

ネルソン・マンデラについて書かれたこの本は、薄くて小さいのですが、中身はかなり濃い内容になっていると感じました。

 

著者の2人は、ネルソン・マンデラ南アフリカの大統領だった時に、政府職員だったそうです。

 

そして、大統領を退任後は、ネルソン・マンデラが主導する事業体の職員となったということで、彼を身近で見てきた人物たちによる書物ということになります。

 

この本の目的として、冒頭にこのように記載があります。

 

この小さな本は、ネルソン・マンデラのリーダーシップからどのような教訓を引き出せるか、という問いについて、私たち二人が数年にわたって重ねてきた議論や、人々との対話の成果です。

(15ページ)

 

身近にいた二人だからこそ、誰もが知らないネルソン・マンデラの姿を知っているはずです。

 

そのような人物たちによる本ですから、参考になることがきっとたくさんあるはずと、期待をさせてくれますね。

 

ネルソン・マンデラが刑務所に入ったのはなぜ?

 

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ネルソンマンデラは、大統領となるまでは恵まれた環境にいたとはとても言えません。

 

何しろ27年間も刑務所に収監されていたのですから。

 

なぜ刑務所に収監されていたのか、ということを少し見ておきたいと思います。

 

ネルソン・マンデラは25歳の時、当時アパルトヘイトの中心的組織であったアフリカ民族会議(ANC)に参加していました。

 

その過程でANC青年同盟の創立にも参画しています。

 

1952年には同志の活動家オリバー・タンボと共に、南アフリカで初となる黒人による法律事務所を設立しました。

 

1960年ANCが非合法化されたことを受けて、マンデラ氏は1962年に逮捕され懲役5年の刑が申し渡されます。

 

しかし、2年後の1964年に国家反逆罪で終身刑の宣告を受けました。

 

理不尽さを感じしてしまいますが、その後27年間にもおよぶ獄中生活を強いられることになったのです。

 

1980年代に反アパルトヘイト運動が活発になると、南アフリカは国際的に孤立していくことになりました。

 

その結果、1989年に大統領であったデクラークが、アパルトヘイト撤廃を決断し、収監されていたネルソン・マンデラも1990年に釈放されました。

 

これを見ると優れた指導者とともに、国際的な圧力も有効に働くことがあるのですね。

 

ネルソン・マンデラのリーダーシップ

 

南アフリカ初の民主的な選挙が1994年に行われ、ネルソン・マンデラが大統領に選ばれ、1999年までの1期を大統領として勤めあげます。

 

当時はアパルトヘイトが撤廃されたとはいえ、バラバラになりつつあった南アフリカでしたが、彼の信条ともいえる和解と融和によって南アフリカをまとめていきました

 

そこで必要であったのが、当然大統領としてのリーダーシップだったわけです。

 

優れたリーダーのしるしは、自分がおかれている状況を理解し、それに応じて行動する能力があることだ。

(23ページ)

 

南アフリカの置かれている状況を正確に把握し、それに適した行動をとることができなければ、バラバラになりつつある国を治めることができません。

 

状況に合わせて臨機応変に対応していく力が、彼にはあったということですね。

 

自身も認めているように、彼は公私ともに過ちを犯した。弱点もあったし、欠点さえあった。1998年には新たな回想録の草稿を書き始めた時に、本人が用いた印象的な言葉を借りれば、マンデラはせいぜい「努力し続ける罪人」だった。

(27ページ)

 

リーダーというのは、完璧である必要があると考えてしまいがちですが、やはり人間ですから、欠点がないわけがありません。

 

その欠点をどうカバーしていくか、ということもリーダーには必要であり常に努力していかなければならないことです。

 

おそらくリーダーとしての資質が真に試されるのは、ものごとが上手くいかなかったり、過ちを犯してしまったり、あるいは計画が予定通り進まなかったりして、個人や集団がそれに対処しなければならない時だろう。

(46ページ)

 

リーダーとして、失敗を避けることはできないことではないのかもしれません。

 

失敗しない無難なことだけをやっていればそれは可能ですが、バラバラになりつつある南アフリカをまとめるためには、無難なことだけを行っているわけにはいきません。

 

失敗する可能性があることも、必要であれば行わなければならない。

 

リーダーは失敗を恐れてはいけないわけです。

 

しかし、それだけではリーダーシップとしては不十分であり、失敗したときにいかに個人や集団が対処していくべきか、という道筋を示すことができなければならないのです。

 

これは言うのは簡単ですが、実際行動するとなるとかなり厳しいものですよね。

 

責任はすべて自分にあるわけですから、リーダーシップを発揮するというのは本当に重責である気がします。

 

ネルソン・マンデラが優れたリーダーであった理由

 

ネルソン・マンデラが優れたリーダー足りえた理由については、とても一言で語ることができないようです。

 

ネルソン・マンデラという人物の多面性は、たとえば、力強いリーダーシップに至る7つのステップ、といったラベルを貼った箱に分類できるようなものではなかったのだ。

(28ページ)

 

これだけやれば優れたリーダーシップが手に入る、というものがあれば非常に便利ですが、やはりそんなに都合よくいくものではありませんよね。

 

じつはネルソン・マンデラは、リーダーとして機を見る感覚がずば抜けていたのだ。

(31ページ)

 

彼を身近で見てきた2人が、明らかにリーダーとしての資質としてあげているのがこれです。

 

機を見る、つまりタイミングを計るということになるかと思いますが、それが必要な時が来た、ということが分かれば、そのタイミングを逃さず行動したということでしょう。

 

絶妙のタイミングで政策を打つことで、南アフリカをしっかりとまとめていくことができたのでしょう。

 

そして、そのような能力はどこから得られたのでしょうか?

 

成人してからの人生の大半を通じて、ネルソン・マンデラは日々の出来事を取りつかれたように記録していた。

(64ページ)

 

やはり、記録するということはとても重要なことであり、自分自身を改善してくためにも必要不可欠です。

 

healthyounger.hatenablog.com

 

 書くことが面倒、という気持ちがあるのはよくわかりますが、やはり記録しておかなければ改善点が明確にならないものです。

 

また、マンデラはいつも手近にペンをおいておく人だった。ペンに対しては崇拝に似た思いを抱いていた。

(67ページ)

 

パソコンなどではなく、常にペンを使って自分の気持ちや出来事などを細かく記録していたそうです。

 

手書きにはいろんなメリットがあるのですが、その効果について科学的な根拠など必要なく、自分の経験からその重要性を把握されていたのではないかと思います。

 

そして運動の重要性です。

 

マンデラは生涯、体を鍛え続けることを重視した。口に入れるものにも気を配り、好きなだけ食べたり、飲んだりすることはまずなかった。

(71ページ)

 

刑務所に収監されていた時も、毎日の運動を欠かさなかったようです。

 

運動には、気分を幸せにするようなホルモン分泌を促す効果がありますので、27年という長い獄中生活を乗り切ることができた、という研究者もいます。

 

また、脳にも運動はとても良い効果がありますので、それがリーダーシップにも良い効果を及ぼしたと考えられます。

 

まとめ

 

この本は小さい本なのですが、ネルソン・マンデラについて知りたいことが、ぎゅっと凝縮されている印象を受けます。

 

入門書的な感じで読んでみて、さらに気になるのであれば、彼自身の著書を読むというのもよいアプローチなのではないでしょうか。