アンチエイジングに糖化は大敵!
人類史上最強の敵かも?糖化ストレスについて
酸化(サビ)も怖いが糖化(コゲ)のほうがもっと怖い、ということはご存知でしょうか?
この糖化というものが、「糖化がいかにアンチエイジングにとっての敵なのか」を知ったうえで、どう対処するかを考えていきます。
糖化を知るには、酸化と比べることがわかりやすいかもしれません。
まず、酸化ですが、ある物質に酸素をくっつけるとか、水素を奪うという化学的な反応を「酸化反応」と呼んでいます。
酸化ストレスの原因としては、タバコや紫外線、有害物質、残留農薬、食品添加物なとがあります。
それらが体内に入るとダイレクトに活性酸素という酸化のもとを出したり、肝臓で代謝される過程で活性酸素をつくり出します。
酸化というのは、いうなれば体がサビるようなものです。
ただ、酸化が健康にとって怖いものであることは、人類は何億年も前から知っていたことです。
ですから私たちの体の中では「抗酸化システム」が非常に発達しています。
たとえば、私たちが食べるタラコ。
タラコにはビタミンEが、豊富に含まれています。
ビタミンEは抗酸化ビタミンの代表ともいえるビタミンです。
もちろん、タラコ自身は、人間にビタミンEを供給しようとしているわけではありません。
自らの卵を酸化から守ろうとして、ビタミンEを豊富に含んでいるのです。
タラコだけを例に挙げましたが、生物の体の中には、数億年も昔から、酸化ストレス(紫外線や有害物質など)への対応システムが存在しているのです。
一方、糖化はどうでしょうか?
糖化とは体内にあるタンパク質と、食事で摂取した糖が結びつき、糖化したタンパク質が過剰に蓄積することです。
糖化したタンパク質は、最終的にAGEs (sは複数形を意味する sです)と呼ばれる老化を早める物質を生み出します。
糖化反応
この糖化とは、どのような反応なのでしょうか?
糖化反応とは、厳密にはメイラード反応と言われます。
1912年にフランスの科学者メイラードが発見した反応のため、その名がついています。
一番身近と言えるこの糖化反応は、ホットケーキを焼くことです。
メイラード反応は、小麦粉の中のでんぷん(炭水化物)と3~5%くらいのタンパク質が、熱を加えることで糖化したきつね色の生成物ができます。
まさに、ホットケーキをこんがりと焼いた状態が糖化の状態なのです。
調理などをする上では、この糖化反応は本当にありがたい反応です。
しかし、人間の体内でタンパク質と糖との反応によって、糖化反応が起こりすぎると、糖尿病、高脂血症、肥満、メタボといった、様々な疾患の原因となります。
先ほどの例で伝えるなら、自分の体をホットケーキにするようなものです。
小麦粉に砂糖や卵などを混ぜて、こんがりきつね色に焼きあげてしまうことを、体内で行ってしまうのです。
いわば「体をコガしている」ようなもので、このコゲは老化を早める原因となるのです。
AGEs
AGEsはこの糖化反応によって作られるものです。
タンパク質の糖化によってつくられる最終生成物のことをAGEs(Advanced Glycation End Products)といいます。
AGEsの中には、よいAGEsもあれば、悪いAGESもあります。
よいAGEsには、香ばしい味噌や醤油などがあり、風味をよくします。
精進料理として食していた僧侶に長寿者が多いことから長寿食ともいわれている豆腐も、じつは糖化生成物です。
豆腐の中にはAGEsがいっぱい含まれていて、AGEsを全部除去すると 「まずい豆腐、一丁あがり!」になってしまうほどです。
そのほか、抗酸化や他の部分の糖化を防ぐAGEsもあります。
AGEsといっても、善玉の存在もたくさんあるのです。
なお、AGEsには200~300種類がありますが、現在、すべてが解明されているわけではありません。まだまだ研究途上なのです。
AGEsの悪影響
AGEsというと、当初は糖尿病の合併症などが糖化によって起こるので、血糖だけの問題かと思われていました。
ところが、実際にAGEsを測ってみると、もちろん血糖値が高い人や食後高血糖(血糖スパ イク)になる人も多いのですが、中性脂肪が多い人もAGEsが多いことがわかりました。
とくにお酒を飲むと顔が赤くなる人の場合、アルコールからできるアルデヒドが原因であることが突き止められています。
アルデヒドとタンパク質が反応し、どんどんAGEsができてくるのです。
逆に、お酒を飲んでも顔が赤くならない人はアルデヒドを分解する酵素の強い人。
そういう人は糖化ストレスに有利といえます。
老化の因子の7割の要因は後天的なものですが、親譲りの要素も3割あります。
糖化ストレスの原因であるアルデヒドを分解する酵素は遺伝するものですので、お酒を飲んで顔が赤くなる人は、糖化に注意が必要です。
糖化を進める環境
過剰な糖分の摂りすぎによって体がコゲる糖化ストレスがいわれ出したのは、たかだか50~70 年前のことにすぎません。
数十年レベルの知識や体験しかなく、まだ防御機構がはっきりしていないのが現状です。
数十年の経験しかない糖化に関して、人間の体はまだまだ十分な対抗機能を持つことができていません。
糖化の要因としては、食料の摂取や身体活動量の変化が影響していると考えられます。
食べものについては、今や「飽食の時代」です。
現代のように、砂糖や肉などをいつでも食べられる環境は、過去にはありませんでした。
しかし、人間の胃袋が急に大きくなったわけではありませんから、食べる量はそんなに変わっていないはずです。
現代人は、昔と比べて食べる量は変わっていないけれども、脂肪の摂取割合が以前と比べると増加しています。
タンパク質の摂取量は、逆に減っているというデータが存在します。
身体活動量に関しては50年前に比べて20%減っているという調査があります。
その理由の1つに、交通機関の発達や家電製品の普及があります。
以前は掃除や洗濯というのは、肉体労度と言ってもよいほどでした。
今は人の労力を極力必要としない家電を使うのが当たり前です。
さらに、マイカーの普及や公共交通機関の発達、エスカレーターはもちろん、動く歩道などによって、人は50年前、60年前に比べて自力で歩かなくなりました。
豊かな食事情、運動量の激減の影響で、現代人は糖化ストレスの中にいるのです。
糖化への対策
糖化に対する対策としては、血糖値を急激に上昇させることをできるだけ行わないことです。
血糖値を急激に上昇させる代表的なものは、甘い飲み物、ジュースのようなものを飲むことです。
ジュースを飲むと、血糖値が一臂に上昇することにより、糖化が進みやすくなります。
血糖値が跳ね上がることを、血糖スパイクと呼ぶのですが、その血糖スパイクが起こると、連鎖反応的にアルデヒドが大量に発生することがわかっています。
この血糖スパイクに伴う、アルデヒドスパイクが、タンパク質を変性させて、最終的にAGEsと身体の中に大量に作り出してしまうのです。
ホットケーキを焼いた後に、それを小麦粉や卵、牛乳の状態に戻したという実験を見たことがありますか?
それは現段階では不可能な反応になります。一度起こるともう元には戻らない反応。
人間の身体はこのAGEsを排出する働きもありますが、それを超えるほどに作り出してしまうことがないように、食事の内容を考える必要がありますね。
糖化を起こさない生活、特に今回は血糖値を急激に上げないようにすることをお伝えしたいと思います。
まとめ
現代社会は、糖化が非常に簡単に進んでしまう社会ですね。
甘いもの、脂肪などをいつでも食べることができる時代ですから。
しかし、歴史的にはこのような状況を経験している人類は少ないため、糖化に対しては処理能力があまり高くないようです。
糖化から身をまもるためには、日ごろの生活に注意を向ける必要がありますね。