記憶力の衰えは有酸素運動で改善できる?その理由は?
記憶力の衰え?
記憶力の衰えを、年齢とともに感じることって多いですよね。
小学生のころ、幼稚園のころには、例えば神経衰弱のようなゲームが得意だったけれど、今ではあまり記憶できないと感じたり・・
本を読んでも内容をあまり覚えていなかったり、昔の記憶力を取り戻したい、と考えている方も多いでしょう。
記憶力の衰えも、老化の一つであるということは、誰もが知っていることかもしれません。
記憶をつかさどる脳の海馬という部分は、1年に1%ずつ小さくなっていくというのが研究で報告されています。
小さくなっていくのですから、記憶力が昔よりも悪くなっていくのは当然、あきらめるしかない、と考えがちですが、そこはアンチエイジングを考えるこのブログでは、ちょっと待ってと言いたいところです。
海馬を小さくしてしまう老化は、正しくアンチエイジングを行うことで、進行を遅らせたり、ストップさせることが可能なのです。
運動
海馬の萎縮を止めるために有効だと考えられているのが、運動、特に有酸素運動です。
アメリカの研究チームによる発表では、120人の被験者を二つのグループに分けて、一方はストレッチのみを行い、もう片方には40分間のウォーキングを週に3回行ってもらったそうです。
その結果、ストレッチのグループは1年後には海馬が1.4%縮んだのに対して、ウォーキングのグループは、なんと2%海馬が大きくなっていたというのです。
海馬の萎縮が改善する理由
ウォーキングで海馬が大きくなるのならば、どんどん歩いて、脳の活性化、アンチエイジングを計りたいところですが、その理由はどこにあるのでしょうか?
それは、BDNF(脳由来神経栄養因子)という物質にあります。
日本語は長いので、通常はBDNFとアルファベットで呼ばれることが多いようです。
BDNFは、主に海馬や大脳皮質で活性化される物質で、脳のニューロンの成長を促したり、つながりを強化したりするものです。
ニューロン同士のつながりが強くなると、学習能力や記憶力が高まると言われています。
ニューロン同士のつながりがなぜ重要なのかというと、私たちのどんな感情や経験も、ニューロンの分子に変化を生じさせて、ニューロン同士の接続を再編するからです。
新しい本を読んで得た知識も、ニューロン同士の接続を再編するということですね。
このニューロン同士の接続がスムーズになれば、当然記憶力は上がりますよね。
それを可能にさせる物質が、BDNFだということです。
このBDNFを増加させるのが、有酸素運動などの運動なのです。
特に有効なのは、激しい運動と軽い運動を繰り返すインターバルトレーニングと呼ばれる運動だと言われているのですが、実験結果を見ればわかりますが、普通のウォーキングで十分な効果が期待できます。
ドーパミンの増加
運動をすることによって、ドーパミンも分泌が増えることになります。
ドーパミンは、例えば自分が好きなことをやってるときに分泌されているものです。
もちろん他にもいろんな状況の下で分泌されるのですが、好きなことをやっているときは時間を忘れて取り組めるほどに、集中しているものではないですか?
ドーパミンは今そこに集中するためにも重要なホルモンなのです。
有酸素運動などの運動を続けると、爽快感を感じることができますが、それをもたらすホルモンの一つがドーパミンです。
爽快感を感じ、さらに物事に集中できるというのはありがたいですね。
ただし、私の経験からは運動直後、特に激しい運動を行った後には、何か一つに集中して取り組むということが難しいです。
ですから、集中をしなければならない場合は、直前の運動はあまり激しくない運動がお勧めです。
もちろん運動直後に問題なく集中できるという方は、この意見は無視してくださいね。
運動はどのぐらいの頻度が必要?
このBDNFがすぐれているのは、運動をやめてもしばらくは増え続けるということです。
下がり始めるのは、運動をやめてから2週間程度たってからと言われていますので、身体に負担がかかるインターバルトレーニングを行ったとして、2~3日休んだとしても全く問題ないということになります。
もちろんその日を最後に運動をやめてしまった場合は、BDNFの恩恵は全く期待できないわけですが。
ここから言えることは、週に2~3回程度の頻度で有酸素運動を行えば、十分にBDNFが増加して海馬の萎縮を止めることができるということになります。
すぐに記憶力を上げたい
実験ではウォーキングを1年間続けた結果の報告でした。
ウォーキングなどの有酸素運動は、生涯を通じて続けていきたい運動ですが、そんなに続けないと効果が出ないのか、と思っているかもしれませんね。
やはり人間って欲張りですから、すぐに結果を出したいのが本音です。
実はウォーキングなどの有酸素運動は、短時間の運動でも記憶力が上がることが実験で報告されています。
実験では、記憶テストの前に、踏み台昇降のような運動を10分間行うグループと、運動を全くしないグループに分けて行われました。
結果は踏み台昇降を行ったグループの方が結果が良かったと報告されています。
記憶力世界チャンピオンのトレーニング
記憶力のチャンピオンを決める世界大会があるそうです。
その世界大会でチャンピオンになったことがある、グンター・カールステンというドイツの方がいらっしゃいます。
その記憶力は驚異的で52枚のトランプの並びを46秒で覚えてしまうのだそうです。
1枚に1秒もかからないというスピードですね。
彼の記憶力を高めるトレーニングの約半分は何だと思いますか?
ジョギングやサイクリングなどの有酸素運動だということです。
世界一の記憶力の持ち主のトレーニング方法ですから、記憶力にとって有益であるものを厳選しているはずです。
そのトレーニングの半分が有酸素運動ですから、やはり脳の活性化には運動がとても重要なのですね。
まとめ
記憶力が悪くなったのは、年齢のせいとあきらめるのはもったいないですね。
有酸素運動で、脳の、海馬のアンチエイジングができる可能性が十分に残っているのですから。
脳の活性化ができなければ、逆に老化が進んでしまうことも考えられます。
記憶力が悪くなっていると実感している場合は、ちょっと日常の生活を考えてみてください。
ずっと椅子に座っている生活を送っていないでしょうか?
今日からは、その生活を改めてウォーキングに出かけてみませんか?