読書好きけんの雑記ブログ(ヘルシー志向強め)

日々思いついたことをシェアしたいと思っています。読書で得た知識も備忘録を兼ねて、わかりやすく感想をアップしようと考えています。

「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」(佐藤義典著)の感想

マーケティングを学ぶ良書

 

 

この本は、「ドリルを売るなら穴を売れ!」の新装バージョンアップ版ということで、内容はどのようにバージョンアップされているのか、などかなり興味深く読むことができました。

 

タイトルの通り、新人OLがつぶれかけの会社、本の中ではイタリアンレストランを再建する過程が描かれており、ストーリー性がとても豊かで読みやすいです。

 

ストーリーが展開していく中で、マーケティングの戦略が使われていくのですが、要所要所でマーケティングの概念の解説が入るため、マーケティングの知識があまりない場合でも、抵抗なく読むことができると思います。

 

ビジネスというのは、マーケティングに無縁のものはないわけですから、誰にとっても学んでおいて損はないのですが、マーケティングという言葉自体がなんとなく難しい、という印象を与えてしまう気がします。

 

マーケティングというカタカナで話すと、それはそれはすごいテクニックのようなものなのだろうという印象になるかもしれませんが、非常に簡単な概念です。

 

要は、「お客様を効率的に集めて、如何にたくさん売るか」ということです。

 

お分かりの通り、マーケティングはどの会社でも、どんなに小さな個人経営のお店でも、絶対に必要なものですね。

 

マーケティングを失敗すれば、何も売れませんから倒産するしかありません。

 

新人OLも、マーケティングが上手くいっていないレストランを再建することを命じられてしまって、そこからマーケティングを学んでいくストーリーになっています。

 

どうでしょう、ちょっと面白そうになってきましたか?

 

マーケティングの基本

 

本書では33ページで、マーケティングで知っておくべき「重要な理論」は5つだけとしています。

 

  • ベネフィット

お客様にとっての価値

  • セグメンテーションとターゲッティング

お客様を価値でくくる

  • 強味・差別化

競合との「価値」の差

  • 4P(フォーピー)

価値を実現して対価を受け取る売り物、売り方、売り場、売値

  • 想い

提供する価値を通じて、世の中にどう役に立ちたいのか。

 

これらを基本にして、ストーリーが展開していくのですが、主人公は一つずつ学んでいくので、マーケテイングを知らない人でも、難しい用語などなく読んでいくことができます。

 

新人OLというのは、おそらく読み手と同じように、最初はマーケティングを全く知らない状況から、成長していくという姿を見せることで、共感を与える意図があるのだと思います。

 

マーケティングの答えはお客様が持っている

 

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物を売ろう、商品を販売しようという場合、会議室などで戦略を考えるということになり、お客様のことをしっかりと考えることなく、マーケティングを考えようとしてしまいます。

 

しかし、お客様が求める商品を作って販売するということが、どのようなビジネスであれ基本になるわけですから、お客様を抜きにして考えたところで、全く意味がないことになります。

 

ベネフィットはお客様の価値、ということがマーケティングの5つの基本ということで先ほど申し上げましたが、平たく言ってしまえば、お客様が求めるニーズのことです。

 

ニーズにはたくさんのものがありますが、それを明確にすることなくマーケティングを考えても意味がないということになりますよね。

 

本書では60ページで以下のように述べられています。

 

売り手になった瞬間に「買い手はどう嬉しいのか」を考えられなくなるのです。

 

本書では、主人公はイタリアンレストランを再建するよう命じられていますので、レストランを立て直すための策をいろいろとねるのですが、それではダメだとダメ出しを受けます。

 

レストランを再建すための答えは、レストランという現場にあり、より正確にはレストランに来ているお客様が何を望んで、何を求めてレストランに来ているのか、というところにあるですから、主人公は答えがないところで答えを探していたわけです。

 

76ページで以下のように書かれています。

 

一番いいのは、現場で観察することだ。どんな人が誰と来てどんなものを食べて、どんな会話をするか、どんな顔をして帰ったのか

 

当たり前のことのように感じてしまいますが、売り手になるとこの基本的なことを忘れてしまいがちなんですよね。

 

答えがないところで答えを探しているのですから、見つけたものが正解かどうかは怪しいものです。

 

例えば、よく言われることで、この商品は20代女性をターゲットにしたものです、というものがあります。

 

そうですね、ここでは化粧品を考えてみることにしましょう。

 

この化粧品は20代の女性をターゲットにした商品ですと言われたらどうでしょうか?

 

この化粧品のターゲットは、具体的に考えられている、と思いがちですが実はあまり明確にはなっていません。

 

20代の女性と言っても、20歳の大学生の場合と、29歳のOLの場合では、求める化粧品は全く違ってくるはずです。

 

20歳の大学生が行う化粧にしても、一つに絞ることができるものではなく、いろんなタイプの化粧がありますよね。

 

そんな20代の女性をひとくくりにしてしまうことは、かなり無理があるターゲットということになりそうですよね。

 

ですから、お客様が一体何を求めているのか、どんなニーズを求めているのか、ということをしっかりと、本当に具体的に見つけていく作業というものが必要になるということです。

 

本書では87ページで

 

化粧品も食事をする場所も時間も(=TPO)、20歳と29歳では全く違うでしょう。つまり「20代女性のニーズ」などというものはそもそも存在しないのです。

 

会議室などで考えて、現場を見ない結論は、往々にしてこのような間違った戦略をとってしまう可能性が大きくなります。

 

そして続けて88ページでは

 

「ゆっくりと同僚と話がしたい」という40歳男性は、「ゆっくり友人と話しがしたい」という20歳女性のニーズに近いでしょう。

 

ということが書かれています。

 

マーケティングは意外と身近

 

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本書では、マーケティングについて実例をもとにして、わかりやすく解説されています。

 

そして、マーケティングというものが、私たちの生活の身近に存在しているのだ、ということを感じさせてくれます。

 

もちろんビジネスですから、競合他社などと競い合う必要がありますので、お客様のニーズを見つけて、それをもとに他者と競争していけるか、ということがとても重要です。

 

しかし、マーケティングで重要なことというのは、お客様であってお客様のニーズを上手に探して、そこに価値を提供できるかどうか、ということが最も基本的なことですね。

 

まとめ

 

マーケティングというのは、大学で学ぶような、そしてMBAと言われるような大学院などで学ぶ難しい学問というイメージがどうしてもついてきます。

 

しかしながら、マーケティングというのはお客様との関係の中にある、というとても身近なものです。

 

当然難しい概念のようなものはあるのですが、そのような難しい概念を持ち出すことなく、まずは簡単に学ぶためには、本書は本当にお勧めです。

 

本書を読んで、マーケティングを学んで、さらに深く学びたいという場合は、他の本を読むなどで知識を増やしてもよいと思います。

 

本書で十分に実際のビジネスに応用することは可能だと思いますので、マーケティングを学んだことがないけれど、ビジネスを始めたい、という方にもこの本はおすすめですね。

 

マーケティングという言葉に恐れる必要は、本書を読めばなくなると思いますよ。