仮想通貨について調べてみると、「Algorithm Fairness アルゴリズムフェアネス」(尾原和啓著)という本を見つけた
仮想通貨のことが知りたい
仮想通貨がまた盛り上がってきているようです。
私としては、仮想通貨は理解しがたいものですので、どうしても投資をしようとする気になれません。
仮想通貨が好きで投資している方はそれでよいのだと思いますが、仮想通貨がどのようなものかを理解して投資している方ってどれぐらいいるのでしょうか?
私の感覚でしかないのですが、おそらくすごく少ないのではないかと思います。
しかし、仮想通貨が理解できないので投資の対象にはしないとはいえ、仮想通貨がどのようなものなのか知りたい、とは常々思っています。
ですから、仮想通貨について書かれている本を少しずつ読んでいるのですが、仮想通貨のことが書かれいている本を探していて、この本に出合いました。
「アルゴリズムフェアネス」というタイトルですので、少々意味不明なところがあったのですが、そこがまたミステリアスな感じがして、どのような内容の本なのかという興味がわいてきました。
この本は、仮想通貨がメインのテーマになっているわけではありませんが、扱っているテーマに仮想通貨が含まれているために、専門的な用語も比較的少なく、わかりやすく解説されている感があります。
仮想通貨ってどのような考えから生まれてきたのか、ということを知るにはうってつけの本だと思います。
タイトルからわかること
この本のタイトルは、「Algorithm Fairness アルゴリズムフェアネス」ですので、アルゴリズムとフェアネスがテーマになっていることはわかります。
しかし、その2つが合わさるとどのような意味になるのか、いやそもそもアルゴリズムの意味もよくわからない。
フェアネスというのは「公平」「平等」のような意味であろう、ということはわかるのですが、アルゴリズムはコンピューターで使われている正解にたどり着くまでの過程のようなあいまいな理解しかありませんでした。
本書では、こう書かれています。
まず、「アルゴリズム」から。これは辞書的に言えば「数学やコンピュータで問題を解くための手順を定式化したもの」です。もっと簡単に表現すれば「優劣を決めるもの」とみなしていただけたらと思います。
(16ページ)
分かったようなわからないような気がします。
アルゴリズムは、いまよりもっと自由と豊かさをもたらしてくれるパスポートのようなもの、とみなせばよいと思います。
(18ページ)
ここまで来てなんとなくわかってきたような気がします。
アルゴリズムとは、優劣を決めるもので、それを使って生活を自由に、そして豊かにしてくれるものということです。
優劣というと、なんとなくマイナスなイメージがありますが、これは人の優劣を決めるということではもちろんありません。
これは、例えばお昼にランチをどこで食べるか悩んだようなときに、1番はこのレストラン、2番はこの定食屋、3番はこのファーストフード店、というような提案をしてくれるようなことを意味します。
このようなことは、私たちの生活の中ですでに行われていますよね。
インターネットで検索したときに、その人にあった広告が出てきたり、今いる場所から近いカフェを表示したり、というように意外と身近で使われるものになっています。
すでにアルゴリズムが、私たちの生活を便利で豊かなものにしているのですね。
そして、この本のタイトルである「Algorithm Fairness アルゴリズムフェアネス」というのは、アルゴリズムを使ってさらに社会を公平なものにしていこう、というような意味になりそうです。
アルゴリズムが必須の業種
アルゴリズムが絶対に必要な業種というのは、言うまでもなくコンピュータ業界です。
インターネットを使っている人の好みや性格などを予測して、それに合わせた検索結果や広告などを表示させることが、この業界の最も目指すべきところですから当然です。
そして、アルゴリズムを使って巨万の富を作り出しているのが、GAFAと言われる企業ですね。
GAFAは、「Google」「Apple」「Facebook」「Amazon」の頭文字を集めた呼称です。
もちろん他にもたくさんの企業がアルゴリズムを使って、如何に利益を出すことができるかを追求しているわけですが、この4つはあまりにも有名です。
これらの企業は、良く批判され、税金を払っていないとか、私たちのデータを使っていろんなことをしているなどと言われることがあります。
しかし、著者の尾原さんは、そういった側面があるかもしれないけれど、これらの企業の根幹は、アルゴリズムを使って人々の生活をより自由で、より公平なものにすることにあるとして、重要なのは私たち個人個人の認識だと主張しています。
そこでは、まず冷静になって「ほんとうにフェアか」と問いかける姿勢が大切になりますが、プラットフォームにとっては、ユーザーに疑念を抱かれたり、離反されたりすることがもっとも恐ろしい。個々の力は小さいけれども、集団になればプラットフォームにプレッシャーをかけられます。
(35ページ)
これは何も、集団になってGAFAのようなプラットフォームに立ち向かうということではなく、アルゴリズムフェアネスを多くの人が共有することで、自然にプラットフォームにプレッシャーをかけることができる、ということです。
正体がわからない不安から、つい未来を批判しがちになってしまいますが、彼らの信じている世界と努力も認めたうえで、議論を続けていけたらと思います。
(83ページ)
仮想通貨は自由と公平さを求める中から生まれた?
そして、仮想通貨についても入門的な説明があって、とても分かりやすい内容でした。
仮想通貨はブロックチェーンという技術によって作られているのですが、このブロックチェーンはより自由で公平であることを求める中で生まれたものなのだそうです。
インターネットが生まれたアメリカでは、自由と独立の国ということもあり、個人のプライバシーや情報を国家権力の監視からいかに守るかが議論されていました。
そこで生まれてくる発想は、国家権力の暗号などを解読し、我々が国家権力を監視することができれば、我々の自由や公平は守られる、というものです。
これは比較的容易に発想できそうですね、行動に移すかどうかはともかくとして。
しかし、これとは別の考えを持つグループもありました。
そもそも中央を持たない、つまり国を持たなければ権力も生まれなければ、社会のゆがみも生まれない、というものです。
脱中央集権を技術的に実現させようとして考えられたのが、ブロックチェーンです。
全員がフラットな状態でつながれば、公平さが維持され、汚職や贈収賄などが行われることがなく安全でいられるという発想ですね。
データを改ざんされたりすることもなくなります。
このような公平さを作りだすシステムは、新しく通貨を作るには最適なものだったわけです。
私たちは、お金をこれは100円、これは1000円というように、誰もがその価値を信用しているから使えるわけです。
これは日本という国家が法定通貨として認めているためできることです。
しかし、仮想通貨は国家の担保のようなものはありません。
しかし、ブロックチェーンで全員が公平につながっていれば、この通貨は1円ということで全員が認めれば、ブロックチェーンに残ることになり、全員がその価値を保証しているような状況になります。
これは円の価値を認めている現状と極めて似ていますね。
そして、ブロックチェーンというのは、仮想通貨のためにできたシステムではありませんので、他にもいろんな分野で応用が期待されているものです。
まとめ
本のタイトルから、どのような内容なのかは想像できなかったのですが、内容はかなり重要なことが書かれています。
今後はアルゴリズムによって私たちの生活は、さらに変わっていくことは間違いありません。
それはAIがさらに発展していくことなどからも想像できると思います。
しかし、それは私たちの生活をより自由に、公平にしていくための進歩です。
ただ、その中でテクノロジーを利用して、自分の自由さ公平さだけを向上させようと考える人が出てくる可能性があります。
そこで必要になるのが、私たち個人個人の監視の目であり、それは本書ではこう書かれています。
私たちは何を基準に監視すればよいのか。それは「どれだけフェアか」ということに行きつくと思います。
(222ページ)
不利益を被る人がいないかどうか、自由を制限される人がいないか、という目線が必要ということですね。