遺伝子栄養学でアンチエイジング(コーヒー、赤ワインとの上手な付き合い方)
遺伝子栄養学という、栄養と遺伝子の相互作用を研究する学問があります。
ニュートリゲノミクスと呼ばれることもあるそうですが、その研究の内容は、食べ物、飲み物、サプリメントに含まれる栄養が、どのように遺伝子発現を発生させ、健康に影響を及ぼすのか、というものです。
栄養が遺伝子のスイッチのオンオフにどのように作用するかと研究する遺伝子栄養学は、今注目を集めている新しい学問です。
将来は、個人の生活習慣に合わせたオーダーメイドの医療などに応用も可能と言われています。
個々の栄養状態、栄養所要量、遺伝子に基づいた食事療法などに欠かせないもので、遺伝子栄養学は、がんや自己免疫疾患などの病気の予防や治療にも応用が可能だと期待されています。
その遺伝子栄養学は、当然ですがアンチエイジングにも応用ができると期待されています。
とはいえ今のところ、驚くべき新しいものは、発表されていないように思います。
アンチエイジングにてきめんに効果があるのは、食事のメインを野菜にして、風味付け程度に動物性の食品を加えて、抗炎症性のたんぱく質などを取ることです。
また、どんな飲み物を、どんな理由で飲むのかということも、遺伝子栄養学では研究されていて、アンチエイジングや美容のために、効果があるものも発表されています。
基本的に砂糖や合成甘味料が使われた飲み物は避けるようにすることです。
カフェイン
コーヒーは健康に良いと言われることが多くなっていますが、中にはカフェインを分解するのに時間がかかる体質の人がいます。
カフェインを素早く分解できる人は、コーヒーを飲むことで長生きにつながりますが、カフェインの分解に時間がかかる人の場合は、逆に健康に悪い可能性があります。
ですから、自分の体質がカフェインの分解に適しているか、適していないかを知ることがアンチエイジングにはとても重要になります。
どうすれば、自分の体質を知ることができるのかというと、自分で実験してみるのです。
実験と言っても、大それたことをするわけではありません。
- 朝のコーヒーの代わりに、カフェインの量が半分以下の飲み物を飲む。(例:緑茶、白茶、マテ茶など)
- 日中快適に過ごせ、夜はよく眠れたかを確認する。
この2ステップだけです。
いらだつこともなく、睡眠もしっかりと取れたとしたら、カフェインの代謝が遅い体質なのかもしれません。
その場合は、カフェインの少ない飲み物を飲むほうが、アンチエイジングにつながることになります。
アルコール
アルコールについても、代謝はほぼ遺伝で決まっています。お酒が強い弱いは鍛えることができると言われますが、実際は遺伝で決まっているので、鍛えることはほぼできません。
アルコールの代謝に重要な遺伝子は、メチル化遺伝子と言われる遺伝子です。
正式名称:メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(MTHFR遺伝子)
アルコールに強いか弱いかは、いろんな方法で調べることができますが、一番簡単なのは、お酒を飲んだらすぐに顔が赤くなるかどうかです。
顔がすぐに赤くなる人は、アルコールに強くない体質なので、アルコールの量を制限する必要があります。
肝臓でアルコールを解毒することは誰もが知っているはずですが、肝臓の解毒はアルコールだけではありません。
肝臓は体内の老廃物を処理するとても大切な臓器です。
当然アンチエイジングにも重要な臓器になります。
しかし、アルコールをたくさん飲んで、肝臓がアルコールの解毒だけで手いっぱいの状態になってしまうとどうでしょうか?
体内のその他の老廃物を処理することができないため、アンチエイジングはできないどころか、老化が進んでしまうことになります。
したがって、自分にはどのような飲み物があっているのか、それを知ることがアンチエイジングや美容には重要になるのです。
オーガニックの赤ワイン
アルコールは、老化を防ぐためには飲まないことが一番良いのですが、お酒が好きな方には、それは酷というものですよね。
自分の体質に合わせて、上手にアルコールと付き合うのが重要なのですが、様々な研究で身体によいとされているアルコールは、赤ワインです。
赤ワインが健康に良いというのは、もはや常識となっているかもしれません。
しかし、赤ワインならどれでもよいというわけではないようです。
広く出回っているワインは、製造過程でたくさんの薬品が使われているそうなのです。
また、ワインはぶどうから作られますが、その葡萄自体も問題があるかもしれないというのです。
環境保護団台EWGによる「汚染された12品目」の5番目に葡萄が入っているのだそうです。
その理由は残留農薬が多いからだそうです。
赤ワインを飲むことで、いろんな添加物や農薬を取り入れてしまうと、アンチエイジングどころではありませんよね。
そこで重要なことは赤ワインの選び方です。
難しいことではありません。
- 有機栽培の葡萄を使ったワインを選ぶ
- 添加物が使われていないワインを選ぶ
この2つを守ればよいのですから簡単ですね。
レスベラトロール
赤ワインが身体によい理由の一つは、レスベラトロールにあります。
レスベラトロールとは、主にぶどうの皮や赤ワイン、チョコレートやココア、アーモンドなどに含まれるポリフェノールの一種で、植物が自身を守るために作り出した強い抗酸化作用を持つ防御成分のことです。
白ワインよりも赤ワインのほうが健康に良い理由は、このレスベラトロールの量にあります。
葡萄の皮にたくさんレスベラトロールが含まれていますから、その皮を捨てていない赤ワインのほうが健康に良いわけですね。
最近の研究では、継続的にレスベラトロールを体内に取り入れることで、老化の原因と考えられている『活性酸素』を除去する『抗酸化酵素SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)』を生成することが確認されています。
レスベラトロールの効果は、2型糖尿病、心臓病、がんを防ぐという報告もあります。
しかし、この報告は人間での研究の結果にはばらつきがあるようですが。
また、レスベラトロールにはカロリー制限による長寿促進効果によく似た効果があると言われています。
特に太った人(BMIが30を超えている人)に良い効果があったそうです。
レスベラトロールは私たちの体内では生成できない成分ですが、多くの有効な働きが確認されているので、できれば毎日摂取したいものですね。
とはいえ、それを理由に毎日赤ワインをたくさん飲むのは、やはりよくありません。
やはりアルコールですから、適度な量の赤ワインと付き合うことで、アンチエイジングの効果を期待することが出きます。
葡萄やブルーベリーなど、自然の物にもたくさんレスベラトロールが含まれていますから、そういった自然の形で摂取するのが一番良いです。
ピノ・ノワール
葡萄はレスベラトロールがたくさん含まている食物ですが、ピノ・ノワールという葡萄がたくさんレスベラトロールを含んでいるようです。
ピノ・ノワールは他の葡萄に比べて収穫時期が早いことがその理由と言われています。
ピノ・ノワールは、いろんなところで栽培されていますが、レスベラトロールを多く含んでいるのは、より涼しい地方で栽培された葡萄です。
コーネル大学の研究では、ニューヨーク産のピノ・ノワールは、カリフォルニア産のピノ・ノワールよりもレスベラトロールが多く含まれていたそうです。
これらのことを覚えておいて、赤ワインを選ぶというのも楽しいことですよね。
まとめ
遺伝子栄養学というと、難しいイメージがあるかもしれませんが、やることは健康促進のために必要なことのようです。
そのためには、自分の体質を把握してチューニングするような作業が必要になります。
とはいっても、それも難しいことではありませんので、気軽に取り組んでいけるのではないでしょうか?