アンチエイジングと睡眠について
睡眠の重要性
睡眠不足って美容の敵とよく言われますね。
でも、睡眠が十分という方を探すのが難しいのが、忙しい私たち現代人です。
現代社会には、睡眠がとりたくても取れないという状況がたくさんあります。
日々の忙しい中で、削ることができるのは睡眠時間しかない、という方も多いのではないでしょうか。
しかし、睡眠に関する研究結果などを見てみると、睡眠を削ることがどれほど危険なのかがわかります。
睡眠が美容の敵なのは皆さんが知っている常識だと思いますが、美容以外にも様々な弊害があるのはご存知でしょうか。
血管への影響
睡眠を削ることには、様々なマイナスの効果、悪影響があることが、様々な研究で明らかになっています。
ハーバード・メディカル・スクールで睡眠を研究しているチャールズ・ツェイスラーは、以下のような研究結果を発表しています。
1日5時間以下の睡眠を5年間続けると、動脈硬化のリスクが300%上がる。
睡眠時間が5時間以下で動脈硬化のリスクが3倍です。
睡眠と動脈ってあまり関係ないように感じますが、身体全体に及ぶのが睡眠不足の悪影響の特徴ともいえるようです。
この動脈硬化の結果のように睡眠不足が、血管を老化させるという事実は、研究で明らかになっていることです。
血流はアンチエイジングのためにはとても重要な要素ですが、血管が固くなる動脈硬化が進行すれば、スムーズな血流など期待できるわけがないです。
そして、血管に悪影響があるのですから、脳疾患や心臓疾患の危険性も高くなります。
様々な悪影響
その他にも、睡眠にまつわる統計はたくさん出ています。
- 睡眠不足は遺伝子に悪い影響を与える。概日リズムに関係する97%のリズムが崩れる。それはDNAにとって危機的な状況で、さまざまな病気を引き起こす可能性がある。
- 3日続けて、いつもより4時間遅く眠りについたとすると、概日リズムをつかさどる遺伝子に伝わる情報が6倍も減ってしまう。
- ハーバード公衆衛生大学院の研究によると、5時間以下の睡眠は4~5年に相当する老化を引き起こす可能性がある。
睡眠不足には、全くメリットがありませんね。
睡眠不足だと太りやすい?
こんなことを聞くとドキッとしますか?
- 睡眠不足で肥満が促進される
睡眠は私たちのホルモンバランスを整える役割もあります。
そのため睡眠が足りないと、グレリンとレプチンという食欲に関係するホルモンのバランスが崩れてしまいます。
例えば、5時間以下の睡眠では、食べるように指示を出すホルモンであるグレリンの分泌量が増えて、食べるのをやめるように指示を出すホルモンであるレプチンの分泌量が減ってしまいます。
その結果、睡眠不足が肥満を促進してしまうのです。
睡眠不足が引き起こす肥満はアンチエイジングや美容には大敵だということはご存知ですよね。
睡眠不足になると、やる気が起きなくなってきますが、肥満によってさらにやる気を失い、運動や正しい食生活を続けることができなくなってしまうという、最悪のスパイラルになる可能性があります。
睡眠は脳を掃除する
夜眠っている間に、脳はきれいに掃除されると言われています。
睡眠中に掃除されることで、脳を衰えさせ神経変性のもととなる傷や有害分子が除去されるのです。
この機能はグリンパティックシステムと呼ばれているもので、睡眠中に脳細胞の間隔が約60%広がり、脳と脊髄の周りにある透明な液体の脳脊髄液によって、老廃物が洗い流されます。
ある研究で、グリンパティックシステムによって、タンパク質のアミロイドβが素早く除去されることがわかっています。
アミロイドβはアルツハイマー病と関係があるとされており、睡眠不足とアルツハイマー病との関係が研究により明らかになろうとしています。
寝だめは可能か?
日ごろの睡眠不足を、週末の休みの日の寝だめで補っている、という意見もありますが、寝だめは可能なのでしょうか?
まず、週末の寝だめで睡眠不足を解消することは不可能だと考えられています。
例えば、5日間4時間睡眠をつづけた場合、8時間睡眠を基準とすると、睡眠負債は5日間で20時間になります。
20時間になると、週末の土日で睡眠負債を返済することは不可能です。
土日も8時間睡眠をとらなければならないため、土日でさらに10時間ずつ眠るということはほぼ不可能でしょう。
週末に寝だめするといっても、いつもより数時間多いだけというケースが多いでしょうから、睡眠負債を寝だめで返済することはあきらめたほうがよさそうですね。
ショートスリーパー
私はショートスリーパーだから、そんなに長い時間眠る必要はないと考えていますか?
確かに、1~2時間の睡眠で十分という方はいらっしゃいます。
しかし、実際には6時間という短時間の睡眠に対応する遺伝子を持っているのは、本当に少人数しかいないのです。
アメリカの研究では、hDEC2-P385Rという遺伝子、これは概日リズムを変化させる遺伝子で、この遺伝子多型を持っていれば睡眠時間が短くなるのですが、研究によるとアメリカ人の3%しか、この遺伝子を持っていないとの報告があります。
日本人もこれとあまり変わらないと言われてますので、睡眠時間が短くてよい、という人はいないといってもよいような状態です。
ここからわかるのは睡眠時間は、ほぼ遺伝によって決定しているようなので、トレーニングによって睡眠を短くするということはほぼ不可能ということです。
この結果から考えると、仕事や勉強が忙しいからと言って、ショートスリーパーになろうとするのは意味がないことになります。
なぜなら睡眠時間を削ろうと努力しても、ショートスリーパーにはなれませんから、日中にぼーっとして、仕事や勉強の能率が落ちるだけです。
それよりも、いかに睡眠時間を確保するか、ということを考えたほうが良い結果になるということです。
睡眠のメリット
逆に睡眠をしっかりと取るというのは、本当に万能薬です。
きちんと眠ることで、ホルモンバランスが整えられ、それにより意志も強くなると言われています。
意志が強くなるということは、身体によい運動や食生活を続けることができるようになるため、結果的にアンチエイジングや美容につながり、健康寿命を延ばすことにもつながります。
その他のメリットはこちらです。
- ホルモン分泌が修正されて、免疫システムが強化され、痩せやすくなる。
- 成長ホルモンが活性化され、腹部の脂肪が増えにくくなる。また、寝ている間に筋肉の修復が行われる。
- 睡眠不足の時とはくらべものにならないほど記憶力が上がる。
- 免疫システムが強化されるため、風邪をひきにくくなる。
- 長期的な効果は、糖尿病、高血圧、肥満のリスクが減る。
加えて 最初にご説明した睡眠不足のデメリットはすべてなくなりますので、メリットは計り知れないということになりますね。
睡眠不足を解消する方法
日常生活を送っている中では、どうしても睡眠不足になってしまうこともあるはず。
そんなときは、どうしようもないのでしょうか?
睡眠不足の解消は、昼寝で行うのが良いと言われています。
個人差がありますが、20分の昼寝は夜の睡眠の1時間に相当すると言われることもあります。
ですから、睡眠が足りないと感じる日は昼寝を行いましょう。
昼寝もあまり長い時間寝る必要はありません。
10~20程度で脳のリフレッシュを感じることができると思います。
昼寝をして身体がさらにだるくなる、ぼーっとするという場合は、恒常的な睡眠負債を抱えている可能性がありますので、睡眠時間を今一度見直す必要があるかもしれません。
長すぎる睡眠について
きちんと睡眠時間を確保することの重要性はご納得いただけたでしょうか?
それでは、睡眠は長ければ長いほど良いのか、というと実はそうでもないのです。
睡眠時間と死亡率について、110万人を4年にわたって調査するという、なんとも大規模な研究が行われました。
その結果、一番死亡率が高かったのは、睡眠時間が7時間未満か、8時間半を超えていたグループでした。
睡眠時間が8時間を超えると、認知力が低下するが、それは5~8年の老化に相当するという研究もありま
まとめ
睡眠時間は短すぎるのはデメリットしかありません。
どんなに忙しくても、まずは睡眠時間の確保をした後でスケジュールを考えるのが一番ですね。
そして、寝すぎることがないようにすることも重要です。
睡眠時間は研究結果から考えると、7時間から8時間半の間が最適のようです。
そして睡眠は質もとても重要な要素です。
睡眠の質についてはこちらを参考にしてみてください。